「逃げ上手の若君」を読んでいて、「この武将は史実ではどんな人だったの?」「敵キャラも味方キャラも多すぎてよくわからない!」と思ったことはありませんか?
松井優征先生による本作は、2021年から週刊少年ジャンプで連載中の歴史漫画。鎌倉幕府滅亡後の南北朝時代を舞台に、北条時行という実在の人物を主人公にした物語です。2024年にはアニメ化も果たし、累計発行部数は450万部を突破しました。
登場する武将たちは、史実に基づきながらも松井先生ならではのアレンジが加えられており、敵も味方も非常に魅力的に描かれています。
この記事では、「逃げ上手の若君」に登場する武将たちを勢力別に整理し、その特徴や史実との関係を詳しく解説していきます。
作品の基本設定と時代背景
物語の舞台となる時代
「逃げ上手の若君」は、1333年の鎌倉幕府滅亡から物語が始まります。
約150年にわたって日本を統治してきた鎌倉幕府は、足利高氏(後の尊氏)の裏切りによって滅亡。北条一族は自害や討死によってほぼ全滅しました。
しかし、北条家の嫡流である得宗家の御曹司・北条時行だけは、諏訪頼重の手引きによって鎌倉を脱出。信濃国の諏訪大社に匿われ、やがて鎌倉奪還を目指して戦いに身を投じていくことになります。
「逃げる」という新しい英雄像
本作の最大の特徴は、「戦って死ぬ」ことが美徳とされた武士の時代に、「逃げて生きる」ことで英雄となった時行の姿を描いている点です。
時行は武芸こそ苦手ですが、逃げ隠れの能力に関しては天才的。この「逃げ上手」という特性を活かした戦い方が、物語の大きな見どころとなっています。
主人公と逃若党
北条時行(ほうじょう ときゆき)
基本情報
- 立場:北条得宗家の御曹司、逃若党の主君
- 年齢:8歳(1333年)→成長に伴い変化
- 声優:結川あさき
人物像
北条時行は、鎌倉幕府執権・北条高時の次男として生まれた正室の子です。
優しく心穏やかな性格で、地位や権力には興味がなく、平和な鎌倉での暮らしを愛していました。武芸の稽古が大嫌いで、師範役から逃げ回っていた問題児でもあります。
しかし、この「逃げ癖」こそが彼の最大の才能でした。大人でも容易に捕まえられないほどの神速の逃げ足を持ち、ただ恐れて逃げるだけでなく、逃げることそのものに興奮を覚えるという変わった性格の持ち主です。
作中での活躍
足利高氏の裏切りで全てを失った時行は、諏訪頼重に導かれて信濃へ逃れます。そこで頼重から「逃げ上手の才能」を見出され、やがて仲間たちと共に「逃若党」を結成。鎌倉奪還を目指して戦っていきます。
1335年には中先代の乱を起こし、一時的に鎌倉を奪還することに成功。その後も南朝方に帰順し、北畠顕家の軍に加わって足利勢と戦い続けました。
史実では
史実の北条時行も、鎌倉幕府滅亡後に諏訪頼重のもとで保護され、1335年に中先代の乱を起こして鎌倉を奪還しています。その後、南朝方として活動し、計3回も鎌倉入りを果たしました。
1353年に処刑されるまで、約20年にわたって足利勢と戦い続けた人物です。「天下五剣」の一つである名刀・鬼丸国綱を所持していたとも伝えられています。
諏訪頼重(すわ よりしげ)
基本情報
- 立場:諏訪大社の当主、時行の後見人
- 年齢:不明
- 声優:中村悠一
人物像
信濃国・諏訪大社の当主であり、「現人神(あらひとがみ)」として民から絶大な信仰を集める存在です。
神力を操り、未来を見ることができる……らしいのですが、見える未来はおぼろげで精度は怪しいところがあります。常にハイテンションで感情の起伏が激しく、後光を自在に調節できるという謎の能力も持っています。
