「カルテを返して…」廃病院から電話がかかってくる都市伝説の全貌

神話・歴史・文化

夜中、知らない番号からスマホに着信。
出てみると、聞こえてきたのは女性の声で「カルテを返してほしいのですが…」。
電話番号を調べてみると、それは数日前に肝試しで訪れた廃病院の番号だった――。

「カルテを返して」の都市伝説は、1990年代後半から日本各地で語り継がれている廃病院怪談の定番です。
この記事では、この不気味な都市伝説の内容や派生バリエーション、そしてなぜこれほど多くの人に語り継がれてきたのかを解説していきます。


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「カルテを返して」都市伝説とは?

「カルテを返して」は、廃病院の心霊スポットを舞台にした都市伝説で、心霊スポットから物を持ち帰ると呪われるという古典的なモチーフと、電話を介した恐怖という現代的な要素が組み合わさった怪談です。

基本的なストーリーは以下のような流れで語られます。

基本ストーリー

若者のグループ(多くの場合カップルや友人同士)が、地元で有名な心霊スポットの廃病院へ肝試しに出かけます。
廃病院の中には、閉鎖当時のベッドや医療器具、そして患者のカルテがそのまま残されています。

「ここに来た証拠にしよう」と、グループの誰かがカルテを1枚持ち帰ることに。
その時点では特に何も起こらず、肝試しは無事終了。

しかし数日後、カルテを持ち帰った人物のスマートフォン(または携帯電話、固定電話)に見知らぬ番号から着信があります。
最初は無視したり、いたずら電話だと思って出なかったりするものの、同じ番号から何度も電話がかかってくる。

ついに電話に出てみると、受話器の向こうから聞こえてきたのは女性の声。
「カルテを…カルテを返してほしいのですが…」

慌てて電話番号を調べてみると、なんとそれはあの廃病院の電話番号だったのです。


物語の結末パターン

この都市伝説には、いくつかの結末パターンが存在します。

パターン1:カルテを返して解決

最も多く語られるのが、急いで廃病院にカルテを返しに行くパターンです。
病院に到着すると、車いすを押したボロボロのナース服を着た幽霊に遭遇。
恐怖で逃げ出すものの、カルテを返した後は電話がかかってこなくなり、その後は平穏に過ごせるようになります。

このパターンでは「持ち帰った物を返せば許される」という救済の道が示されています。

パターン2:返さないと呪われ続ける

カルテを返さなかった場合、電話は延々とかかり続け、次第に体調を崩したり、不幸な出来事が続いたりするというバリエーションもあります。
最悪の場合、命を落とすという結末が語られることも。

パターン3:返しても手遅れ

カルテを返しに行っても、すでに「何か」に目をつけられてしまっており、その後も怪異が続くという救いのないパターンも存在します。


この都市伝説が生まれた背景

「カルテを返して」の都市伝説が広まったのは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてとされています。
この時期には、廃墟探索ブームと心霊スポット巡りが若者の間で流行しており、「廃墟=心霊スポット」という認識が一般的でした。

廃病院は心霊スポットの中でも特に人気が高く、その理由としては以下のような要素が挙げられます。

病院という場所の持つイメージ
病院は「人が亡くなる場所」であり、特に廃病院となると「なぜ閉鎖されたのか」という謎が恐怖心を掻き立てます。
また、医療器具やカルテといった「生と死に関わる物品」が残されていることで、より不気味な雰囲気が増幅されます。

カルテという個人情報の重み
カルテには患者の名前、年齢、病状などの個人情報が記載されています。
「見知らぬ人の個人情報に触れてしまった」という後ろめたさが、心理的な恐怖を生み出しているとも考えられます。

電話という身近なツール
1990年代後半は携帯電話が普及し始めた時期であり、「知らない番号からの着信」という体験は多くの人にとって身近なものでした。
電話という日常的なツールを通じて恐怖が「自分の元に直接やってくる」という構造が、リアリティを高めています。


