インド神話の中でも特に愛される神の一柱、それがクリシュナです。
遊び心あふれる少年時代から、戦場で哲学を説く賢者としての姿まで、多面的な魅力を持つクリシュナについて、わかりやすく解説します。
名前の意味
「クリシュナ(Krishna)」という名前は、サンスクリット語で「黒い」「濃い青」という意味があります。
そのため、クリシュナの肌は深い青色や黒に近い色で描かれることが多いのです。
系譜

クリシュナは、ヴィシュヌ神の第8の化身(アヴァターラ)です。
つまり、ヴィシュヌが地上を守るために人間の姿で生まれた存在なんです。
クリシュナは「ヤーダヴァ族に生まれたヴァスデーヴァとデーヴァキーの息子」として誕生しました。
デーヴァキーはマトゥラーの悪王カンサの妹でした。
カンサは、「デーヴァキーの8番目の子どもによって自分が殺される」という予言を聞いて、クリシュナを殺そうとしました。
しかし、クリシュナは誕生直後に牛飼いの夫婦の娘とすり替わり、彼らによって育てられます。
このため、クリシュナには「生みの親」と「育ての親」がいるのです。
家族構成:
- 生みの父: ヴァスデーヴァ(勇敢な武将)
- 生みの母: デーヴァキー(王族の女性)
- 育ての父: ナンダ(牛飼いの長)
- 育ての母: ヤショーダ(愛情深く育てた)
- 兄: バララーマ(力の神、ヴィシュヌの大蛇アナンタの化身)
姿・見た目

クリシュナは、魅力的で美しい青年として描かれます。特に人気があるのが、「笛を吹く少年の姿」です。
主な特徴:
- 青黒い肌(深い神秘性を象徴)
- 笛(バンスリー)を持っている
- 孔雀の羽根を頭に飾っている
- 黄色の腰布
- 額にUの文字(ヴィシュヌのマーク)
- 優しい笑顔と、誰をも魅了する瞳
- イケメン
- 時に動物を引き連れいている
- 年齢ごとの姿がある(幼少から成人まで)
幼少期の可愛らしく愛らしい姿、青年期のカッコ良いイケメンな姿など、年齢ごとの姿があるのが特徴的。
神格・神性

クリシュナの神格は、愛・慈悲・知恵・行動力のすべてをあわせ持っています。
子どものころはいたずら好きな少年、大人になると戦略家の英雄になります。
クリシュナは時には「いたずら好きな子ども」、時には「神聖な恋人」、また「奸計に長けた軍略家」として描かれ、多面的な性格を持っています。
クリシュナの3つの顔:
- 遊び好きな少年神(バラ・クリシュナ)
- 牛飼いの村で育ち、バターを盗んだり、いたずらをしたりする愛らしい子ども
- 蛇神カーリヤを退治するなど、幼いながらも神秘的な力を発揮
- 愛の神(ラーダとの恋)
- 美しい少女ラーダとの深い愛の物語
- 知恵の導師
- マハーバーラタ戦争で、アルジュナの戦車の御者として登場
- 知恵を用いて、アルジュナを助ける
神話
クリシュナに関する神話はとても多いですが、特に有名なものをいくつかご紹介します。
プータナー退治(赤ちゃん時代)
女悪魔プータナーは毒入りの母乳を与えて、生まれたばかりのクリシュナを殺そうとした。
しかし、プータナーは、逆に赤ちゃんクリシュナに命を吸い取られてしまい、殺されてしまう。
バター泥棒(いたずら時代)

幼少期のクリシュナは、バターを作るためのミルク壺を盗み、さらには中のバターを食べてしまう。
そんなクリシュナを母ヤショーダーが怒ったりする話も有名。
ゴーヴァルダナ山を持ち上げる
雷神インドラが登場する神話もあります。
インドラ神が怒って大雨を降らせたとき、クリシュナは片手でゴーヴァルダナ山を持ち上げて傘のようにし、牧人たちを守り抜きました。
ラーダとの恋(青春時代)

イケメンのクリシュナは牛飼いの女性たちに大人気で、彼女たち1000人を妻にした。
クリシュナは特にラーダーという女性を気に入り、彼女を最も愛していたとされる。
また、この2人はインド神話の中でも特に人気があり、絶対的な愛を持つ夫婦。
クルクシェートラの戦い
マハーバーラタの中で、クリシュナはパーンダヴァ族の王子アルジュナの戦車の御者となります。
戦いが始まる直前、クリシュナは親族との戦いに悩むアルジュナを鼓舞しています。
また、クリシュナは何度もアルジュナに知恵を貸し、彼を危機から救っています。
まとめ
クリシュナは、ヒンドゥー教の中でも最も親しまれている神の一柱です。
- 名前の意味は「黒い」
- ヴィシュヌの化身として地上を守る役割
- 青黒い肌、笛、孔雀の羽が象徴アイテム
- やんちゃな子ども時代・モテモテの青年時代・軍略家として多面性が魅力
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