「立春」「夏至」「秋分」といった言葉を、天気予報や季節の挨拶で耳にしたことがあるのではないでしょうか。これらは「二十四節気(にじゅうしせっき)」と呼ばれる、古くから伝わる季節の区分です。約2000年以上の歴史を持つこの暦は、現代でもカレンダーや年中行事に深く根付いています。この記事では、二十四節気の意味や由来、それぞれの節気が表す季節の特徴について、わかりやすく解説していきます。
二十四節気とは
二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けて季節を表す名前をつけたものです。太陽の動きをもとに1年を24等分しており、約15日ごとに季節の移り変わりを示してくれます。
現在の日本で使われているグレゴリオ暦(太陽暦)では、二十四節気の日付は毎年ほぼ一定になっています。ただし、年によって1日程度前後することがあり、正確な日付は国立天文台が毎年2月に発表する「暦要項」で公表されます。
二十四節気は、農作業の目安として古くから重宝されてきました。「いつ種をまけばよいか」「いつ収穫すればよいか」といった判断に、太陽の動きと密接に連動する二十四節気は非常に有効だったのです。現代でも、季節の挨拶状(暑中見舞いや寒中見舞いなど)を出す時期の目安として活用されています。
二十四節気の歴史と起源
古代中国での成立
二十四節気は古代中国で生まれました。その起源は紀元前4世紀頃の戦国時代にまでさかのぼります。当時使われていた太陰暦(月の満ち欠けを基準にした暦)では、暦の日付と実際の季節との間にズレが生じるという問題がありました。月の周期(約29.5日)と太陽の周期(約365日)は一致しないため、暦だけを頼りにしていると農作業の時期を見誤ってしまうのです。
そこで、太陽の運行を観測して季節を正確に把握するための仕組みとして、二十四節気が考案されました。
段階的な発展
二十四節気は一度に完成したわけではなく、段階的に整備されてきました。
まず、日の長さが最も長くなる「夏至」と最も短くなる「冬至」(二至)が認識されました。殷や周の時代には、日時計(ノーモン)を使って影の長さを測ることで、冬至や夏至を特定していたと考えられています。
次に、昼と夜の長さがほぼ等しくなる「春分」と「秋分」(二分)が加わりました。『尚書』には、夏至を「日永」、冬至を「日短」、春分を「日中」、秋分を「宵中」と記した記録が残っています。
さらに、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の四立が加わり、これらを合わせた「八節」が戦国時代に確立しました。そして前漢時代(紀元前206年〜紀元8年)の『淮南子(えなんじ)』において、現在の24の名称がすべて出揃ったとされています。
日本への伝来
日本には飛鳥時代から平安時代にかけて、暦とともに二十四節気が伝わりました。ただし、二十四節気は中国の黄河流域の気候をもとに作られたため、日本の気候とは季節感が合わない部分もありました。そのため、日本では「雑節」と呼ばれる独自の季節の区分(土用、八十八夜、入梅など)を取り入れて補っています。
ユネスコ無形文化遺産への登録
2016年11月30日、中国の「二十四節気」はユネスコの無形文化遺産に登録されました。2022年2月4日(立春)に行われた北京冬季オリンピックの開会式では、二十四節気を用いたカウントダウン演出が話題を呼びました。国際気象学会では、二十四節気は「中国の第五の大発明」とも称されています。
二十四節気の仕組み
太陽黄経による定義
現代の二十四節気は、太陽の位置(太陽黄経)によって定義されています。太陽が天球上を移動する見かけの道筋を「黄道」と呼び、この黄道を15度ずつ24等分した点を太陽が通過する瞬間が、それぞれの節気となります。
たとえば、春分は太陽黄経が0度となる瞬間、夏至は90度、秋分は180度、冬至は270度です。太陽は約365日かけて黄道を一周するため、各節気の間隔は約15日となります。
二至二分・四立・八節
二十四節気の基本となるのが「八節」です。
まず、夏至と冬至を「二至(にし)」と呼びます。夏至は1年で最も昼が長く、冬至は最も昼が短い日です。春分と秋分は「二分(にぶん)」と呼ばれ、昼と夜の長さがほぼ等しくなります。
この二至二分の中間点に位置するのが「四立(しりゅう)」です。立春・立夏・立秋・立冬は、それぞれの季節の始まりを告げる節気として、暦の上での季節の区切りとなっています。
二至二分と四立を合わせた8つが「八節(はっせつ)」であり、この八節をそれぞれ3等分(約15日ごと)にしたものが二十四節気です。
