古代エジプト神話には数々の女神が登場しますが、その中でも特別な存在感を放つ女神がいます。
それが「ムト」です。
国家の守護者であり、すべての存在の母として崇拝された女神の物語を紐解いていきましょう。
名前の意味

「ムト(Mut)」という名前は、古代エジプト語でそのまま「母」を意味します。
とてもシンプルですが、そこに込められているのは国家の”母”としての存在感です。
系譜
ムトは古代エジプトのテーベ地方で信仰された女神で、三柱神のひとりとして崇拝されていました。
テーベ三柱神(テーバン・トライアド):
- 夫:アメン(アモン) → 見えない力を司る国家神
- 子:コンス(Khonsu) → 月の神
- ムト自身:母神
姿・見た目

ムトの姿には、いくつかのバージョンがある。
代表的なビジュアル:
- 頭に二重冠(南と北を統一する王冠)をのせた女性
- ハゲワシの姿またはハゲワシの皮の被り物をつけている
- メスライオンの姿で、頭に太陽円盤
- 手にはアンクを持っている
他にも様々な姿で描かれる。
神格・神性
ムトの神格について触れていきます。
ムトの主な神格:
- 母性
- 国家の母
- 太陽の母
- 創造
- ラーの目
ムトはただの母神ではなく、あらゆるものの母と言える存在。
元はテーベの地方神だったのだが、アメンと結びつき、高い地位を得た。
信仰

ムトは、明確な冒険譚よりも、王の即位儀礼や国家祭祀に深く関わる存在として登場します。
代表的な信仰:
- カルナック神殿: → ムトのために建てられた巨大な神殿が残されている
- オペト祭での登場: → アメン、コンス、ファラオと一緒に豊穣を祈る
- 女神セクメトやバステトとの同一視
まとめ
ムトは、古代エジプトで「すべての母」と称された神格。
その役割は広く、王権、宗教、母性、さらには創造までカバーしていました。
❍ おさらいチェックリスト:
- 「ムト」は古代エジプト語で「母」という意味
- 夫はアメン、息子はコンスの三柱神の中心
- 王冠・アンク・ハゲワシが象徴的な姿
- 神格は王権・母性・創造まで多様
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