日本神話に興味を持ったものの、
「どの本から読み始めればいいのかわからない」
「古事記って難しそうで挫折しそう」
と悩んでいませんか?
実は、日本神話の本選びには「正しい順序」があります。
いきなり原典の『古事記』や『日本書紀』から始めると、古文を読むときのように「読むことが苦痛」になってしまうことも。
この記事では、初心者でも挫折せずに日本神話を楽しめる入門書から、上級者向けの原典まで、レベル別に詳しくご紹介します。
学習方法の基本:簡単な本から始める

なぜ簡単な本から始めるべきなのか?
よくある失敗例
「せっかくなら本格的な本を読もう」と考えて、いきなり岩波文庫の『古事記』に手を出してしまう方がいます。
しかし、これは挫折の原因になりがち。
例えば、『源氏物語』は面白いと言われていますが、原文(古文)だと読むこと自体が苦痛で内容を楽しめないですよね。
それと同じで、原典や専門書から読んで苦痛になっては意味がないのです。
おすすめの学習ステップ
- マンガや図解本で全体のイメージをつかむ
- やさしい入門書で基本的な知識を身につける
- 現代語訳でストーリーを深く理解する
- 原典で本来の姿に触れる
この順序がおすすめ。
感覚的には、少しずつ文字を増やしていくイメージですね。
初心者向け:わかりやすく学べる入門書

まずはここから!超初心者におすすめ
『マンガ 面白いほどよくわかる!古事記』かみゆ歴史編集部
- おすすめ度:★★★★★
- こんな人におすすめ:活字を読むのが苦手、まったくの初心者
- 特徴:ほぼ全編マンガで古事記を解説した入門書
イザナギ・イザナミの国生みから、ヤマタノオロチ退治、天孫降臨まで、有名なエピソードが章ごとに整理されている。
各章に関連マップや解説もあるので、物語の全体像をつかみやすい。
「古事記って面白い!」と思える最初の一冊として最適。
『いちばんわかりやすい 日本神話』小野寺優著(じっぴコンパクト新書)
- おすすめ度:★★★★★
- こんな人におすすめ:神様のキャラクターや関係性を知りたい人
- 特徴:図表やイラスト満載で、神々の個性がつかみやすい
アマテラス、スサノオ、オオクニヌシなど、神様がはっきりキャラ付けされている。
神々の系譜や世界観、三種の神器の解説まで網羅されているので、キャラクターブック感覚で読める。
『ラノベ古事記』の著者でもある小野寺氏による、初心者に寄り添った良書。
『愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記』ふわこういちろう著
- おすすめ度:★★★★☆
- こんな人におすすめ:子どもと一緒に読みたい人、感動ストーリーが好きな人
- 特徴:神々の冒険と成長を「感動ストーリー」として再構成
ヤマタノオロチ退治や因幡の白兎など馴染みあるエピソードが中心。
勉強っぽくないのに神話や文化が学べるのがポイント。
漫画ならではのセリフ回しで、神々の性格が伝わりやすい。
中級者向け:もう少し詳しく学びたい人に

しっかりとした知識を身につけたい人におすすめ
『現代語古事記』竹田恒泰著
- おすすめ度:★★★★★(最もおすすめ!)
- こんな人におすすめ:古事記全文を読みたい人、解説付きで読みたい人
- 特徴:古事記全巻を完全現代語訳、シリーズ累計30万部突破
「信じられないほど読みやすい」「はじめてでも完読できた」と評判の一冊。
著者は明治天皇の玄孫にあたり、独自の視点による解説が特徴的。
重要な神名・人名が太字で表記されているので、物語に集中しやすい。
巻末には神統譜、歴代天皇系図、約1500語の索引つき。
『古事記』池澤夏樹訳(河出書房新社・日本文学全集01)
- おすすめ度:★★★★★
- こんな人におすすめ:文学的な美しさを楽しみたい人
- 特徴:芥川賞作家による斬新で読みやすい現代語訳
上段に現代語訳、下段に解説という構成で、現代語訳だけなら1日でサラッと読める。
原文と日本書紀を読み込んで、古代の考えに近いニュアンスの訳を意識している。
竹田恒泰訳よりもニュートラルな視点で書かれているので、バランスのとれた解釈を求める人にはこちらがおすすめ。
『現代語訳 古事記』福永武彦訳(河出文庫)
- おすすめ度:★★★★☆
- こんな人におすすめ:文庫本で手軽に読みたい人
- 特徴:名訳として親しまれてきた定番の現代語訳
池澤夏樹のお父さんによる現代語訳。
難しい言葉をなるべく使わず、分かりやすさに気を配って書かれている。
同シリーズで『現代語訳 日本書紀』も出版されているので、セットで揃えたい人にもおすすめ。
文庫本なので価格もリーズナブル。
『口語訳 古事記』三浦佑之訳(文春文庫)
- おすすめ度:★★★★☆
- こんな人におすすめ:「語り」の雰囲気を味わいたい人
- 特徴:口承文学的側面を重視した現代語訳
古代文学の専門家による翻訳で、注釈・解説・参考資料がしっかりしている。
地名・氏族名解説や天皇の系図、参考地図、詳細な索引も付属。
古事記を総合的に楽しみたいならこの一冊。
その他の中級者向け書籍
『図解 眠れなくなるほど面白い 古事記』吉田敦彦監修
- おすすめ度:★★★★☆
- こんな人におすすめ:図解で理解したい人
- 特徴:神々の系譜や物語の構造が一目でわかる
図解シリーズなので、複雑な神様の関係も視覚的に整理できる。
『地図でスッと頭に入る古事記と日本書紀』
- おすすめ度:★★★☆☆
- こんな人におすすめ:神話の舞台を地理的に理解したい人
- 特徴:神話の舞台が実際の地形とどう一致するか解説
神武東征のルートや出雲の国譲りなど、地図を見ながら読み進められる。
原典に触れる:上級者向けの本格的な文献