節気と中気
二十四節気は、「節気(せっき)」と「中気(ちゅうき)」の2種類に分けられます。
立春・啓蟄・清明・立夏・芒種・小暑・立秋・白露・寒露・立冬・大雪・小寒の12個が「節気」で、雨水・春分・穀雨・小満・夏至・大暑・処暑・秋分・霜降・小雪・冬至・大寒の12個が「中気」です。節気と中気は交互に配置されており、太陰太陽暦(旧暦)では中気を基準に月名を決定していました。
春の二十四節気
春は、二十四節気では立春から立夏の前日までを指します。新暦では2月上旬から5月上旬頃にあたり、6つの節気があります。
立春(りっしゅん)
立春は二十四節気の最初の節気で、暦の上で春が始まる日です。太陽黄経は315度で、新暦では2月4日頃にあたります。
旧暦では立春の頃に正月が来ることが多かったため、立春は1年の始まりとしても重視されてきました。現代では「暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続きます」といった季節の挨拶でもおなじみです。立春を過ぎてから初めて吹く強い南風は「春一番」と呼ばれます。
立春の前日は「節分」です。もともと節分は季節を分ける日として年に4回ありましたが、現在では立春の前日だけが節分として残っています。豆まきで邪気を払い、新しい季節を迎える行事として親しまれています。
雨水(うすい)
雨水は太陽黄経330度、2月19日頃の節気です。「雪が雨に変わり、積もった雪が溶け始める頃」という意味があります。実際にはまだ雪が降ることも多い時期ですが、少しずつ春の気配が感じられるようになります。農耕の準備を始める目安とされ、雛人形を飾り始めるのに良い日ともいわれています。
啓蟄(けいちつ)
啓蟄は太陽黄経345度、3月5日頃の節気です。「啓」は「開く」、「蟄」は「土の中で冬ごもりしている虫」を意味し、「冬ごもりしていた虫たちが土から出てくる頃」という意味です。
実際に虫が出てくるかどうかはともかく、この頃になると日差しも暖かくなり、生き物たちが活動を始める季節です。農作業も本格的に始まる時期とされています。
春分(しゅんぶん)
春分は太陽黄経0度、3月20日頃の節気で、二十四節気の基準点となる重要な日です。この日、太陽は真東から昇り真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ等しくなります。
春分の日は国民の祝日にもなっており、「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされています。春分の日を中日(ちゅうにち)とした前後3日間、合計7日間は「春の彼岸」と呼ばれ、先祖の墓参りをする習慣があります。「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざは、この頃から気候が穏やかになることを表しています。
清明(せいめい)
清明は太陽黄経15度、4月4日頃の節気です。「清浄明潔」を略した言葉で、「すべてのものが清らかで生き生きとしている」という意味があります。草木が芽吹き、花が咲き誇る、まさに春爛漫の季節です。
中国や沖縄では「清明節」として墓参りをする重要な行事があり、沖縄では「シーミー」と呼ばれて今も盛んに行われています。
穀雨(こくう)
穀雨は太陽黄経30度、4月20日頃の節気で、春の最後の節気です。「春雨が降って百穀を潤す」という意味があり、田畑を潤す恵みの雨が降る時期です。この頃に降る雨は農作物の成長に欠かせないものとして、昔から大切にされてきました。穀雨を過ぎると、まもなく夏が始まります。
夏の二十四節気
夏は、二十四節気では立夏から立秋の前日までを指します。新暦では5月上旬から8月上旬頃にあたり、6つの節気があります。
立夏(りっか)
立夏は太陽黄経45度、5月5日頃の節気で、暦の上で夏が始まる日です。新緑が美しく、爽やかな風が吹く過ごしやすい季節です。ゴールデンウィークの時期と重なることが多く、行楽シーズンでもあります。
この頃はまだ本格的な夏の暑さには至りませんが、日差しは次第に強くなり、夏の気配を感じ始めます。
小満(しょうまん)
小満は太陽黄経60度、5月21日頃の節気です。「万物の成長する気が次第に強くなり、天地に満ち始める」という意味があります。秋に蒔いた麦などが順調に育ち、農家が少し安心できる頃ということから「小満」と名付けられたともいわれています。
草木が生い茂り、生命力にあふれる季節で、田植えの準備が進む時期でもあります。
芒種(ぼうしゅ)
