クトゥルフ神話のゲームや作品で「ナイトゴーント」という生物を見かけたことはありませんか?
真っ黒な体にコウモリのような翼、そして顔のない不気味な姿。
この奇妙な生物は、実は「ノーデンス」という神に仕える眷属なんです。
「ナイトゴーントって何?」「ノーデンスとはどんな関係なの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、クトゥルフ神話におけるナイトゴーントとノーデンスの関係について、分かりやすく解説します。
ナイトゴーント(夜鬼)とは?
基本情報
ナイトゴーント(Night-gaunts)は、クトゥルフ神話に登場する架空の生物です。
日本語では夜鬼(やき)とも呼ばれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初出作品 | 『未知なるカダスを夢に求めて』(1927年) |
| 創造者 | H.P.ラヴクラフト |
| 生息地 | ドリームランド(夢の国) |
| 主人 | ノーデンス |
ナイトゴーントの外見
ナイトゴーントの姿は、まるで西洋の悪魔のようです。
主な身体的特徴
- 顔がない(のっぺらぼう)
- コウモリのような大きな翼
- 長く曲がった尻尾
- 頭に角がある
- ゴムのような質感の真っ黒な皮膚
- 痩せこけた人型の体
声を出すことができず、完全に無音で飛行します。
月のない夜には、星が遮られることでようやくその存在に気づけるほどなんです。
ラヴクラフトの悪夢から生まれた
実はナイトゴーントには、面白い誕生秘話があります。
クトゥルフ神話の生みの親であるH.P.ラヴクラフトは、5歳のときに見た悪夢にこの生物が登場したと語っています。
幼少期のトラウマが、後に神話世界の生物として蘇ったわけです。
彼の詩集『ユゴスよりの菌類』でも、ナイトゴーントについて詠われています。
ノーデンスとは?
旧神の一柱
ノーデンス(Nodens)は、クトゥルフ神話における旧神(Elder Gods)の一柱です。
「大いなる深淵の主」(Lord of the Great Abyss)という別名を持っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初出作品 | 『霧の高みの不思議な家』(1926年) |
| 分類 | 旧神 |
| 元ネタ | ケルト神話の癒しの神 |
| 対立者 | ナイアーラトテップ(ニャルラトホテプ) |
ノーデンスの外見と特徴
ノーデンスは、白髪と灰色の髭を持つ老人の姿で現れます。
老いてはいるものの、まだまだ力強く活力に満ちた存在として描かれています。
イルカが引く巨大な貝殻の戦車に乗って移動するのが特徴的です。
クトゥルフ神話では珍しい「比較的友好的な神」
クトゥルフ神話の神々といえば、人類に対して無関心か、あるいは敵意を持つ存在がほとんどですよね。
でも、ノーデンスは違います。
人間に対して比較的友好的な態度をとることで知られているんです。
『未知なるカダスを夢に求めて』では、主人公ランドルフ・カーターがニャルラトホテプに騙されそうになったとき、ノーデンスが助けに現れました。
ただし、「友好的」といってもあくまで神様としての尺度の話。
人間を救った後にどうなろうと、ノーデンスにとってはあまり関係ないこともあるので、完全に信頼できる味方というわけではありません。
ナイトゴーントとノーデンスの主従関係

ナイトゴーントはノーデンスの眷属
ここからが本題です。
ナイトゴーントは、ノーデンスに仕える奉仕種族なんです。
『未知なるカダスを夢に求めて』では、ナイトゴーントの真の主人について明かされる重要なシーンがあります。
ナイトゴーントは、一般に信じられているようにニャルラトホテプに仕えているわけではない。
彼らが仕えるのは、古き者ノーデンスなのだ。
地球の神々(Great Ones)ですら、ナイトゴーントを恐れている。
これは作中で主人公カーターが、レン高原の修道院で学んだ重要な情報でした。
ングラネク山の守護者
ナイトゴーントの主な任務は、聖地ングラネク山の警護です。
ドリームランドにあるこの山には、神々の顔が彫られた巨大な岩壁があります。
ナイトゴーントはノーデンスの命を受けて、この聖地の周辺を飛び回っているんです。
侵入者への対応
- 群れで襲いかかり、空中へ抱え上げる
- 尻尾でくすぐって抵抗を封じる
- おとなしくしていれば辺鄙な場所に放置
- 抵抗し続けると深淵(ナスの谷)へ投げ捨てる
攻撃方法が「くすぐり」というのは、少し意外ですよね。
でも、空中で抱えられた状態でくすぐられたら、確かに抵抗どころではないかもしれません。
シャンタク鳥との天敵関係
ニャルラトホテプ配下のシャンタク鳥
ナイトゴーントを理解する上で、シャンタク鳥との関係も重要です。
シャンタク鳥は、象ほどの大きさを持つ馬の頭をした巨大な鳥の怪物。
ニャルラトホテプに仕える存在で、レン高原などに生息しています。
なぜシャンタク鳥はナイトゴーントを恐れるのか?
シャンタク鳥にとって、ナイトゴーントは天敵です。
『未知なるカダスを夢に求めて』では、こんなシーンがあります。
シャンタク鳥に乗った人物が、ングラネク山の近くを通過するとき、山の洞窟をひどく恐れて急いで通り過ぎようとしました。
そこにナイトゴーントが潜んでいることを知っていたからです。
作中では、10〜15体のナイトゴーントがいれば、どんなシャンタク鳥の群れも寄せ付けないと語られています。
ノーデンス vs ニャルラトホテプの代理戦争?
この関係性は、より大きな構図を反映しています。
| 陣営 | 神格 | 眷属 |
|---|---|---|
| 旧神側 | ノーデンス | ナイトゴーント |
| 外なる神側 | ニャルラトホテプ | シャンタク鳥、月獣 |
ナイトゴーントとシャンタク鳥の対立は、言わばノーデンスとニャルラトホテプの代理戦争のような側面があるわけです。
グールとの協力関係
意外な同盟者
ナイトゴーントには、もう一つ重要な関係があります。
それがグール(食屍鬼)との協力関係です。
『未知なるカダスを夢に求めて』では、主人公カーターがグールの助けを借りて、ナイトゴーントの群れを味方につけることに成功しました。
なぜグールと協力できるのか?
グールはドリームランドの地下世界に住む生物で、ナイトゴーントとは生息域が重なっています。
両者は互いの習性をよく理解しており、長年にわたる協力関係を築いているんです。
カーターは、グールの仲介によってナイトゴーントの軍勢を得て、月獣やシャンタク鳥との戦いに勝利しました。
後世の作家による設定の変化

