「マイクラ」という略称でおなじみのMinecraft。
今や3億5000万本以上を売り上げ、史上最も売れたゲームとしてギネス世界記録に認定されています。
でも、このゲームがたった1人のスウェーデン人プログラマーの趣味から始まったって知っていましたか?
しかも、最初は「Cave Game(洞窟ゲーム)」という仮タイトルだったんです。
この記事では、Minecraftがどのようにして誕生し、世界的な現象になったのか、その歴史を振り返ります。
Minecraftとは?

Minecraftは、ブロックで構成された3D世界を自由に探索・建築できるサンドボックスゲームです。
決まったゴールがないのが最大の特徴。
家を建てるもよし、冒険に出かけるもよし、巨大な城を築くもよし。
プレイヤーの想像力次第で遊び方は無限大です。
現在は「Java版」と「統合版(Bedrock Edition)」の2つのエディションが存在し、PC、スマホ、Nintendo Switch、PlayStation、Xboxなど、ほぼすべてのプラットフォームで遊べます。
生みの親「ノッチ」とは
Minecraftを生み出したのは、マルクス・ペルソン(Markus Persson)。
「Notch(ノッチ)」というニックネームで知られるスウェーデン出身のプログラマーです。
彼は8歳のときに姉の助けを借りてプログラミングを始めました。
学校では孤独だったそうで、ほとんどの時間をゲームとプログラミングに費やしていたといいます。
大人になってからはKing.com(キャンディクラッシュで有名な会社)でブラウザゲームの開発に携わっていました。
しかし、「自由時間でのゲーム制作を禁止された」ことをきっかけに退職。
そして2009年、運命のゲーム開発が始まります。
開発のきっかけ:Infiniminerとの出会い
ノッチがMinecraftの着想を得たのは、「Infiniminer」というゲームとの出会いでした。
Infiniminerは、ブロック状の世界で土地を掘ったり資源を集めたりするゲーム。
現在のMinecraftと見た目がかなり似ています。
このゲームに衝撃を受けたノッチは、それまで作っていたゲームの方向性を大転換。
視点を1人称に変更し、戦略性などの要素を削ぎ落として、よりシンプルで自由度の高いゲームを目指しました。
開発初期(2009年):「Cave Game」の誕生
2009年5月10日、ノッチはMinecraftの開発を開始しました。
当時の仮タイトルは「Cave Game(洞窟ゲーム)」。
わずか1週間後の5月17日には、TIGSourceという独立系ゲーム開発者のフォーラムで最初のバージョンを公開。
フォーラムのユーザーからフィードバックをもらいながら、どんどん改良を重ねていきました。
この時期の特徴的なエピソードがあります。
ゲームが予想以上に売れ始めたとき、決済サービスのPayPalがノッチのアカウントを「不正の疑い」で一時停止したんです。
個人開発のゲームがそれほど急成長するなんて、当時は誰も想像していなかったんですね。
アルファ版・ベータ版時代(2010〜2011年)
アルファ版(2010年6月〜12月)
2010年6月、Minecraftはアルファ版に移行。
この頃、ノッチは本業を辞めてMinecraft開発に専念することを決意します。
同年9月には、かつての同僚ヤコブ・ポルセールと共にMojang AB(モヤン)を設立。
jAlbumの元マネージャーだったカール・マネーをCEOに迎え、本格的な会社運営が始まりました。
面白いことに、この時期にValve(SteamやHalf-Lifeで有名な会社)から仕事のオファーがあったそうです。
ノッチはこれを断り、自分のゲーム開発を続ける道を選びました。
ベータ版(2010年12月〜2011年11月)
2010年12月20日、Minecraftはベータ版に移行。
登録ユーザー数は驚異的なペースで増加していきます。
- 2011年1月:100万アカウント突破
- 2011年4月:200万本販売
- 2011年8月:300万本販売
- 2011年11月:400万本販売
この急成長を支えたのは、ユーザーコミュニティの力でした。
4chanやRedditで話題になり、YouTubeでの実況動画が爆発的に広まったのです。
正式リリース(2011年11月18日)
2011年11月18日、Minecraftはついに正式版1.0としてリリースされました。
価格は19.95ユーロ。
リリースに合わせて、ラスベガスのマンダレイベイ・ホテルで初の公式イベント「MineCon」が開催されました。
ファンが一堂に会するこのイベントは、その後も毎年恒例となります。
正式版では、ゲームに「終わり」が追加されました。
そう、エンダードラゴンとの決戦です。
エンチャント、ポーション、動物の繁殖、空腹システムなども実装され、サバイバルモードがより奥深いものになりました。
リリース後、ノッチはリードデザイナーの座をイェンス・バーゲンステン(通称Jeb)に譲り、新たなプロジェクトに取り組み始めます。
マルチプラットフォーム展開