非常に胡散臭い人物ですが、その実、深い知恵と慈愛を持った名将でもあります。
作中での活躍
鎌倉滅亡の際、時行を救い出して諏訪に匿いました。時行の「逃げ上手」の才能を見抜き、これを「英雄の素質」と評価。鎌倉奪還のために厳しい試練を与えつつも、時行の成長を温かく見守っています。
中先代の乱では時行を支えて戦いましたが、敗北後に壮絶な最期を遂げます。
史実では
史実でも諏訪頼重は北条時行を保護し、中先代の乱を支援した人物です。乱の敗北後、足利軍に追い詰められて自害したとされています。
諏訪氏は諏訪大社の大祝(おおほうり)を代々務める神官の家系であり、武士と神官の両方の顔を持つ独特の存在でした。
逃若党の仲間たち
時行を支える「逃若党(ちょうじゃとう)」は、彼と同世代の若者で構成された郎党です。読み方は「逃げる若君の党」から「ちょうじゃとう」となっています。
雫(しずく)
基本情報
- 立場:逃若党の執事、諏訪頼重の娘
- 声優:矢野妃菜喜
諏訪大社の巫女であり、逃若党の家政全般を取り仕切る執事的存在です。
頼重ほどではないものの神力を操る秘術を使うことができ、勘が鋭く未来を予知しているかのような判断力を持っています。事務能力にも優れ、各地の諸将に顔が利くため、根回しや献策も得意としています。
基本的には品行方正ですが、時折周囲を驚かせるような言動をとることも。少々毒舌家で、父・頼重のフォローは一切しません。
弧次郎(こじろう)
基本情報
- 立場:逃若党の副将、祢津一族出身
- 声優:日野まり
諏訪神党に連なる祢津一族の出身で、時行と同年齢ながら随一の太刀の使い手と称される少年です。
「若」と呼んで時行に仕えつつも、友人のような関係を築いています。負けん気が強く、強敵との戦いに興奮を覚える性格。戦場では味方の世話を焼く献身的な働きぶりから、逃若党の副将として厚い信頼を集めています。
攻撃が苦手な時行に代わって敵を攻め立てるのが主な役回りです。
亜也子(あやこ)
基本情報
- 立場:逃若党の便女(びんじょ)、望月一族出身
- 声優:鈴代紗弓
天真爛漫な怪力娘で、時行のお世話係や武芸の稽古役を務めています。
見た目は可愛らしい少女ですが、その怪力は凄まじく、大人の男を軽々と投げ飛ばすほど。主君を守り支えられる強い女性に憧れており、弧次郎とは日頃から切磋琢磨し合っています。音楽や舞踊など多彩な芸も習得しており、小笠原貞宗の追及から時行を救った際にはその芸才を発揮しました。
風間玄蕃(かざま げんば)
基本情報
- 立場:逃若党の忍、風間一族出身
- 声優:悠木碧
情報収集を得意とする忍で、狐の面を使った変装術に長けています。
元々は諏訪に名を轟かせた有名な盗人でした。父が忠義を尽くした主君に技を「卑劣」と非難され没落した過去から、「金以外信じるな」という信条を持っています。当初は時行のことも信用していませんでしたが、時行の一途さに触れ、出世払いで国を一つ貰うことを条件に逃若党に加わりました。
吹雪(ふぶき)
基本情報
- 立場:逃若党の軍師
- 声優:戸谷菊之介
様々な軍略に精通する冷静沈着な二刀使いの剣士です。十代半ばで、亜也子と弧次郎二人がかりの攻撃をいなすほどの実力者。
戦況を瞬時に見極めて的確な戦術を編み出す軍師としての能力に加え、人に教えることにも長けています。時行に「鬼心仏刀」という剣術を伝授しました。
一見隙がないように見えますが、尋常ではない大食いで、空腹になると力が出なくなるという弱点があります。食べ物があれば一人で食べ尽くしてしまうことも。
