私たちの生活に欠かせない金属。スマートフォンや自転車、料理に使う包丁まで、身の回りのあらゆるものに金属が使われています。
そんな金属の恵みを司る神様が、日本神話に登場する「カナヤマヒコ(金山毘古神)」です。
今回は、あまり知られていないけれど、古来から職人たちに深く信仰されてきたこの神様について、分かりやすく紹介していきます。
カナヤマヒコの系譜と由来

カナヤマヒコは、日本の神話書『古事記』や『日本書紀』に登場する神様です。
その誕生は、日本神話の中でも特に悲しい場面に関連しています。
神話における誕生
日本の国土を生み出した神々のカップル、イザナギとイザナミ。
彼らが最後に生んだのが火の神カグツチでした。
火の神を産んだイザナミは全身にひどいやけどを負い、命を落としてしまいます。
この悲劇的な場面で、イザナミの体から流れ出た血や嘔吐物から、いくつかの神々が生まれました。
その中で嘔吐物から生まれたのが、カナヤマヒコ(兄神)だったのです。
系譜
以下にカナヤマヒコの系譜を簡単にまとめる。
- 母:イザナミ
- 妻:カナヤマヒメ
- 子:カナヤコ
カナヤマヒコとカナヤマヒメは、対となった存在で夫婦。
彼らにはカナヤコという子がいて、親子3柱で祀られたりする。
カナヤマヒコの神格と特徴

カナヤマヒコは、鉱山・金属・冶金(やきん:金属加工技術)・鍛冶(かじ)の守り神として崇められてきました。
カナヤマヒコの神格まとめ
- 鉱山の神
- 鍛冶の神
- 鋳物の神
カナヤマヒコに関する神話と伝承

カナヤマヒコは、主要な神話の物語で主役を務めることはない。
神話におけるポイント
- カグツチの誕生とイザナミの死: カグツチ(火の神)が誕生したことでイザナミが死ぬ
- カナヤマヒコの誕生: 火の神の誕生で命を落としたイザナミの吐瀉物から生まれたカナヤマヒコが生まれる
出生の他に特別な神話はありません。
カナヤマヒコを祀る神社とご利益

カナヤマヒコを祀る神社は全国に点在しています。
特に金属や鉱業の歴史が深い地域に多く見られます。
主な神社
- 南宮大社(岐阜県)
- 黄金山神社(宮城県)
ご利益
カナヤマヒコにお参りすると、以下のようなご利益があるとされています:
- 金属加工業の守護
- 鉱山守護
- 商売繁盛
- 開運招福
- 厄除け
まとめ
カナヤマヒコについて様々な角度から見てきましたが、この神様から私たちが学べることは何でしょうか。
まとめポイント
- カナヤマヒコは、鉱山と金属加工をつかさどる男神として古くから信仰されてきました。
- イザナミの死という悲劇から生まれた神
- 神格は、鍛冶・鋳物・鉱山など
- 南宮大社や黄金山神社で信仰され、特に職人たちから篤い信仰を集めています。
- ご利益は、金属加工業と鉱山の守護・商売繁盛・厄除けなど、現代人にとっても有意義なものです。
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