芒種は太陽黄経75度、6月5日頃の節気です。「芒(のぎ)」とは、稲や麦などイネ科の植物の穂先にある針状の突起のことで、「芒のある穀物の種をまく時期」という意味があります。
実際には、この頃は田植えの最盛期にあたります。梅雨入りが近づき、じめじめとした天気が続くようになります。
夏至(げし)
夏至は太陽黄経90度、6月21日頃の節気で、1年で最も昼が長く夜が短い日です。太陽は正午に最も高い位置に達し、北半球では日照時間が最長になります。
ただし、夏至が最も暑い日というわけではありません。実際の気温のピークは1〜2か月遅れてやってきます。夏至の頃はまだ梅雨の真っ只中で、蒸し暑さが増す時期です。
北欧やヨーロッパでは夏至祭が盛んに行われますが、日本では特に大きな行事はありません。ただし、関西地方ではタコを食べる習慣がある地域もあります。
小暑(しょうしょ)
小暑は太陽黄経105度、7月7日頃の節気です。「暑さが本格的になり始める頃」という意味があります。梅雨明けが近づき、いよいよ夏本番を迎える時期です。
小暑から立秋までの期間が「暑中」とされ、暑中見舞いを出す時期にあたります。七夕(7月7日)もこの頃で、小暑の初日と重なることが多いです。
大暑(たいしょ)
大暑は太陽黄経120度、7月22日頃の節気で、1年で最も暑さが厳しいとされる時期です。夏の最後の節気であり、二十四節気の12番目にあたります。
「大暑」の名の通り、夏の暑さがピークを迎える頃ですが、実際には大暑から立秋にかけて、そしてお盆の頃までが暑さの本番となります。熱中症や夏バテに注意が必要な時期です。
土用の丑の日もこの頃で、鰻を食べて精をつける習慣があります。
秋の二十四節気
秋は、二十四節気では立秋から立冬の前日までを指します。新暦では8月上旬から11月上旬頃にあたり、6つの節気があります。
立秋(りっしゅう)
立秋は太陽黄経135度、8月7日頃の節気で、暦の上で秋が始まる日です。とはいえ、実際にはまだ夏の盛りで、暑さのピークを迎えている時期です。「暦の上では秋ですが、まだまだ暑い日が続きます」という挨拶は、この季節感のズレを表しています。
立秋を過ぎると、暑中見舞いは「残暑見舞い」に変わります。暑さの中にも、少しずつ秋の気配が感じられるようになる頃です。
処暑(しょしょ)
処暑は太陽黄経150度、8月23日頃の節気です。「処」は「止まる」という意味で、「暑さが峠を越えて収まり始める頃」を表しています。朝晩には涼しい風が吹くようになり、過ごしやすくなってきます。
この頃は台風の季節でもあり、稲作農家にとっては台風の被害を心配する時期でもあります。
白露(はくろ)
白露は太陽黄経165度、9月7日頃の節気です。「夜の間に大気が冷え、草木に朝露が降りる頃」という意味があります。露が白く光って見えることから「白露」と名付けられました。
残暑が収まり、本格的な秋の訪れを感じる頃です。空気が澄んで、秋の虫の声が聞こえるようになります。
秋分(しゅうぶん)
秋分は太陽黄経180度、9月23日頃の節気で、春分と同様に昼と夜の長さがほぼ等しくなる日です。太陽は真東から昇り真西に沈みます。
秋分の日も国民の祝日で、「祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ」日とされています。秋分の日を中日とした前後3日間、合計7日間は「秋の彼岸」と呼ばれ、春の彼岸と同様に墓参りをする習慣があります。
この頃から日が短くなり、秋が深まっていきます。
寒露(かんろ)
寒露は太陽黄経195度、10月8日頃の節気です。「露が冷気によって凍りそうになる頃」という意味があります。秋が深まり、朝晩の冷え込みが厳しくなってきます。
紅葉が色づき始め、秋の風情が感じられる季節です。農作物の収穫も本格化します。
霜降(そうこう)
霜降は太陽黄経210度、10月23日頃の節気で、秋の最後の節気です。「露が霜に変わり、霜が降り始める頃」という意味があります。北国や山間部では実際に霜が降りる時期で、冬の訪れが近いことを告げています。
木々の紅葉は見頃を迎え、秋の深まりを実感する頃です。
冬の二十四節気
冬は、二十四節気では立冬から立春の前日までを指します。新暦では11月上旬から2月上旬頃にあたり、6つの節気があります。
立冬(りっとう)
立冬は太陽黄経225度、11月7日頃の節気で、暦の上で冬が始まる日です。木枯らしが吹き始め、日に日に寒さが増していきます。
立冬を過ぎると、暦の上ではもう冬ですが、実際にはまだ秋の名残が感じられる時期でもあります。紅葉狩りのシーズンはまだ続いています。