北条一族と諏訪勢力
北条高時(ほうじょう たかとき)
基本情報
- 立場:鎌倉幕府14代執権、時行の父
- 年齢:物語開始時点で既に故人
北条家得宗、鎌倉幕府14代執権として君臨していましたが、長年側近たちの傀儡に成り果てていました。足利高氏の謀反によって朝敵となり、鎌倉幕府滅亡時に自害しました。
覇気どころか生気すら失っていたとされますが、実権はなかったものの幕府の総帥としての立場は保っていました。
北条邦時(ほうじょう くにとき)
基本情報
- 立場:時行の異母兄
高時の長子ですが、側室の子であったため家督継承者とはされていませんでした。鎌倉滅亡時に叔父・五大院宗繁の裏切りにより捕らえられ、処刑されています。
時行との仲は良く、弟の「逃げ上手」についても「自分や父のそれとは違う」と理解を示していました。
北条泰家(ほうじょう やすいえ)
基本情報
- 立場:時行の叔父
どんな状況でも生き残ることを優先する、この時代の武士としては珍しい「逃げ上手」の人物。時行の逃げ癖は明らかにこの叔父に似ていると言われています。
諏訪盛高(すわ もりたか)
基本情報
- 立場:諏訪一族、頼重の重臣
- 声優:石黒史剛
諏訪頼重を補佐する重臣の一人。生真面目な性格で、頼重の奔放な言動に振り回されることも多いようです。
足利勢力
本作の敵対勢力である足利家とその配下の武将たちを紹介します。個性的で魅力あふれる「敵キャラ」が多いのも本作の特徴です。
足利尊氏(あしかが たかうじ)
基本情報
- 立場:足利家棟梁、室町幕府初代将軍
- 旧名:足利高氏
- 声優:小西克幸
人物像
武家の名門・足利家の棟梁で、武勇・教養・家柄・人望の全てを兼ね備えた「大英雄」として描かれています。
圧倒的な武力と強烈なカリスマ性で人々を魅了し、鎌倉幕府の守護神として活躍していました。時行も信頼を寄せて慕っていた人物です。
穏やかで謙虚な態度の裏にある真意は誰にも分からず、作中では不気味な存在として描かれています。その言動は支離滅裂に見えることもありますが、異常なほどのカリスマ性を持ち、敵味方を問わず人々を惹きつける力があります。
作中での役割
本作における最大の敵であり、時行の宿敵です。鎌倉幕府を滅ぼした張本人であり、後に室町幕府を開いて将軍となります。
作中では人間離れした戦闘能力を持ち、首に刃を突き刺されても死なないなど、ほとんど化け物のような存在として描かれています。
足利直義(あしかが ただよし)
基本情報
- 立場:尊氏の弟、関東統治の責任者
尊氏の弟で、兄とは対照的に冷静で理知的な人物。鎌倉滅亡後は関東の統治を任され、関東庇番を率いて北条残党の討伐にあたりました。
正義感と優しさを持った好青年ですが、その正義を足利家のために使うようになりました。後に尊氏との対立(観応の擾乱)へと発展していきます。
高師直(こう の もろなお)
基本情報
- 立場:足利家執事
尊氏に仕える執事で、徹底的に冷酷かつ合理的な性格の持ち主。無能と断じた人材には足利一門でも容赦がありません。
倒幕後から足利の繁栄を目論む野心を秘め、次第に増長して直義との対立を深めていきます。最終的には観応の擾乱を引き起こすことになります。
高師泰(こう の もろやす)
師直の弟で、兄より感情的で非情な性格の婆娑羅武将。兄同様に智勇兼備で、足利軍の中核を担っています。
関東庇番
関東庇番(かんとうひさしばん)は、足利直義が鎌倉統治のために組織した精鋭部隊です。曲者揃いの個性的な武将たちで構成されており、中先代の乱では時行の前に立ちはだかりました。
