メソポタミア神話には、太陽や月の神だけでなく、冥界や死、戦いをつかさどる神も存在します。
その代表格が「ネルガル(Nergal)」。
冥界の支配者であり、疫病や戦争の神でもあるネルガルはこわい存在で、神話をひもとくとそのとんでもなさが見えてきます。
この記事では、ネルガルという神の本質にせまっていきます!
名前の意味

「ネルガル(Nergal)」という名前は、「大都市の支配者」を意味する。
この意味は、ネルガルが「冥界の王」であったことを表現している。
また、ネルガルは「エルラ(Erra)」という別名でも知られている。
系譜(けいふ)
ネルガルの出自には諸説ありますが、主要な神々との関係は以下の通りです。
- 父:エンリル(風と秩序の至高神)
- 母:ニンリル(風と豊穣の女神)
- 妻:エレシュキガル(冥界の女王)
ネルガルは、神々の王エンリルとニンリルの間に生まれ、冥界の女王エレシュキガルと結ばれたことで「冥界の王」に昇格なりました。
姿・見た目

ネルガルのビジュアルは、ほかの神々に比べて荒々しく、軍神的な要素が強調されています。
- 神の象徴である角
- 筋骨たくましい男性の姿
- 光を帯びる
- 武器(とくに三日月刀・シミター)を手にしている
- 持ち物にライオンや猛獣の頭の装飾があったりする
神格・神性

ネルガルは、破壊と死をつかさどり、かなり暴力的な神様。
ネルガルの神格まとめ:
- 冥界(死者の国)の王
- 疫病の神
- 戦争の神
彼はとにかく破壊的で、戦争と死を司っています。
神話でのエピソード
神話でのエピソードを2つ紹介する。
「エレシュキガルとの冥界神話」

ネルガルはある日、冥界の女王エレシュキガルに対して失礼な態度をとります。
彼の礼儀を欠いた態度に、エレシュキガルは激怒します。
エレシュキガルはネルガルを呼び出すのですが・・・、ネルガルは冥界に侵略し勝利した上で帰還。
その後、エレシュキガルが再びネルガルを呼び出し、ネルガルは冥界に戻ってくる。
もう地上に戻れないネルガルは、エレシュキガルを力で捩じ伏せて結婚するというエピソードが語られています。
これによって、ネルガルは冥界の統治者となりました。
神話「ネルガルとエラ」

主人公の神ネルガルは、失われた名声を取り戻すために戦争を起こし、バビロンの神マルドゥクを追放するが、その行動は世界を混沌に陥れる。
彼の従神イシュムはこれを止めようとするが失敗。
最終的にはイシュム自身が戦争を起こしヒヒ山周辺を破壊し尽くした後、ネルガルを一喝する。
イシュムの成果に満足したネルガルは満足し帰還した。
これによって地上に秩序が取り戻された。
物語の終盤、ネルガルは自分を称える詩を保管してる家は破壊しないことをイシュムに広めさせた。
これによって、人々はネルガルを讃え続け、彼の名声が失われないようにした。
6. まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
名前の意味 | 大都市の支配者(冥界の支配者の表現) |
系譜 | エンリルの子とも言われ、エレシュキガルの夫 |
見た目 | 光を帯び、シミターを持った軍神の姿 |
神格 | 冥界、疫病、戦争 |
神話 | エレシュキガルとの冥界神話、エラ叙事詩での災厄と秩序の物語 |
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