あなたは「引き抜いたら叫び声をあげる植物」があることを知っていますか?
それがヨーロッパに伝わる伝説の植物「マンドラゴラ」です。
この植物は、地面から引き抜くと恐ろしい悲鳴をあげ、その声を聞いた人は精神を病んで死んでしまうとされています。
薬にもなれば毒にもなる、まさに両刃の剣のような存在として、中世ヨーロッパの人々を恐怖と畏敬の念で満たしていました。
この記事では、世界一危険といわれる伝説の植物「マンドラゴラ」の正体と、その驚くべき特徴について詳しくご紹介します。
概要

マンドラゴラってどんな植物?
マンドラゴラは、ナス科の植物で、地中海地域から中国西部にかけて実際に自生している植物なんです。
マンドレイクとも呼ばれ、縦長な根っこが特徴的。その根が二股に分かれて、まるで人間の形に見えることから、古くから神秘的な植物として扱われてきました。
白や紫色のかわいらしい花を咲かせ、明るい赤色のトマトのような実をつけます。
しかし、見た目とは裏腹に、根にはトロパンアルカロイドという強力な毒成分が含まれているんです。
恐怖の悲鳴伝説
中世ヨーロッパで最も恐れられたのが「引き抜くときの悲鳴」でした。
伝説によると:
- 地面から引き抜くと、人間のような甲高い悲鳴をあげる
- その声を聞いた人は発狂して死んでしまう
- 完全に成長すると、自分で地面から出てきて歩き回る
- 夜になると月に向かって歌を歌う
実際には、縦長で複雑な根を持つマンドラゴラは、引き抜くのに相当な力が必要です。
無理に引っ張ると根がちぎれながら「ギシギシ」と音を立てるため、これが悲鳴のように聞こえたのかもしれません。
マンドラゴラを手に入れる方法
悲鳴で死んでしまうなら、どうやって手に入れるのでしょうか?
昔の人々が考えた方法は「犬を使う」というものでした:
- マンドラゴラの周りの土を掘る
- 根の先だけ土に残して、犬をひもでつなぐ
- 人間は遠くに離れて犬を呼ぶ
- 犬が飼い主のところへ走ると、マンドラゴラが引き抜ける
- 犬は死んでしまうが、人間は無事に手に入れられる
なんとも残酷な方法ですが、それだけ貴重な植物だったんですね。
薬?それとも毒?
マンドラゴラは両極端な性質を持っています。
薬としての効能:
- 麻酔薬(手術のときの痛み止め)
- 鎮痛剤(痛みを和らげる)
- 不老不死の薬の材料(伝説)
- 恋の媚薬(愛を引き寄せる)
毒としての危険性:
- 幻覚や幻聴を引き起こす
- 瞳孔が開き、口が渇く
- ひどい場合は死に至る
古代エジプトのクレオパトラも薬として飲んでいたという記録があります。しかし、量を間違えると命にかかわるため、現在はほとんど薬用にされていません。
ドイツの「アルラウネ」伝説
ドイツでは「アルラウネ」と呼ばれ、特別な伝説があります。
絞首刑になった罪人の体液が地面に落ちた場所に生えるとされ、「絞首台の小人」という別名も。手に入れたアルラウネ人形は:
- 赤ワインで洗って絹布に包む
- 毎週金曜日に風呂に入れる
- 新月の日には新しい白シャツを着せる
- 質問すると未来や秘密を教えてくれる
- お金を置くと倍にして返してくれる
ただし、欲張りすぎると力が弱って死んでしまうので、ほどほどにしなければならないそうです。
まとめ
マンドラゴラは、単なる伝説の植物ではなく、実在する不思議な植物です。
重要なポイント:
- 実在する植物で、地中海から中国にかけて自生している
- 根が人型に見えることから、神秘的な力があると信じられた
- 引き抜くときの悲鳴伝説は中世ヨーロッパで生まれた
- 薬にも毒にもなる強力な成分を含んでいる
- 安全に手に入れるため犬を犠牲にする方法が考案された
現代では、マンドラゴラの成分は科学的に解明され、その毒性から医療用途では使われなくなりました。しかし、人々の想像力をかきたてる神秘的な姿と恐ろしい伝説は、今でも多くの物語や映画、ゲームなどに登場し、私たちを魅了し続けています。
もし森で人型の根っこを見つけても、決して素手で引き抜かないようにしてくださいね。それがもしマンドラゴラだったら…という想像も、また楽しいものです。
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