各地に伝わるバリエーション

この都市伝説は日本各地で語られており、舞台となる廃病院の名前や細部のディテールが地域ごとに異なります。

香川県・牟礼病院(鶴身病院)

香川県にあった牟礼病院(正式名称は鶴身病院)は、大正元年(1912年)に建てられた歴史ある建物で、心霊スポットとして知られていました。
この病院では「カルテを持って帰ると看護婦の霊に憑かれる」という噂が広まっていたとされています。
ただし、建物は2015年頃に解体されています。

「C病院」「Y病院」などの匿名パターン

多くの体験談では、具体的な病院名が伏せられ「C病院」「Y病院」といったイニシャルで語られます。
これは実在する施設への配慮、あるいは「どこの廃病院でも起こりうる」という普遍性を持たせる効果があると考えられます。

電話以外のバリエーション

一部の体験談では、電話ではなく「帰り道にバイクで追いかけられた」「非通知で着信があった」「夢の中で看護婦に追いかけられた」といったバリエーションも語られています。


類似する都市伝説との関連

「カルテを返して」は、日本の都市伝説の中でも定番のモチーフを複数組み合わせた構造を持っています。

「心霊スポットから物を持ち帰ると呪われる」系

心霊スポットにある物品を持ち帰ると不幸が起きるという話は、廃病院に限らず様々な場所で語られています。
廃墟の小物、神社の石、事故現場の破片など、「その場所に属する物を持ち出す」ことへの禁忌は、世界各地の民間信仰にも見られるモチーフです。

電話を使った怪談

電話を介した恐怖といえば、「メリーさんの電話」が有名です。
メリーさんの場合は「私、メリーさん。今あなたの後ろにいるの」という展開ですが、「カルテを返して」も電話という一方的なコミュニケーション手段を通じて、日常に恐怖が侵入してくる構造を持っています。

廃病院怪談の系譜

廃病院を舞台にした怪談は数多く存在し、「手術室で声が聞こえる」「病室に患者の霊が出る」「霊安室に近づくと連れていかれる」など、病院という場所の持つ「死のイメージ」を活かした話が多数語られています。


なぜこの都市伝説は語り継がれるのか

「カルテを返して」が長年にわたって語り継がれている理由として、以下のような要素が考えられます。

因果応報の構造
「禁忌を犯した者が罰を受ける」という因果応報の構造は、怪談の基本形です。
カルテを持ち帰るという「してはいけないこと」をした結果として恐怖が訪れるという流れは、聞く人の道徳観念に訴えかけます。

救済の可能性
多くのバリエーションで「カルテを返せば許される」という救済の道が示されているため、絶望的な恐怖だけでなく「どうすれば助かるか」という希望も含まれています。
これにより、単なるショッキングな話ではなく、教訓的な物語として機能しています。

体験談として語られやすい
「友達の友達が体験した」「先輩から聞いた」という形式で語られることが多く、「自分の身近でも起こりうる」というリアリティを持っています。
実際、Webサイトやソーシャルメディアには、このパターンに沿った「体験談」が数多く投稿されています。


まとめ

「カルテを返して」の都市伝説は、以下の要素が組み合わさった複合的な怪談です。

  • 廃病院という不気味な舞台設定
  • カルテという個人情報を含む物品
  • 電話という日常的なコミュニケーション手段を通じた恐怖の侵入
  • 「持ち帰った物を返す」という解決策の存在
  • 「禁忌を犯すと罰を受ける」という因果応報の構造

1990年代後半から語り継がれてきたこの都市伝説は、現代でもソーシャルメディアや怖い話投稿サイトで新たな体験談として語られ続けています。

廃病院を訪れる機会があっても、くれぐれもカルテには触れないように。
もしかしたら、あなたのスマートフォンにも「知らない番号」から着信があるかもしれません。


参考情報

この記事で参照した情報源

体験談・怪談投稿サイト

漫画化された体験談

心霊スポット情報

都市伝説研究

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