雨が降る日、窓から外を見つめていると、なぜか心が洗われるような気持ちになることはありませんか?
悲しい気持ちが、涙とともに少しずつ和らいでいくような感覚。
日本の神話には、そんな「涙の持つ癒しの力」を体現する神様がいます。
それが「ナキサワメノカミ(泣沢女神)」です。
今回は、あまり知られていないけれど、私たちの心の奥深くに寄り添ってくれるこの神様について、分かりやすくお伝えします。
ナキサワメノカミの名前の意味

まずは「ナキサワメノカミ(泣沢女神)」という名前に込められた意味を見ていきましょう。
この神様の名前は四つの要素から成り立っています:
- 「ナキ(泣)」:泣くこと、涙(水)を流すこと
- 「サワ(沢)」:「沢」もしくは「たくさん」
- 「メ(女)」:女性、女神の意味
- 「カミ(神)」:神様
これらを合わせると、ナキサワメノカミとは「涙が流れるような沢の女神様」という意味になります。
ナキサワメノカミの系譜と由来

ナキサワメノカミは、日本の神話に登場します。
この神様は、特に「イザナミ命(いざなみのみこと)の死」という悲しい出来事に関連して生まれました。
系譜まとめ
ナキサワメノカミの誕生は、次のように伝えられています:
- 日本の国土を生み出した神様のカップル、イザナギ命(いざなぎのみこと)とイザナミ命(いざなみのみこと)
- イザナミ命は、火の神カグツチを産んだ後、重度のやけどを負い命を落としてしまう
- 妻を亡くしたイザナギ命は深い悲しみの中で涙を流す
- この涙から生まれたのが「ナキサワメノカミ」だった
つまり、ナキサワメノカミは「大切な存在を失った悲しみそのもの」から生まれた神様なのです。
ナキサワメノカミの神格と特徴

ナキサワメノカミは、日本神話の中でもとても特別な役割を持つ神様です。
ナキサワメノカミの神格まとめ
- 井戸と泉の神:井戸や泉と関連ぶかい。畝尾都多本神社に「泣沢」という井戸があり、その井戸が御神体として祀られている。
- 泣き女:昔の日本では、葬式の際に泣く役割を持った女性がいた。その女性は泣き女と呼ばれ、彼女たちを神格化したのがナキサワメ。
- 新生児・生命長久:泣き女は慰霊・鎮魂する呪術を使った巫女でもあった。そういった魂を守護する側面から新生児や生命長久にも関連している。(水が生命の源だからという話も)
ナキサワメノカミに関する神話と伝承
ナキサワメノカミが登場する神話は、前述した誕生の神話。
妻を失ったイザナギの悲しみの涙からナキサワメノカミが誕生した。
ナキサワメノカミを祀る神社とご利益
ナキサワメノカミを祀っている神社は少ないが、畝尾都多本神社(奈良県)で祀られている。
ご利益
ナキサワメノカミにお参りすると、以下のようなご利益があるとされています:
- 出産・新生児の守護
- 生命長久
まとめ
ナキサワメノカミという神様について様々な側面から見てきました。
まとめポイント
- ナキサワメノカミは、イザナギ命の悲しみの涙から生まれた女神
- 神格は、井戸と泉・泣き女・新生児の守護
- 神話は出生の物語のみ
- ご利益は、出産・新生児の守護と生命長久
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