斯波家長(しば いえなが)
基本情報
- 立場:関東庇番寄騎→奥州総大将兼関東執事
- 通称:斯波孫二郎
- 年齢:15歳(1335年時点)
人物像
足利一門の中でも名門の出身で、「麒麟児」と称される少年です。軍略に優れ、曲者揃いの関東庇番をうまく誘導して戦全体の絵図を描くのを得意としています。
初登場時は「孫二郎」の通称で呼ばれていましたが、中先代の乱後に成長を遂げ、奥州総大将兼関東執事として東国の足利方を取りまとめる手腕を発揮しました。
作中での活躍
中先代の乱では多くの仲間を失いましたが、その経験から様々なことを学んで成長。冷徹かつ巧みな指揮で北畠顕家を翻弄し、師直一派の増長による足利家の分裂を予見するなど、政治的な手腕も見せています。
最期は鎌倉・杉本寺の戦いで北畠顕家軍に敗れ、17歳の若さで討死しました。
渋川義季(しぶかわ よしすえ)
基本情報
- 立場:関東庇番第一陣総大将
生来は強固な正義心と優しさを持った好青年で、討幕の戦では妻の実家に連なる北条家に刃を向けることを拒否していました。
しかし直義から一門内での厚遇を約束されたことで逃げ道を塞がれ、足利への恩のために正義を使うようになりました。渋川・岩松・石塔で「庇番最強の布陣」と称されています。
中先代の乱では第一陣総大将として北条軍を迎撃しますが、時行と弧次郎との戦いで敗北。弧次郎の武勇を賞賛し、時行に「正義を貫く苦痛」を忠告して息絶えました。
岩松経家(いわまつ つねいえ)
渋川義季と共に庇番最強の布陣を構成する武将の一人。中先代の乱で時行たちと激突しました。
今川範満(いまがわ のりみつ)
基本情報
- 立場:関東庇番
- 異名:馬頭鬼
騎馬の機動力を活かした戦闘を得意とする武将で、「馬頭鬼」の異名を持ちます。中先代の乱では第二陣として小手指ヶ原に出陣し、機動力を以て戦場を暴れ回りました。
時行と戦うことになり、最終的には吹雪の奇策にはまって打ち取られます。
三浦時明(みうら ときあき)
基本情報
- 立場:関東庇番二番組衆
三浦氏の現当主で、純粋な戦の強さなら庇番筆頭と評される実力者。ただし足利一門ではないため地位は高くありません。
「義理に欠けすぐ人を裏切る」男と言われていますが、度重なる裏切りは家を守るための苦肉の策でした。井手の沢の戦いで北条軍に寝返りますが、高兄弟と敵対することになり、弟を逃がして命を落としました。
信濃国の敵対勢力
小笠原貞宗(おがさわら さだむね)
基本情報
- 立場:信濃守護
- 声優:青山穣
人物像
鎌倉幕府滅亡時に足利尊氏に寝返り、信濃国守護に任じられた武将です。
最大の特徴は、異常なほど優れた視力。目からの振動で会話ができたり、目から涙だけでなく胃液も流せるという人間離れした特技を持っています。その視力のおかげで弓の名手として知られ、後醍醐天皇からもその腕前を称えられました。
一見すると狂人のようなギョロ目の強烈なビジュアルですが、実は武士としての誇りと実力を兼ね備えた人物。時行にとっては敵でありながら、ある意味で弓術の師とも言える存在です。
作中での活躍
時行の正体を暴こうと執拗に追及し、犬追物での弓矢対決では激闘を繰り広げました。時行が編み出した「逃げながらの後方射撃(パルティアン・ショット)」に敗れますが、その後も好敵手として何度も対峙することになります。
お互いに「敵ながらあっぱれ」と認め合いつつも、最後まで敵同士として戦い続けることになります。
史実では
史実の小笠原貞宗も弓の名手として知られ、現代における弓術の基礎(小笠原流弓術)を築いた人物とされています。1347年に京都で没するまで、一貫して足利方の武将として活動しました。
