「桃太郎」「浦島太郎」「かぐや姫」……子どもの頃に一度は聞いたことがある日本の昔話。でも、ふと「他にどんな昔話があったっけ?」と思い返すと、意外と思い出せないものですよね。
この記事では、日本に古くから伝わる昔話を55話まとめて紹介します。「日本五大昔話」と呼ばれる定番作品から、ちょっとマイナーだけど心に残る物語まで、カテゴリ別に分かりやすく解説していきます。読み聞かせの参考にしたい方も、昔話の世界を改めて楽しみたい方も、ぜひ最後までご覧ください。
日本の昔話とは
日本の昔話は、古くから口伝えで語り継がれてきた民間の物語です。民俗学では「口承文芸」の一つとして分類されています。
「むかしむかし、あるところに……」という決まり文句で始まるのが特徴で、語り手から聞き手へ、親から子へと何世代にもわたって伝えられてきました。日本の著名な民俗学者・柳田國男(1875-1962)は、全国各地の昔話を収集・分類し、その研究に大きく貢献した人物として知られています。
昔話には「教訓」や「道徳」が込められていることが多く、子どもたちに善悪の判断や思いやりの心を伝える役割も担ってきました。勧善懲悪(善い行いは報われ、悪い行いは罰せられる)のテーマが多いのも、そうした背景があります。
日本五大昔話
日本の昔話の中でも、特に有名な5作品は「日本五大昔話」と呼ばれています。室町時代末期から江戸時代初期にかけて成立したとされ、江戸時代の赤本(子ども向けの絵入り本)として広まりました。
桃太郎(ももたろう)
日本の昔話といえば、まず名前が挙がるのが「桃太郎」ではないでしょうか。
川から流れてきた大きな桃から生まれた男の子が「桃太郎」と名付けられ、やがて成長して鬼ヶ島の鬼退治に向かうという物語です。道中で出会った犬・猿・雉(きじ)にきびだんごを与えて家来にし、力を合わせて鬼を倒すというストーリーは、誰もが知る定番中の定番ですね。
岡山県が「桃太郎伝説の地」として有名で、「吉備(きび)の国」という旧国名と「きびだんご」の語呂合わせから、岡山県がルーツとする説が広く知られています。ただし、桃太郎の伝説は全国各地に残っており、地域によってストーリーにバリエーションがあります。
桃太郎は勧善懲悪の英雄譚であり、「正義のために仲間と力を合わせる」というメッセージが込められた物語です。
かちかち山
老夫婦の畑を荒らしていた悪い狸を捕まえたおじいさん。狸汁にしようと縛っておいたところ、狸はおばあさんを騙して縄をほどかせ、逆におばあさんを殺して逃げてしまいます。
悲しむおじいさんに代わって、仲良しの兎が狸に仕返しをすることに。兎は狸を柴刈りに誘い、帰り道で狸が背負った柴に火をつけます。このとき火打石の音を「カチカチ」とごまかしたことが、タイトルの由来です。やけどを負った狸に唐辛子入りの薬を塗りつけ、最後は泥でできた船に乗せて沈めてしまうという、なかなか残酷な復讐劇です。
山梨県の河口湖近くにある天上山は「かちかち山」の舞台といわれ、富士山を望む観光スポットとして親しまれています。
さるかに合戦(さるかにがっせん)
蟹が拾ったおにぎりと、猿が拾った柿の種を交換するところから物語は始まります。蟹は柿の種を育てて実をつけさせますが、木に登れないため猿に取ってもらおうとしました。ところが猿は柿の実を独り占めしたうえ、青い実を蟹に投げつけて殺してしまいます。
死んだ蟹のお腹から生まれた子蟹は、栗・蜂・臼・牛糞などの仲間を集め、猿の家に押しかけて仇討ちをするという物語です。
現代では「さるかにばなし」というタイトルで、猿が反省して和解するマイルドな結末に変更されることも多くなりました。
舌切り雀(したきりすずめ)
心優しいおじいさんが可愛がっていた雀を、意地悪なおばあさんが怒りにまかせて舌を切って追い払ってしまいます。
おじいさんは雀を探しに出かけ、「雀のお宿」にたどり着きます。雀たちは歓待してくれ、帰り際に大きなつづらと小さなつづらのどちらかを選ぶよう言われます。おじいさんは小さなつづらを選び、家に帰って開けてみると中には宝物がいっぱい。それを聞いた欲深いおばあさんは大きなつづらをもらいに行きますが、中から出てきたのは妖怪や毒虫でした。
「謙虚さ」と「欲張りへの戒め」がテーマの物語です。
花咲か爺さん(はなさかじいさん)
正直で心優しいおじいさんが飼っていた犬のポチ。ある日「ここ掘れワンワン」と吠えるので掘ってみると、大判小判がざくざく出てきました。
