バビロニア神話において最も重要な神――
それが「マルドゥク(Marduk)」です。
彼は、強さ・知恵・創造・秩序を兼ね備えた”万能の神”であり、世界を形づくった英雄神(えいゆうしん)として知られています。
この記事では、マルドゥクの名前の意味や家族、姿、どんな力を持っているのか、そして有名な神話をとおして、この偉大な神様の魅力をわかりやすくお伝えします!
名前の意味

「マルドゥク」の名前はシュメール語で「アマルトゥ」と表記され、「太陽の若き雄牛」を意味しています。
また、彼の名前の由来については諸説あり、はっきりしていません。
系譜(家族関係)
マルドゥクは、知恵と水の神エア(エンキ)の子として生まれました。
- 父:エア(Enki / Ea) → 知恵・魔法・水の神
- 母:ダムキナ(Damkina) → 豊かさと命を守る女神
- 息子:ナブー(Nabu)→書記の神
マルドゥクたちは、原初の神々の次の世代。
どんな姿をしているの?

マルドゥクは、多くの神の中でも特に英雄的な姿で描かれています。
- 長いひげと王冠をかぶった若々しい神の姿
- 4つの目と4つの耳
- 唇を動かすと、火を噴き出す
- 「マルン」と呼ばれる農具、神々の運命が描かれた粘土板「トゥプシマティ」を持っている
- 怪物「ムシュフシュ(Mušḫuššu)」を従えている
4つの目と4つの耳はあったりなかったりしますが、この特徴はマルドゥクの高い能力を示していると考えられる。
どんな力と神格を持つ神様?
マルドゥクは、エンリルの次のすべての神々のリーダー。
- 神々の王
- 創造の神(世界と人間を作った)
- 農耕の神
- 呪術の神
- 正義を守る神
- バビロンの守護神・王権を与える存在
神話

ここからマルドゥクの神話を紹介していく。
『エヌマ・エリシュ』~創造神話の大戦争~
あらすじ:
- 世界ができる前、ティアマト(混沌の海の女神)が若い神々を滅ぼそうとします
- 神々は恐れ慄き、マルドゥクに退治を頼む
- 若き神マルドゥク「勝ったら自分が神々の王になること」を条件に承諾する
- 武装し風の力を使って、ティアマトと大決戦!
- ティアマトを真っ二つに切り裂き、
- 上半分 → 天
- 下半分 → 地 にして世界を創造したのです!
他の神話:
- 天命の粘土板(トゥプシマティ)を管理し、すべての神々を統べ、バビロニア王任命権を得る
- 神々に代わる働き手として人間を創造する
- エラ叙事詩では、エラに王権を譲渡してしまう
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
名前の意味 | 「太陽の若き雄牛」 |
家族 | 父エア、母ダムキナの子 |
姿 | 王冠・武装・龍を従える英雄的な神 |
特徴 | 創造・農耕・呪術・正義・王権の象徴 |
有名な神話 | 『エヌマ・エリシュ』でティアマトを倒して世界を創造し、神々の王となる。 |
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