小雪(しょうせつ)
小雪は太陽黄経240度、11月22日頃の節気です。「寒くなって雨が雪に変わり、わずかながら雪が降り始める頃」という意味があります。北国では初雪が降り始める時期ですが、まだ積もるほどではありません。
この頃から、お歳暮の準備を始める人も多くなります。
大雪(たいせつ)
大雪は太陽黄経255度、12月7日頃の節気です。「雪が激しく降り始める頃」という意味があります。北国や山間部では本格的な雪のシーズンを迎え、平地でも雪が降ることがあります。
冬の寒さが本格化し、動物たちも冬眠に入る時期です。
冬至(とうじ)
冬至は太陽黄経270度、12月22日頃の節気で、1年で最も昼が短く夜が長い日です。太陽の南中高度が最も低くなり、日照時間が最短になります。
冬至は古くから重要な日とされてきました。太陽の力が最も弱まる日であると同時に、この日を境に再び日が長くなっていくことから、「一陽来復」として太陽の復活を祝う意味もありました。
日本では冬至にかぼちゃを食べ、ゆず湯に入る習慣があります。かぼちゃは栄養価が高く、風邪予防に良いとされています。また、「ん」のつく食べ物(なんきん=かぼちゃ、にんじん、れんこん、うどんなど)を食べると運気が上がるともいわれています。
小寒(しょうかん)
小寒は太陽黄経285度、1月5日頃の節気です。「寒さが本格的に厳しくなり始める頃」という意味があります。小寒の初日は「寒の入り」と呼ばれ、ここから節分までの約30日間を「寒中」または「寒の内」といいます。
寒中見舞いを出すのはこの時期で、年賀状を出しそびれた場合も寒中見舞いとして出すことができます。
大寒(だいかん)
大寒は太陽黄経300度、1月20日頃の節気で、1年で最も寒さが厳しいとされる時期です。二十四節気の最後の節気であり、これを過ぎると立春を迎えて新しいサイクルが始まります。
大寒の寒さは「寒仕込み」に最適とされ、味噌、醤油、酒などの醸造に適した時期とされています。厳しい寒さの中で仕込まれた発酵食品は、雑菌が繁殖しにくく、良質なものができるといわれています。
2025年(令和7年)二十四節気一覧表
以下は、国立天文台が発表した2025年の二十四節気の日付です。
| 季節 | 節気 | 読み方 | 2025年の日付 | 太陽黄経 | 意味 |
|---|---|---|---|---|---|
| 春 | 立春 | りっしゅん | 2月3日 | 315° | 春の始まり |
| 春 | 雨水 | うすい | 2月18日 | 330° | 雪が雨に変わる頃 |
| 春 | 啓蟄 | けいちつ | 3月5日 | 345° | 虫が冬眠から覚める頃 |
| 春 | 春分 | しゅんぶん | 3月20日 | 0° | 昼夜の長さがほぼ等しくなる |
| 春 | 清明 | せいめい | 4月4日 | 15° | 万物が清らかで生き生きする頃 |
| 春 | 穀雨 | こくう | 4月20日 | 30° | 穀物を潤す雨が降る頃 |
| 夏 | 立夏 | りっか | 5月5日 | 45° | 夏の始まり |
| 夏 | 小満 | しょうまん | 5月21日 | 60° | 万物が成長し満ち始める頃 |
| 夏 | 芒種 | ぼうしゅ | 6月5日 | 75° | 穀物の種をまく頃 |
| 夏 | 夏至 | げし | 6月21日 | 90° | 1年で最も昼が長い日 |
| 夏 | 小暑 | しょうしょ | 7月7日 | 105° | 暑さが本格化し始める頃 |
| 夏 | 大暑 | たいしょ | 7月22日 | 120° | 1年で最も暑い頃 |
| 秋 | 立秋 | りっしゅう | 8月7日 | 135° | 秋の始まり |
| 秋 | 処暑 | しょしょ | 8月23日 | 150° | 暑さが収まり始める頃 |
| 秋 | 白露 | はくろ | 9月7日 | 165° | 朝露が降り始める頃 |
| 秋 | 秋分 | しゅうぶん | 9月23日 | 180° | 昼夜の長さがほぼ等しくなる |
| 秋 | 寒露 | かんろ | 10月8日 | 195° | 露が冷たくなる頃 |
| 秋 | 霜降 | そうこう | 10月23日 | 210° | 霜が降り始める頃 |
| 冬 | 立冬 | りっとう | 11月7日 | 225° | 冬の始まり |
| 冬 | 小雪 | しょうせつ | 11月22日 | 240° | わずかに雪が降り始める頃 |
| 冬 | 大雪 | たいせつ | 12月7日 | 255° | 雪が激しく降り始める頃 |
