もし飼い猫を殺してしまったら、どんな恐ろしいことが起こるでしょうか?
昔の日本では、猫は蛇と同じくらい執念深い生き物だと考えられていました。
特に猫を虐待したり殺したりすると、その怨霊が取り憑いて、精神に異常をきたしたり、財産を失ったりするという恐ろしい話が各地に伝わっています。
この記事では、日本各地に伝わる心霊現象「猫憑き」について詳しくご紹介します。
概要
猫憑き(ねこつき)は、日本の各地に伝わる怪異現象の一つです。 死んだ猫、特に人間に殺されたり虐待されたりした猫の怨霊が、その加害者に取り憑いて害をなすという心霊現象なんです。
昔から猫は神秘的な動物として扱われ、その執念深さは蛇と並んで恐れられていました。 そのため、多くの地域では猫に危害を加えることをタブー視していたんですね。
特徴
猫憑きにはいくつかの特徴的なパターンがあります。
猫憑きの主な症状
- 精神異常をきたす(うわごとを繰り返す、徘徊する)
- 財産や家運が傾く
- 原因不明の病気になる
- 「猫が取り憑いた」とつぶやき続ける
地域によって、猫憑きの予防法も存在していました。
各地の予防法・対処法
- 佐賀県:死者の枕を北向きにして、布団に箒を載せ、枕元に刃物を置く
- 山口県:死んだ猫の傍を通る時「猫神うつるな、親子じゃないぞ」と唱える
- 岩手県:白い板に「猫」と書いて四辻に建てる「猫送り」の呪術
このように、地域ごとに独自の対処法が生まれたのも、猫憑きがいかに恐れられていたかを物語っています。
伝承
猫憑きの中でも最も有名なのが、愛媛県(旧・伊予国)に伝わる弥八の話です。
弥八の悲劇
宇摩郡の豪農だった弥八は、何らかの理由で飼い猫を殺してしまいました。 すると、その後すぐに恐ろしいことが起こり始めたんです。
弥八は精神に異常をきたし、「猫が取り憑いた」と繰り返しながら、ふらふらと彷徨い歩くようになってしまいました。 さらに財産もすべて他人に奪われ、完全に破滅してしまったそうです。
この出来事以降、地元では**「猫を殺すと弥八さんのようになる」**という教訓が語り継がれ、誰も猫に危害を加えなくなったといいます。
その他の伝承
天草島では、猫を虐待して殺した男が原因不明の病にかかり、占い師に見てもらったところ猫の怨霊が憑いていることが判明。 猫の供養をしたら回復したという話も残されています。
まとめ
猫憑きは、動物への残虐な行為を戒める日本の民間信仰の一つです。
重要なポイント
- 猫を殺したり虐待したりすると怨霊に取り憑かれる
- 精神異常や財産の喪失など重大な災いが降りかかる
- 各地に独自の予防法や対処法が存在する
- 弥八の話は猫憑きの代表的な伝承
- 動物への慈悲の心を説く教訓として機能していた
現代では迷信と思われがちですが、これらの伝承は動物を大切にする心を育む、昔の人々の知恵だったのかもしれませんね。
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