【砂漠に眠る古代の秘密】クトゥルフ神話の「無名都市」とは?爬虫人類が住む恐怖の地下都市を解説!

神話・歴史・伝承

砂漠のど真ん中で、地の底から「カンカン」という音が聞こえてきたら、あなたはどう思いますか?

それはもしかしたら、人類が生まれるはるか昔から存在する、恐ろしい古代都市の音かもしれません。

アラビアの砂漠の奥深く、砂に埋もれた廃墟の下には、想像を絶する恐怖が眠っていると言われています。

この記事では、クトゥルフ神話を代表する恐怖の舞台「無名都市」について、その神秘的な姿や住人、物語の内容を分かりやすくご紹介します。

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概要

無名都市は、アメリカの作家H.P.ラヴクラフトが1921年に発表した短編小説、そしてその中に登場する架空の古代都市です。

クトゥルフ神話という恐怖の物語世界の記念碑的な作品として知られています。クトゥルフ神話というのは、人類を超えた恐ろしい存在や、理解不能な宇宙的恐怖を描いた一連の物語群のことなんですね。

この作品で初めて、後に神話世界で重要な役割を果たすアブドゥル・アルハザードという名前と、彼が書いたとされる魔道書『ネクロノミコン』の詩が登場しました。

物語の舞台となる無名都市は、アラビア半島のルブアルハリ砂漠(別名「虚空の砂漠」)に存在するとされ、人類が誕生する前から存在していた超古代文明の遺跡なんです。

作品について

ラヴクラフトは1921年1月にこの作品を執筆しました。

最初は同人誌に掲載され、作者が亡くなった後の1938年に有名な怪奇小説雑誌『ウィアード・テイルズ』に掲載されています。

興味深いことに、ラヴクラフト自身はこの作品をとても気に入っていたのですが、当時は多くの雑誌に掲載を断られてしまいました。現在では、恐怖文学の傑作として高く評価されているんですけどね。

作品の成り立ち

作者自身によれば、この物語は夢から生まれたそうです。その夢のきっかけになったのが、アイルランドの幻想作家ダンセイニ卿の「三人の文学者の冒険」という作品の最後の一文でした。

「深淵の反響なき漆黒」という印象的な言葉が、ラヴクラフトの想像力をかき立てたんですね。

また、『ブリタニカ百科事典』にあった「イレム(円柱の都)」についての記述も影響を与えています。この都市は「住人が滅んだ後も無傷で残り、普通の目には見えないが、稀に天に選ばれた旅人に姿を現す」と説明されていました。

都市の姿・構造

無名都市の最大の特徴は、異常なまでに天井が低いことなんです。

都市の構造的特徴

  • 建造時期:メンフィスやバビロンよりも古い時代(紀元前数千年以前)
  • 場所:ルブアルハリ砂漠の奥深く
  • 状態:砂漠の浸食を受けて大部分が埋没
  • 通路の高さ:膝をついても頭がつかえるほど低い
  • 温度:地下から冷気が流れ出ている

地下神殿の天井は、人間が立って歩くことができないほど低く設計されています。探検者は膝をついて這いつくばって進まなければならなかったそうです。

これは人間のための建物ではなく、別の生物のために作られた証拠なんですね。

壁には豪華な壁画が描かれており、かつてこの都市に住んでいた生物たちの歴史が記録されています。地下深くには、ガラス張りの木製の箱に入ったミイラが並ぶ通路もあります。

そして最も恐ろしいのは、さらなる地下へと続く通路の先に、謎の光を放つ真鍮の扉があることです。

住人:爬虫人類

無名都市に住んでいたのは、人間ではありません。爬虫人類と呼ばれる不気味な生物たちでした。

爬虫人類の特徴

  • 姿形:ワニと体の形をした生物の中間のような姿
  • 体格:人間より小さく、四つ足で這って歩く
  • :前に突き出た額、角、鼻がなく、ワニのような顎
  • 生存期間:約1000万年にわたって繁栄
  • 信仰:邪神クトゥルフを崇拝していた

彼らの身長に合わせて都市が設計されたため、人間には極端に低い天井になっているんです。

伝説によれば、爬虫人類たちは元々は海底に都市を築いていました。地殻変動によって海底から地上に浮上し、アラビアの海辺で栄えたそうです。

しかし、やがて砂漠化が進んで都市は荒廃し、住人たちは肉体を捨てて地の底の異界へと去っていきました。

今でも夜になると、彼らの魂は悪霊となってこの地に現れ、朝日とともに消えると信じられています。

物語のあらすじ

主人公は名前の明かされない探検家で、アラビアの砂漠の奥深くに眠る伝説の都市を探し求めます。

探検の流れ

  1. 発見:砂に半ば埋もれた低い建物群を発見
  2. 最初の神殿:天井の低い神殿を発見し、地下への階段を降りる
  3. ミイラの通路:小さな木製の棺が並ぶ通路に到達。中には奇妙な爬虫類のミイラ
  4. 壁画の発見:壁に描かれた歴史絵から、爬虫人類の文明を知る
  5. 真鍮の扉:さらに奥に、強烈な光を放つ真鍮の扉を発見
  6. 恐怖の遭遇:突然吹き始めた強風と、闇の中から這い出てくる爬虫人類の群れ

探検家は最初、この爬虫類たちが信仰の対象だと考えました。しかし真実は違いました。爬虫類こそが無名都市の住人そのものだったんです。

彼らは肉体を失って霊的な存在となり、今も夜ごとにこの地に戻ってくるのでした。

神話世界での位置づけ

無名都市は、クトゥルフ神話の中で特別な意味を持つ場所です。

重要な関連事項

  • クトゥルフ教団の拠点:後の作品『クトゥルフの呼び声』で、この都市が邪神クトゥルフを崇拝する教団の拠点だったと明かされる
  • ネクロノミコンとの関連:狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードがこの都市を幻視し、その体験を魔道書『ネクロノミコン』に記した
  • ドリームランドとの境界:この都市が「夢の中の世界」と「現実世界」のどちらに属するのか、曖昧にされている

アルハザードは無名都市を訪れた際に「アルハザードのランプ」という魔法の水差し型オイルランプを持ち帰ったとも言われています。

また、一説によればアルハザードは邪神の知恵を本に記した罰として、この無名都市に連れ去られて拷問死したとも伝えられています。恐ろしい話ですね。

ちなみに、無名都市の近くには、コーランにも登場する伝説の「円柱都市アイレム」があるとされています。これは人間の都市で、神の怒りによって滅ぼされたと伝えられる場所です。

まとめ

無名都市は、人類以前の文明が眠る恐怖の古代遺跡です。

重要なポイント

  • H.P.ラヴクラフトが1921年に発表した短編小説と、その舞台となる架空の都市
  • クトゥルフ神話の記念碑的作品で、ネクロノミコンや魔道書の著者アルハザードが初登場
  • アラビア砂漠のルブアルハリに存在するとされる超古代の地下都市
  • 爬虫人類という四つ足の生物が1000万年にわたって住んでいた
  • 異常に天井が低く、人間が立って歩けない構造
  • 住人たちは肉体を捨て、今も夜ごとに悪霊として現れる
  • 邪神クトゥルフを崇拝する教団の拠点だった

砂漠の奥深くに眠る、人類以前の文明。もしあなたが砂漠で地の底から不思議な音を聞いたら、それは無名都市からの呼び声かもしれませんね。

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