本来の設定
ラヴクラフトの原作では、ナイトゴーントの主人は明確にノーデンスとされています。
ニャルラトホテプは彼らの主人ではないことが、作中ではっきりと述べられているんです。
異なる設定を持つ作品も
しかし、後世の作家たちの中には、異なる設定を採用した人もいます。
リン・カーターとブライアン・ラムレイは、ニャルラトホテプやイブ=ツトゥルをナイトゴーントの支配者としました。
また、ラムレイの「幻夢郷シリーズ」では、ナイトゴーントはもともと古代ティームドラ大陸の生物だったという独自の起源が語られています。
クトゥルフ神話は多くの作家が参加する共有神話なので、このような設定の違いが生まれるのは自然なことです。
クトゥルフ神話TRPGでの扱い
ナイトゴーントのステータス
テーブルトークRPG『クトゥルフ神話TRPG』では、ナイトゴーントは以下のようなデータで登場します。
| 能力値 | 平均値 |
|---|---|
| STR | 50 |
| CON | 50 |
| SIZ | 70 |
| INT | 20 |
| POW | 50-55 |
| DEX | 65 |
| 移動 | 6/飛行12 |
| 耐久力 | 12 |
| 装甲 | 2ポイント |
| 正気度喪失 | 0/1d6 |
比較的扱いやすいステータスで、ドリームランドを舞台にしたシナリオでよく登場します。
シナリオでの活用ポイント
TRPGのシナリオを作る際には、以下のような使い方が考えられます。
活用例
- ドリームランドの案内役として(協力関係を結べた場合)
- ングラネク山周辺での障害として
- ノーデンスの登場を予感させる伏線として
- ニャルラトホテプの策略に対抗する味方として
ノーデンスが招来されたとき、一緒にナイトゴーントも現れるという演出も効果的です。
日本のサブカルチャーでの登場
『這いよれ!ニャル子さん』でのノーデンス
日本では、ライトノベル『這いよれ!ニャル子さん』でノーデンスが登場しています。
この作品では、クトゥルフ神話の神々が「宇宙人」として描かれており、ノーデンスも「ノーデンス星人」として複数体が登場。
ナイトゴーントを操って主人公を狙うエピソードがあり、原作の主従関係が反映されています。
ゲームやアニメでの登場
ナイトゴーントは、その独特な見た目から様々な作品で登場しています。
- ファンタジー系TRPG(D&D系など)
- ペルソナシリーズ
- 各種クトゥルフ神話ゲーム
そのスタイリッシュな外見から、多くのファンアートや擬人化イラストも描かれています。
まとめ
ナイトゴーントとノーデンスの関係について、ポイントを整理しましょう。
ナイトゴーントの基本
- 顔のない黒い翼を持つ生物
- ラヴクラフトの幼少期の悪夢が元ネタ
- ドリームランドに生息
ノーデンスとの関係
- ナイトゴーントはノーデンスに仕える眷属
- ングラネク山の守護を担当
- ニャルラトホテプではなくノーデンスが主人
対立と協力
- シャンタク鳥の天敵(ニャルラトホテプ陣営と対立)
- グールとは協力関係
- 地球の神々ですら恐れる存在
クトゥルフ神話の世界では、恐ろしい神々や怪物ばかりが注目されがちです。
でも、ノーデンスとナイトゴーントのように、比較的「まし」な存在も存在しています。
もちろん、人間の基準で「味方」と呼べるかどうかは別の話ですが。
クトゥルフ神話TRPGを遊ぶときや、神話作品を楽しむときには、ぜひこの主従関係を思い出してみてください。
ナイトゴーントが登場したら、その背後にはノーデンスの影があるかもしれませんよ。


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