クタニドとは?クトゥルフの「善良な双子」の正体を解説

神話・歴史・文化

クトゥルフに双子の兄弟がいることをご存知でしょうか?

しかもその兄弟は、邪悪なクトゥルフとは正反対の「善なる存在」だと言われています。
名前はクタニド。クトゥルフ神話の中でも異色の存在として知られる旧神です。

この記事では、クタニドの正体や能力、そしてなぜ彼がクトゥルフ神話ファンの間で物議を醸すのかを解説していきます。


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クタニドの概要

クタニドは、イギリスの作家ブライアン・ラムレイが1975年に創作した旧神(エルダー・ゴッド)です。
小説『タイタス・クロウの帰還』で初登場し、以降のシリーズでも重要な役割を果たしています。

最大の特徴は、クトゥルフと瓜二つの外見を持ちながら、まったく正反対の性格を持っていること。
邪悪の権化とされるクトゥルフに対し、クタニドは慈愛に満ちた理性の神なんですね。

一言で表すなら「きれいなクトゥルフ」といったところでしょうか。


クタニドの姿

クタニドの姿は、クトゥルフとほぼ同一です。

巨大な人型の体に、コウモリのような短い翼。
そして顔の下半分からはタコのような触手が生えています。

ただし、たった一つだけ違う点があります。
目の色が深い黄金色なんです。

クトゥルフの目は6つあり不気味に輝いていますが、クタニドの双眼は慈愛に満ちた光を放っているとされています。
この黄金の瞳こそが、善悪を分ける唯一の外見的な違いなんですね。


名前の意味

「クタニド(Kthanid)」という名前の語源は明確にはされていません。

ただ、クトゥルフ(Cthulhu)との類似性は明らかです。
「Kth-」で始まる響きは意図的にクトゥルフを連想させるもので、「双子」という設定を名前でも表現しているのでしょう。

日本語では「サニド」と表記されることもあります。
これは翻訳の都合によるもので、同一の存在を指しています。


旧神としての地位

クタニドは単なる旧神ではありません。
旧神たちのリーダーとして、彼らの頂点に君臨しています。

住処は「エリシア(イリジア)」と呼ばれる旧神郷。
そこにある巨大なクリスタルの宮殿で暮らしています。

エリシアは一種の理想郷のような場所で、旧神たちの本拠地として機能しているんですね。


クタニドの能力

旧神の王であるクタニドの力は、人間の理解をはるかに超えています。
ただし、その力は魔法というよりも「超高度なテクノロジー」の産物かもしれないと作中では推測されています。

大いなる思考(グレート・ソート)

意識を宇宙のどこへでも投射できる能力です。
これにより、遠く離れた場所にいる者と交信したり、干渉したりすることができます。

予知能力

クリスタルのモニターを使って未来を予測できます。
あらゆる次元で取られる行動が、将来にどう影響するかを見通すことができるんですね。

追放の光線(バニシング・ブラスト)

純粋なエネルギーの奔流を放ち、旧支配者や外なる神々を元の次元へ送り返す力です。
この能力でナイアルラトテップを追い払った実績もあります。

旧神の印(エルダー・サイン)