本格的に学びたい人におすすめ
『古事記』倉野憲司校注(岩波文庫)
- レベル:上級
- こんな人におすすめ:原文と現代語訳を比較したい人
- 特徴:原文・書き下し・注釈を収録した学術的な一冊
日本古典の定番シリーズ。
研究者や大学で古事記を学ぶ人にとっての必携書。
ただし、初心者には難解なので、入門書を読んでからの挑戦がおすすめ。
『日本書紀』(岩波文庫・全5冊)
- レベル:上級
- こんな人におすすめ:古事記と比較しながら読みたい人
- 特徴:古事記より詳細で、中国・朝鮮との外交記録も含む
日本書紀は古事記よりも後に編纂され、より公式な歴史書として位置づけられている。
神話の異伝(別バージョン)も複数収録されているので、比較研究に最適。
『風土記』(平凡社ライブラリー等)
- レベル:中級〜上級
- こんな人におすすめ:地方神話や伝承に興味がある人
- 特徴:各地方の神話・伝承を収録した地誌
出雲風土記、播磨風土記など、地方に伝わる神話が読める。
古事記や日本書紀とは違った視点で日本神話を楽しめる。
原典を読む前の準備
- 入門書で基本的なストーリーを把握
- 登場人物(神々)の関係性を理解
- 時代背景や神道の基礎知識を学習
- 現代語訳から始めて、慣れたら原文に挑戦
レベル別・目的別の本選びガイド

あなたはどのタイプ?
- とにかく手軽に始めたい人 → 『マンガ 面白いほどよくわかる!古事記』
- ビジュアル重視の人 → 『いちばんわかりやすい 日本神話』
- 古事記を完読したい人 → 『現代語古事記』(竹田恒泰著)
- 文学的に味わいたい人 → 『古事記』(池澤夏樹訳)
- 本格的に学術レベルで学びたい人 → 岩波文庫版 → 原典
学習の進め方
ステップ1:まずは1冊読み切る
- マンガでも入門書でもOK
- とりあえず楽しむことが大切
ステップ2:興味のある分野を深堀り
- 特定の神様(アマテラス、スサノオ、オオクニヌシなど)
- 特定の物語(天岩戸、ヤマタノオロチ、国譲りなど)
- 神社巡りとの関連
私はマンガで全体像や物語を知った後、気になった神様や英雄を調べていく感じでした。
ステップ3:体系的な理解
- 現代語訳で正確な知識を身につける
- 神々の系譜を整理する
- 神道との関連を学ぶ
日本神話は神社・仏閣・地名など、現代の日本文化と深く結びついています。
ステップ4:原典に挑戦
- 現代語訳から始める
- 複数の翻訳を比較してみる
- 古代日本の文化背景も学ぶ
よくある疑問と回答

Q: 古事記と日本書紀の違いは?
A: 成り立ちと目的が違います
- 古事記(712年成立):国内向けの歴史書・神話集。物語性が強い
- 日本書紀(720年成立):対外的な正史。中国の歴史書を意識した編年体
基本的なストーリーは同じですが、日本書紀には異伝(別バージョン)が多く収録されています。
まずは古事記から入るのがおすすめ。
Q: 日本神話と歴史の関係は?
A: 神話は古代日本人の世界観を表しています
神話は完全な作り話ではなく、古代日本の文化、価値観、歴史の記憶が反映されています。
神武東征なども、実際の歴史的な出来事がベースになっている可能性があると考えられています。
Q: 現代でも役立つ知識?
A: 非常に役立ちます!
- 神社参拝:祀られている神様の由来がわかる
- アニメ・ゲーム:ペルソナ、呪術廻戦、NARUTOなど多くの作品で神話がモチーフに
- 地名の由来:出雲、高千穂、伊勢など神話ゆかりの地
- 言葉の語源:「八百万(やおよろず)」「黄泉(よみ)」など
- 美術鑑賞:日本画の理解が深まる
個人的には神社巡りと、サブカル作品の理解に役立ちました。
「この神様、古事記で読んだやつだ!」となると嬉しいものです。
Q: 子どもにおすすめの本は?
A: 学習マンガがおすすめです
- 『マンガ 面白いほどよくわかる!古事記』
- 『愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記』
- 学研の『10歳までに読みたい日本名作』シリーズ
ふりがな付きで、イラストも豊富な本を選ぶと読みやすいです。
まとめ

学習のポイント
- 無理をしない
いきなり難しい本から始めず、自分に合った本を選びましょう。 - 楽しむことを最優先
「勉強」と思わず、「物語」として楽しみましょう。 - 完璧を求めない
最初から全部理解しようとせず、少しずつ知識を積み重ねていけば大丈夫です。 - 実際に足を運んでみる
本で読んだ神話の舞台(出雲大社、伊勢神宮、高千穂など)を訪れると、理解が深まります。
おすすめの最初の3冊
超初心者の方
ある程度読書に慣れている方
最後に
日本神話は1300年以上前から語り継がれてきた、日本人の心のルーツとも言える物語です。
歴史が苦手!という人でも、神話なら問題なく楽しめます。
神様たちは意外と人間くさくて、笑いあり涙ありのドラマチックな展開が待っています。
ぜひ、日本神話の世界に触れてみてください。
本記事で紹介した本一覧
初心者向け
中級者向け
上級者向け




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