市河助房(いちかわ すけふさ)
基本情報
- 立場:信濃守護補佐役
- 声優:山本高広
遠く離れたところの音まで聞き取ることができる、すさまじく優れた聴力を持つ武将です。冷静な状況分析に長けており、武将としての能力も高いのですが、なぜか貞宗に対して時々タメ口になることがあります。
瘴奸(しょうかん)
基本情報
- 立場:征蟻党の首領
- 声優:東地宏樹
かつて「悪党」として恐れられた武士で、悪党ばかりを集めた「征蟻党」を率いています。貞宗に仕え、諏訪の領地を奪うために中山庄にて時行たちの前に立ちはだかりました。
時行にとって初めての本格的な強敵であり、吹雪から伝授された「鬼心仏刀」を用いて打ち破った相手です。
清原信濃守(きよはら しなののかみ)
後醍醐天皇より新たに信濃国司に任じられた反北条派の公家。民から重税を絞り取る悪徳国司で、「守護」の上司にあたる役職のため、小笠原貞宗ですら逆らうことができません。
その圧政に耐えかねた北信濃の保科弥三郎が反乱を起こし、時行たちがこれに関わることになりました。
南朝方の武将
中先代の乱後、時行は南朝方に帰順し、後醍醐天皇に仕える武将たちと共に戦うことになります。
北畠顕家(きたばたけ あきいえ)
基本情報
- 立場:鎮守府大将軍、南朝方の総大将
- 年齢:20歳(1337年時点)
人物像
後醍醐天皇に仕える公卿・北畠親房の長男で、「南朝の貴公子」「花将軍」などと称される美しい若武者です。
19歳の若さで足利尊氏軍を破り、九州に追い払った朝廷方最強の将。中性的なビジュアルと圧倒的なカリスマ性で、作中でも強烈な存在感を放っています。
作中での活躍
中先代の乱から二年後、伊豆に潜伏していた時行は顕家から朝敵解除の許しを得て、南朝方として尊氏討伐に参加することになりました。
顕家の率いる奥州軍は京を目指して進軍し、杉本寺で斯波家長を討ち取って二度目の鎌倉入りを果たします。青野原の戦いでは土岐頼遠、小笠原貞宗らを打ち破り、石津の戦いでは高師直軍を敗死寸前まで追い詰めました。
しかし、尊氏の乱入により顕家は討死し、南朝軍は大敗を喫することになります。
史実では
史実の北畠顕家も、14歳で奥州の統治を任された神童として知られています。1338年の石津の戦いで討死し、わずか20歳でその短い生涯を終えました。
ちなみに、本作の作者である松井優征先生の夫人は北畠顕家の子孫だそうで、巻末コメントにて「性格は似ていないけど猪突猛進型のところは一緒」と書かれています。
楠木正成(くすのき まさしげ)
南朝方の名将で、後醍醐天皇に仕えた武将。ゲリラ戦術を得意とし、「悪党」出身ながら天下に名を轟かせた人物です。
作中では顕家軍とは別動隊として活動し、湊川の戦いで討死しました。
諏訪神党の武将たち
諏訪神党は、諏訪大社を中心とした信濃の武士団です。諏訪頼重のもと、時行を支援する立場にあります。
保科弥三郎(ほしな やさぶろう)
基本情報
- 立場:諏訪神党の一員
北信濃に領地を持つ諏訪神党の武将。戦場で死ぬことこそ武士の誇りと考えていましたが、時行に出会って考えを改めました。
清原信濃守の圧政に耐えかねて反乱を起こし、時行たちに救われた後は中先代の乱にも参加しています。
祢津頼直(ねづ よりなお)
諏訪神党三大将の一人。弧次郎の一族である祢津家の当主です。弧次郎を嫌っていた理由は単行本9巻で明らかになりました。
その他の重要人物
後醍醐天皇(ごだいごてんのう)
基本情報
- 立場:第96代天皇
