ヒンドゥー教において愛と欲望を司る神カーマについて、わかりやすく解説します。
西洋のキューピッドに似た役割を持ちながらも、異なる意味を持つこの神について迫ります。
名前の意味
「カーマ」という名前はサンスクリット語で「欲望・願望」を意味します。
ギリシャ神話のエロス、ローマ神話のキューピッドと似た性質を持ち、”愛の神”として多くの神話や信仰に登場します。
神々との関係

カーマはインド神話では人間と神々を動かす「欲望の神」として登場します。
関連する神々との関係:
- 親:はっきりしない
- 妻:ラティ(Rati)- 情熱・性愛の女神。常に一緒に描かれる
- 友人:ヴァサンタ – 春の神
- 役割:愛・欲望・美などをつかさどる
- 別名:アナンガ(身体なきもの)など多数
姿と特徴

カーマは美しい若者として描かれます。
その姿は、見た人の心を自然とときめかせるような、”恋の力”そのものです。
特徴的な姿:
- 弓と矢を持つ – サトウキビの弓、ミツバチの弦、5つの花が先端についた矢
- オウムに載っている
- 見るだけで心が乱れるほどの美しさ
彼の矢に射抜かれると、たちまち恋に落ちるとされる。
シヴァとカーマの伝説

最も有名なカーマの神話は、破壊神シヴァの神話。
あるとき、破壊神シヴァが長い瞑想に入り、世界のバランスが崩れてしまいます。
そこで神々は、シヴァの心を動かして結婚させるために、カーマを送り込みます。
- カーマはシヴァの心に愛の矢を放ちます
- シヴァは瞑想を邪魔されたことに怒り、カーマを第三の目で焼き尽くします
- カーマは”肉体を失った愛”となり、その後も見えない存在として人の心を動かす存在になりました
この神話からアナンガ(身体なき者)となった。
他文化との比較
愛の神々の比較:
- エロス(ギリシャ):弓矢で人の心を射る、愛の神
- キューピッド(ローマ):愛と恋を司る神、可愛らしい姿
愛は世界共通のテーマであり、どの文化でも”心を動かす力”として神格化されています。
ただしカーマは西洋の愛の神よりも哲学的な意味合いが強いのが特徴。
まとめ
カーマは、愛の神様。
ポイントまとめ:
- 名前の意味は「欲望」
- 妻ラティとともに、愛と性愛を司る神
- 花の弓矢を持ち、オウムに乗る姿が特徴的
- シヴァを愛で目覚めさせるも、怒りを買って焼かれ、肉体を失う
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