空に光が走り、轟音が響く雷。その自然現象を古代の人々は神の現れとして崇め、畏れてきました。
日本神話に登場する数多くの神々の中でも、特に神秘的な誕生と重要な役割を持つ雷の神がいます。
それが「カモワケイカヅチ(賀茂別雷神)」です。
京都の歴史ある神社、上賀茂神社の主神であり、古代豪族・賀茂氏の祖神でもあるこの神様について、その名前の意味から神話、ご利益まで深く掘り下げて解説します。
カモワケイカヅチの名前の意味

まずは「カモワケイカヅチ(賀茂別雷神)」という名前に込められた意味を紐解いてみましょう。
この名前の意味には諸説ある。
一説では、「ワケ」が分ける、「イカヅチ」が雷を意味するとされる。
他の説では、「ワケイカヅチ」を「若雷」と解釈してるのがある。
カモワケイカヅチの系譜

カモワケイカヅチの誕生は、日本神話の中でも特に神秘的なエピソードとして知られています。
神秘的な誕生
カモワケイカヅチは母神のタマヨリヒメ(玉依媛命)が、川で水浴びをしていたときに、川上から流れてきた赤い矢を拾い持ち帰ったことで妊娠し、生まれたとされています。
系譜のまとめ
- 母神:タマヨリヒメ(玉依媛命)- 賀茂建角身命の娘
- 父神:オオヤマクイノカミ(大山咋神)
- 子孫:賀茂氏という古代豪族の祖神とされている
カモワケイカヅチの神格(持つ力)

カモワケイカヅチはどのような力を持つ神様なのでしょうか。その神格(神としての性質や力)を見ていきましょう。
カモワケイカヅチの主な神格
- 雷の神
- 治水
- 農業
- 京都(加茂)の神
カモワケイカヅチは名前通りの雷神。
また、父オオヤマクイ(山の神)と母タマヨリヒメ(水の女神)の神格の影響を受けている。
カモワケイカヅチに関する神話

カモワケイカヅチの物語は、『山城国風土記』などの古代文献に記されています。
そのエピソードをもう少し詳しく見ていきましょう。
神話のあらすじ
- 玉依媛命が賀茂川で遊んでいたとき、上流から赤い矢(丹塗矢)が流れてきました
- 玉依媛命はその矢を拾い、自分の寝所に置いておきました
- すると不思議なことに玉依媛命は妊娠し、神の子を身ごもることになります
- 生まれた子こそがカモワケイカヅチ命です
- 玉依媛命はこの子が神の子であると知り、賀茂の地に社(やしろ)を建て、神として祀りました
この丹塗矢、オオヤマクイの化身。
カモワケイカヅチを祀る神社とご利益

カモワケイカヅチを主神として祀る代表的な神社は、京都の「賀茂別雷神社」です。
主な神社
- 賀茂別雷神社(京都府)
- 全国の賀茂神社
ご利益
カモワケイカヅチにお参りすると、以下のようなご利益があるとされています:
- 厄除け
- 開運
- 祈雨・祈晴
- 河川
- 農産業の守護
まとめ
カモワケイカヅチ(賀茂別雷神)について、その名前の意味から神話、ご利益まで見てきました。
- カモワケイカヅチは雷の神であり、賀茂氏の祖神として重要な位置を占めています
- 母はタマヨリヒメ、父はオオヤマクイノカミ
- 神格は雷・治水・農業と多面的な性質を持っています
- 京都の上賀茂神社に祀られ、全国各地の賀茂神社でも信仰されている
- ご利益は、厄除け・開運・河川や農産業の守護など現代にも通じる恩恵があります
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