| 冬 | 冬至 | とうじ | 12月22日 | 270° | 1年で最も昼が短い日 |
| 冬 | 小寒 | しょうかん | 1月5日 | 285° | 寒さが厳しくなり始める頃 |
| 冬 | 大寒 | だいかん | 1月20日 | 300° | 1年で最も寒い頃 |
日本独自の「雑節」
二十四節気は中国の黄河流域の気候をもとに作られたため、日本の気候とは合わない部分があります。そこで日本では、二十四節気を補う形で「雑節(ざっせつ)」と呼ばれる独自の季節の区分を設けました。
雑節は、日本人の生活文化から自然発生的に生まれた民俗行事・年中行事であり、農作業や日常生活の目安として活用されてきました。主な雑節には以下のものがあります。
節分(せつぶん)
立春の前日で、季節を分ける日という意味があります。豆まきをして邪気を払い、新しい季節を迎えます。
彼岸(ひがん)
春分・秋分を中日とした前後3日間、合計7日間を指します。先祖の墓参りをする習慣があります。
土用(どよう)
立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間を指しますが、現在では特に夏の土用(立秋前)が有名です。土用の丑の日に鰻を食べる習慣があります。
八十八夜(はちじゅうはちや)
立春から数えて88日目で、5月2日頃にあたります。この頃に摘まれた新茶は「一番茶」として珍重されます。「八十八夜の別れ霜」といわれ、霜の季節の終わりを告げます。
入梅(にゅうばい)
暦の上での梅雨入りで、6月11日頃にあたります。実際の梅雨入りとは異なりますが、農作業の目安として重視されてきました。
半夏生(はんげしょう)
夏至から数えて11日目頃で、7月2日頃にあたります。半夏(カラスビシャク)という植物が生える頃という意味で、田植えの終了時期の目安とされてきました。関西ではタコを、香川ではうどんを食べる習慣があります。
二百十日(にひゃくとおか)
立春から数えて210日目で、9月1日頃にあたります。台風が襲来しやすい時期として農家に警戒されてきました。
七十二候とは
二十四節気をさらに細かく分けたものが「七十二候(しちじゅうにこう)」です。各節気を初候・次候・末候の3つに分け、約5日ごとの季節の移り変わりを、動植物や自然現象の変化で表現しています。
たとえば、立春の七十二候は以下の通りです。
- 初候:東風解凍(はるかぜ こおりをとく)…東風が吹いて氷を溶かす
- 次候:黄鶯睍睆(うぐいす なく)…鶯が山里で鳴き始める
- 末候:魚上氷(うお こおりをいずる)…魚が氷の下から出てくる
七十二候は中国から伝わったものですが、日本の気候に合わない部分があったため、江戸時代に渋川春海(しぶかわはるみ)によって「本朝七十二候」として日本向けに改訂されました。現在は明治時代の「略本暦」のものが主に使われています。
まとめ
二十四節気は、約2000年以上の歴史を持つ季節の暦です。この記事のポイントをまとめます。
- 二十四節気は1年を24等分し、約15日ごとに季節の移り変わりを示すもの
- 古代中国で生まれ、日本には飛鳥時代から平安時代に伝来
- 太陽の動き(太陽黄経)をもとに決められており、農作業の目安として重宝されてきた
- 夏至・冬至・春分・秋分の「二至二分」と、立春・立夏・立秋・立冬の「四立」が基本の「八節」
- 日本では二十四節気を補う「雑節」(土用、八十八夜、入梅など)が独自に発達
- 2016年にユネスコ無形文化遺産に登録され、「中国の第五の大発明」とも称される
現代では、季節の挨拶状を出す時期の目安や、年中行事の基準として活用されています。二十四節気を意識することで、日々の暮らしの中で季節の移ろいをより豊かに感じることができるでしょう。
参考情報
この記事の作成にあたり、以下の情報源を参照しました。
一次資料・学術資料
- 国立天文台暦計算室「二十四節気」 – 二十四節気の定義と解説
- 国立天文台「令和7年(2025)暦要項」 – 2025年の二十四節気の正式な日付
- 国立国会図書館「日本の暦」 – 二十四節気の歴史的背景
二次資料
- Wikipedia「二十四節気」 – 基本情報の確認
- UNESCO「The Twenty-Four Solar Terms」 – 無形文化遺産登録情報
さらに詳しく知りたい方へ
- 暦生活「二十四節気一覧」 – 各節気の詳細な解説
- 国立天文台暦計算室「暦Wiki」 – 二十四節気の仕組みの詳細

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