鎌倉幕府を打倒し、「建武の新政」を行った天皇。史実に則るならば、足利でも北条でもない第三勢力と言える存在です。
作中では詳細が不明な謎の存在として描かれており、時行にとっては複雑な立場にある人物。北条家を滅ぼした張本人でありながら、後に時行は南朝方として彼に仕えることになります。
五大院宗繁(ごだいいん むねしげ)
基本情報
- 立場:時行の叔父
時行の叔父にあたる人物で、鎌倉滅亡時に北条邦時(時行の兄)を新田義貞に引き渡した裏切り者。この裏切りにより邦時は処刑されました。
作中では時行に恨まれる存在として描かれています。
武将たちの勢力関係図
物語を理解する上で、各勢力の関係を整理しておきましょう。
北条方(時行側)
| 分類 | 主な人物 |
|---|---|
| 主君 | 北条時行 |
| 後見人 | 諏訪頼重 |
| 逃若党 | 雫、弧次郎、亜也子、風間玄蕃、吹雪 |
| 諏訪神党 | 諏訪盛高、保科弥三郎、祢津頼直 |
| 北条一族 | 北条泰家 |
足利方(敵側)
| 分類 | 主な人物 |
|---|---|
| 総大将 | 足利尊氏 |
| 関東統治 | 足利直義 |
| 執事 | 高師直、高師泰 |
| 関東庇番 | 斯波家長、渋川義季、今川範満、三浦時明 |
| 信濃守護 | 小笠原貞宗、市河助房 |
南朝方
| 分類 | 主な人物 |
|---|---|
| 天皇 | 後醍醐天皇 |
| 総大将 | 北畠顕家 |
| 名将 | 楠木正成 |
史実との関係
作品の歴史的正確性
「逃げ上手の若君」は史実をベースにしながらも、エンターテイメント作品として大胆なアレンジが加えられています。
作者の松井優征先生は、「鎌倉時代や室町時代の武士にとって、勝利とは逃げて生き残ることだった」という視点から、時行の「逃げ上手」という特性を設定しました。これは歴史的に見ても決して間違いではないとのことです。
主な史実イベント
| 年代 | 出来事 | 作中での描写 |
|---|---|---|
| 1333年 | 鎌倉幕府滅亡 | 物語の始まり |
| 1335年 | 中先代の乱 | 時行の鎌倉奪還と敗北 |
| 1337年 | 杉本寺の戦い | 斯波家長との決戦 |
| 1338年 | 石津の戦い | 北畠顕家の討死 |
| 1350年代 | 観応の擾乱 | 足利家の内紛 |
| 1353年 | 時行処刑 | 物語の結末(予定) |
まとめ
「逃げ上手の若君」に登場する武将たちは、敵も味方も非常に魅力的に描かれています。
北条方の魅力
- 主人公・時行の成長と、個性豊かな逃若党の仲間たち
- 胡散臭くも頼れる諏訪頼重の存在感
- 逆境に立ち向かう北条一族の矜持
足利方の魅力
- 不気味なカリスマ・足利尊氏の底知れぬ恐ろしさ
- 正義を貫こうとする敵将たちの苦悩
- 小笠原貞宗のような「敵ながら魅力的」なキャラクター
南朝方の魅力
- 花将軍・北畠顕家の圧倒的なカリスマ性
- 若き英雄たちの激突
松井優征先生ならではのギャグとシリアスの絶妙なバランス、そして史実に基づいた骨太のストーリーが、本作の大きな魅力となっています。
2026年7月には待望のアニメ第2期が放送予定。これを機に、ぜひ本作の武将たちの活躍に注目してみてください。
歴史好きの方はもちろん、「戦国時代以外の日本史はよく知らない」という方にも、南北朝時代という混沌とした時代の魅力を伝えてくれる作品です。


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