Minecraftの躍進は、PC版だけにとどまりませんでした。
モバイル版(2011年8月〜)
2011年8月16日、Minecraft: Pocket EditionがAndroid向けにリリース。
最初はソニーのXperia Play専用でしたが、10月には他のAndroid端末にも拡大。
11月にはiOS版も登場しました。
当初は機能が限られていましたが、アップデートを重ねて現在ではPC版とほぼ同等の体験ができるようになっています。
コンソール版(2012年5月〜)
2012年5月9日、Xbox 360版が発売。
開発を担当したのはスコットランドの4J Studiosです。
発売から24時間で約40万本、1週間で100万本を売り上げ、当時「Xbox Live Arcade史上最速で売れたゲーム」となりました。
その後、PlayStation 3(2013年)、PlayStation 4・Xbox One(2014年)、Nintendo Switch(2017年)と、次々にプラットフォームが拡大していきます。
Microsoftによる買収(2014年)
2014年9月15日、衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。
MicrosoftがMojangを25億ドル(約2680億円)で買収
きっかけは、ノッチ自身がTwitterで「誰か会社を買ってくれないか」とつぶやいたことでした。
ゲームの利用規約に関するファンからの批判に疲弊していたノッチは、こう語っています。
「私は起業家でもないし、CEOでもない。Twitterで意見を言うのが好きなオタクのコンピュータープログラマーだ」
買収発表と同時に、ノッチ、カール・マネー、ヤコブ・ポルセールの創業者3人全員がMojangを去りました。
しかし、MicrosoftはMinecraftを囲い込むことはしませんでした。
PC、iOS、Android、PlayStation、Xboxと、従来通りすべてのプラットフォームでゲームを提供し続けています。
主要アップデートの歴史
Minecraftは正式リリース後も進化を続けています。
主要なアップデートを振り返ってみましょう。
| バージョン | 名称 | リリース日 | 主な追加要素 |
|---|---|---|---|
| 1.0 | 正式版 | 2011年11月 | エンダードラゴン、エンチャント、ポーション |
| 1.4 | Pretty Scary Update | 2012年10月 | ウィッチ、ウィザー、ビーコン |
| 1.5 | Redstone Update | 2013年3月 | レッドストーン関連の大幅強化 |
| 1.6 | Horse Update | 2013年7月 | 馬、ロバ、ラバ |
| 1.7 | The Update that Changed the World | 2013年10月 | バイオームの大幅刷新 |
| 1.9 | Combat Update | 2016年2月 | 戦闘システムの大改変 |
| 1.13 | Update Aquatic | 2018年7月 | 海洋バイオームの大幅強化 |
| 1.14 | Village and Pillage | 2019年4月 | 村と襲撃システムの刷新 |
| 1.16 | Nether Update | 2020年6月 | ネザーの大規模刷新、ネザライト追加 |
| 1.17/1.18 | Caves & Cliffs | 2021年6月/11月 | 洞窟と山岳の大規模刷新 |
| 1.19 | The Wild Update | 2022年6月 | ディープダーク、ウォーデン、マングローブ |
| 1.20 | Trails & Tales | 2023年6月 | 考古学、ラクダ、桜バイオーム |
| 1.21 | Tricky Trials | 2024年6月 | トライアルチャンバー、新たな挑戦要素 |
特に評価が高いのは1.16「Nether Update」。
それまで殺風景だったネザーに4つの新バイオームが追加され、ネザライトという新素材も登場。
「既存の要素を正しくアップデートした好例」として今でも語られています。
実写映画化(2025年)
2025年4月4日、ついに実写映画「A Minecraft Movie」が公開されました。
ジャック・ブラック、ジェイソン・モモア、ジェニファー・クーリッジらが出演し、監督は「ナポレオン・ダイナマイト」のジャレッド・ヘス。
映画は興行的に大成功を収めました。
批評家からの評価は賛否両論でしたが、特に若い観客から熱狂的な支持を受け、劇場内でダンスや合唱が起こる「参加型上映」現象まで発生。
2027年には続編の公開も予定されています。
現在のMinecraft
2025年現在、Minecraftは3億5000万本以上を販売し、ギネス世界記録で「史上最も売れたビデオゲーム」に認定されています。
教育現場でも活用されており、「Minecraft: Education Edition」はプログラミング学習や歴史教育などに使われています。
また、2020年には「世界ビデオゲームの殿堂」入りを果たしました。
15年以上経った今でも、毎年大型アップデートが続き、新しいプレイヤーが増え続けている。
これほど長く愛されるゲームは、まさに歴史的と言えるでしょう。
まとめ
- 2009年5月、ノッチが1人で「Cave Game」として開発開始
- 2011年11月に正式版リリース、MineCon初開催
- 2014年、Microsoftが25億ドルで買収、創業者3人が退社
- 継続的なアップデートでゲームは進化し続けている
- 2025年時点で3億5000万本以上を販売、史上最も売れたゲーム
- 2025年、実写映画が公開され興行的大成功
たった1人のプログラマーの趣味から始まったゲームが、世界中の人々に愛される文化現象になる。
Minecraftの歴史は、まさにゲーム業界の夢物語そのものです。
そして、その物語はまだ終わっていません。
これからも、ブロックの世界は広がり続けていくでしょう。


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