もし、未来の知識まで記録された図書館が地下に眠っているとしたら、あなたは興味を持ちませんか?
オーストラリアの砂漠の地下深くには、4億年以上も前に建設された石造りの古代都市が存在すると言われています。
その都市を建てたのは、時間を超えて移動する不思議な種族でした。
この記事では、クトゥルフ神話に登場する謎の超古代都市「ナコタス」について、その構造や建設者、発見の経緯をご紹介します。
概要

ナコタス(Pnakotus)は、クトゥルフ神話に登場するオーストラリア西部の砂漠地下に眠る超古代都市です。
H・P・ラヴクラフトの小説『時間からの影』に登場し、時を超えて生きる種族「イスの偉大なる種族」が約4億8千万年前に建設したとされています。
南緯22度3分14秒、東経125度0分39秒という具体的な座標まで設定されていて、グレートサンデー砂漠という実在の場所に位置しているんです。
最大の特徴は、中央記録保管所に過去と未来のあらゆる知識が保管されているという点。普通の遺跡とは違い、時間を超越した情報が眠る場所なんですね。
現在は廃墟となっていますが、その石造建築は太陽系が存在する限り崩壊しないとも言われています。
ナコタスの構造
ナコタスは、石造りの巨大な地下都市として描かれています。
地上部分
砂漠の地表には、曲線模様と謎の文字が刻み込まれた巨大な石塊が30~40個ほど散在しています。
これらの石は、オーストラリアの原住民アボリジニが「地底で眠る年老いた巨人ブグイ」の伝説と結びつけて、異常なまでに恐れている場所なんです。
地下構造
地下には複雑な回廊が張り巡らされています。
地下都市の主な構成要素:
- 地下回廊:複雑に入り組んだ通路が広がっている
- 封印された石棺:ところどころに巨大な石棺の蓋が見える
- 中央記録保管所:地下の最奥部に位置する重要施設
- 書物の保管容器:幾何学的な模様が彫り込まれた金属製
この中央記録保管所こそが、ナコタス最大の特徴なんです。
中央記録保管所の秘密
中央記録保管所には、過去と未来における地球上のあらゆる知識が書物の形で収められています。
なぜ未来の知識まで?
イスの偉大なる種族は、様々な時代の生物と精神を交換する能力を持っていました。
つまり、未来の生物の体に精神を送り込んで、そこで得た知識を持ち帰ることができたんです。こうして集められた膨大な情報が、金属容器に入った書物として保管されているんですね。
実際、20世紀のアメリカ人教授の記録まで発見されたという設定になっています。
イスの偉大なる種族
ナコタスを建設したのは、「イスの偉大なる種族」と呼ばれる存在です。
正体は精神寄生体
彼らの正体は、他の生物の肉体を支配する精神寄生体なんです。
物理的な体を持たず、意識だけの存在として、より長い寿命を持つ生物を求めて時間を移動します。地球にやってきた彼らが最初に選んだのが、円錐状の生物でした。
円錐状の生物とは
イスの偉大なる種族が乗り移った円錐状生物の特徴:
- 体高:約3メートル
- 形状:先細りの円錐形をした奇妙な体
- 頭部:円錐の先端に感覚器官が集まっている
- 付属器官:4本の伸縮自在の触手を持つ
- 移動方法:円錐の底部で滑るように移動
高度な知性を持ち、優れた科学技術を発展させました。
ナコタスの歴史
ナコタスの建設から発見まで、実に4億年以上の時間が流れています。
建設と繁栄(約4億8千万年前)
原始の地球に到来したイスの偉大なる種族は、円錐状生物の体に寄生した後、オーストラリア大陸の地域に高度な文明を持つ石造都市ナコタスを建設しました。
この時期、彼らは地下に潜んでいたポリプ状の生物を封印し、地上の支配者となっていたんです。
滅亡(約5万年前)
イスの偉大なる種族は、未来に危機が迫っていることを知っていました。
それは、地下に封印していた空飛ぶポリプ状生物の反逆です。彼らは破滅の運命を悟り、遥か未来の甲虫類の体へと集団で精神移動しました。
残された円錐状生物の体はポリプ生物によって滅ぼされ、ナコタスは廃墟となったのです。
現代の発見(1934年)
1934年、鉱山技師のロバート・B・F・マッケンジーが、西オーストラリアの砂漠で奇妙な巨石遺跡を発見しました。
この発見を受けて、ミスカトニック大学のナサニエル・ウィンゲイト・ピースリー教授が探検隊を組織します。ピースリー教授は、かつて1908年に自分自身がイスの偉大なる種族に精神を交換された経験を持っていたんです。
1935年の探検
探検隊のメンバー:
- ナサニエル・ウィンゲイト・ピースリー教授(元政治経済学教授)
- ゲイト・ピースリー教授(息子、心理学教授)
- ウィリアム・ダイアー教授(狂気山脈探検隊の隊長)
- ミスカトニック大学地質学科の研究者たち
1935年7月17日、ピースリー教授は遺跡の奥深くで、自分が4億年以上前に記録した仕事の痕跡を発見しました。これは、彼が過去に精神を交換されていた時に残したものだったんです。
ナコタスの謎

現代でもナコタスには、いくつもの謎が残されています。
不滅の建築技術
ナコタスは未知なる技術で建設されており、太陽系が存在する限り崩壊することがないと言われています。5万年もの風化にも耐えているんですね。
他の場所にも?
実は、イスの偉大なる種族の都市はオーストラリアだけではないとされています。
- マレー半島にも同様の都市が確認されている
- 牡牛座の暗黒星上にも円錐状生物の都市があったとの報告がある
ただし、地球から行き来する方法はまだ分かっていません。
危険な教団
1919年に行方不明になったアメリカの大富豪ロジャー・カーライル率いるアフリカ探検隊の生存者が、ナコタスで謎の教団を結成したという噂もあります。
その教団は「コウモリの父なるもの」と呼ばれ、ニャルラトテップという邪神を崇拝していたそうです。
まとめ
ナコタスは、時間を超える種族が残した壮大なスケールの超古代都市です。
重要なポイント
- オーストラリアの砂漠地下に眠る約4億8千万年前の石造都市
- イスの偉大なる種族が円錐状生物の体で建設
- 中央記録保管所には過去と未来のあらゆる知識が保管
- 1934年に発見され、1935年に本格的な探検が行われた
- 太陽系が存在する限り崩壊しない不滅の建築
- H・P・ラヴクラフトの『時間からの影』に登場
クトゥルフ神話の中でも、ナコタスは時間という概念そのものと深く関わる特別な場所なんです。もしかしたら、オーストラリアの砂漠のどこかに、今もその入口が眠っているかもしれませんね。


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