クタニドは旧神の印を創造したとされています。
この印は旧支配者たちを退ける守護の紋章で、彼らの潜在意識に恐怖を植え付けたのもクタニドだと言われています。


性格と行動原理

クタニドは「クトゥルフが邪悪であるのと同じだけ善良」と表現されます。
その存在からは慈愛のオーラが放たれ、近くにいる者は安らぎを感じるそうです。

興味深いのは、クタニドが暴力を好まないという点。
圧倒的な力を持ちながら、敵を殺すのではなく、拘束呪文や記憶消去で対処することを選びます。

人間を守りたいという強い願いを持ち、旧支配者たちと戦う動機も家族への復讐だけでなく、「現実世界と人類の解放」にあるとされています。


家族と因縁

クタニドの家族構成は複雑で、悲劇的な過去を背負っています。

クトゥルフとの関係

クトゥルフとは双子の兄弟です。
35億年前、クトゥルフが反逆を起こしたとき、クタニドは彼らをエリシアから追放して地球に幽閉しました。

家族の死

クタニドが眠っている間に、旧支配者たちは彼の伴侶と子供たちを殺害しました。
これがクタニドが旧支配者を憎む直接の理由となっています。

スクタイとの関係

ある作品では、クトゥルフの元妻スクタイがクタニドと再婚し、息子エピルフォンをもうけたという設定があります。
クトゥルフはこの「寝取り」への復讐として、スクタイとエピルフォンを殺害したとも言われています。

ティアニア姫

クタニドの遠い子孫にティアニア姫がいます。
彼女は人間のタイタス・クロウと恋に落ち、伴侶となりました。


物語での活躍

クタニドは『タイタス・クロウ・サーガ』全体を通じて重要な役割を果たします。

タイタス・クロウとの出会い

時空を旅する主人公タイタス・クロウが多元宇宙で迷子になったとき、クタニドは彼を呼び寄せました。
そしてクロウを自分の代理人として、旧支配者との戦いに送り出します。

ドリームランドでの戦い

クロウをドリームランドに派遣したクタニド。
クロウが誤ってポータルを開いてしまい、旧支配者が侵入しかけたとき、クタニドはクロウのタイムマシンを使ってドリームランドに現れました。

勝ち誇るナイアルラトテップの前に姿を現したクタニドは、追放の光線で彼らを撃退し、ポータルを完全に封印することに成功します。


創作背景と評価

クタニドを生み出したブライアン・ラムレイは、2024年1月2日に86歳で亡くなった英国の作家です。

ラムレイの独自解釈

ラムレイはラヴクラフトの世界観を踏まえつつも、独自のアレンジを加えました。
彼の作品の特徴は「主人公たちが戦い返す」こと。

ラヴクラフトの原作では、人間は宇宙的恐怖の前に無力でした。
しかしラムレイは「うちのキャラは反撃するんだ」と語っています。

ファンの間での賛否

クタニドという存在は、クトゥルフ神話ファンの間で物議を醸しています。

肯定派は「神話世界の拡張として面白い」と評価。
否定派は「善悪二元論はラヴクラフトの思想に反する」と批判します。

ラヴクラフトの原作では、宇宙は人間に無関心であり、善も悪もない冷たい存在でした。
「善良な神」を登場させることは、この世界観を根本から覆すものだという指摘があるんですね。

TRPGでの扱い

こうした背景もあり、クトゥルフ神話TRPGではクタニド(サニド)は基本ルールには登場しません。
サプリメント『マレウス・モンストロルム』などで補足的に説明される程度です。


クタニドの基本情報一覧

項目内容
名前クタニド(Kthanid)、サニドとも表記
分類旧神(エルダー・ゴッド)
創作者ブライアン・ラムレイ
初登場『タイタス・クロウの帰還』(1975年)
外見クトゥルフと同一だが、目が黄金色
性格慈愛に満ちた善神、暴力を好まない
住処エリシア(旧神郷)のクリスタル宮殿
地位旧神たちのリーダー
家族クトゥルフ(双子の兄弟)、ティアニア姫(子孫)
主な能力大いなる思考、予知、追放の光線、旧神の印の創造
敵対勢力旧支配者(グレート・オールド・ワン)、外なる神

まとめ

  • クタニドはクトゥルフの双子の兄弟で、旧神の王
  • 外見はクトゥルフと瓜二つだが、黄金の目を持つ
  • 邪悪なクトゥルフとは正反対の善良な存在
  • 旧神の印を創造し、旧支配者を追放する力を持つ
  • 創作者ブライアン・ラムレイは2024年に死去
  • 善悪二元論的な設定は、ファンの間で賛否がある

クタニドは「クトゥルフ神話の異端児」とも言える存在です。
ラヴクラフトの原作にはない「希望」を象徴する神として、独自の魅力を放っているのは確かでしょう。

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