それを見た隣の欲張りなおじいさんは犬を借りて同じことをしますが、出てきたのはガラクタばかり。怒った隣のおじいさんは犬を殺してしまいます。悲しんだ正直おじいさんが犬を埋めた場所に木を植えると、あっという間に大きな木に成長。その木で臼を作ってお餅をつくと、再び宝物があふれ出ました。
隣のおじいさんがまた真似をしますが失敗し、臼も燃やしてしまいます。正直おじいさんがその灰を枯れ木にまくと、美しい花が満開に。殿様に褒められて褒美をもらいますが、隣のおじいさんが真似をすると灰が殿様の目に入り、罰を受けることになりました。
「正直者は報われる」という教訓が込められた、勧善懲悪の代表的な物語です。
日本三大昔話の主人公たち
「桃太郎」「金太郎」「浦島太郎」の3人は、名前に「太郎」がつく昔話の主人公として「日本三太郎」とも呼ばれ、特に親しまれています。
浦島太郎(うらしまたろう)
漁師の浦島太郎は、子どもたちにいじめられていた亀を助けます。すると亀は「お礼に竜宮城へご案内します」と言い、太郎を海の中の美しい宮殿へ連れて行きました。
竜宮城では乙姫様から歓待を受け、楽しい日々を過ごします。しかしふと故郷が恋しくなった太郎は、帰ることに。乙姫様は「決して開けてはいけません」と言って玉手箱を渡します。
故郷に戻った太郎を待っていたのは、見知らぬ風景でした。竜宮城でのわずかな時間は、地上では何百年も経っていたのです。途方に暮れた太郎が玉手箱を開けると、中から白い煙が立ち上り、太郎は一瞬で白髪の老人になってしまいました。
「約束を守ることの大切さ」や「時の流れの残酷さ」を描いた、ちょっと切ない物語です。竹取物語のかぐや姫が月に帰る際に不死の薬を帝に渡し、それを焼いたのが「富士山」の由来とされるのと同様、浦島太郎の伝説も日本各地に残っています。
金太郎(きんたろう)
赤い腹掛けに「金」の文字、まさかりを担いだたくましい少年・金太郎。足柄山で山姥(やまんば)に育てられ、熊や動物たちと相撲を取って遊ぶほどの怪力の持ち主でした。
やがてその強さが評判となり、源頼光に見出されて家来となります。金太郎は「坂田金時」と名乗り、頼光四天王の一人として大江山の鬼・酒呑童子退治で活躍したと伝えられています。
金太郎のモデルは実在の人物・坂田金時とされ、神奈川県の足柄山(金時山)が舞台として有名です。端午の節句(5月5日)には、子どもの健やかな成長を願って金太郎人形を飾る風習があります。
小さな英雄・不思議な誕生の物語
日本の昔話には、小さな体で大きな活躍をする主人公や、不思議な形で誕生する主人公の物語が数多くあります。
一寸法師(いっすんぼうし)
子どものいない老夫婦が神様に願ったところ、親指ほどの小さな男の子が授かりました。「一寸法師」と名付けられた少年は、お椀の船に箸の櫂、針の刀を持って都へ旅立ちます。
都で姫に仕えることになった一寸法師は、ある日姫を襲った鬼を退治。鬼が落としていった打ち出の小槌を振ると、一寸法師は立派な若者の姿に。姫と結婚し、幸せに暮らしましたとさ。
「どんなに小さくても、勇気と知恵があれば大きなことを成し遂げられる」というメッセージが込められた物語です。
力太郎(ちからたろう)
おじいさんとおばあさんが体の垢を集めて人形を作り、神様にお願いしたところ、本当の人間の子どもになりました。「こんた」「垢太郎」などとも呼ばれるこの少年は、驚くほどの怪力の持ち主に成長します。
力太郎は旅に出て、同じく怪力の仲間「石こ太郎」「御堂こ太郎」と出会い、力を合わせて化け物を退治するという物語です。
瓜子姫(うりこひめ)
川から流れてきた瓜を開けると、中から可愛らしい女の子が生まれました。「瓜子姫」と名付けられた娘は美しく成長し、機織りの名手に。
ある日、山姥(あまんじゃく)が瓜子姫をだまして入れ替わり、瓜子姫は殺されてしまいます。悲しい結末の地域もあれば、瓜子姫が助かって幸せになる結末の地域もあります。
恩返しと感謝の物語
恩を受けた動物や超自然的な存在が、人間に恩返しをする物語も、日本の昔話の定番テーマの一つです。
鶴の恩返し(つるのおんがえし)
雪の降る日、おじいさんが罠にかかった鶴を助けてやりました。その夜、一人の美しい娘が「泊めてください」とやってきます。
娘はおじいさんの家に住み込み、機を織ることに。「織っている間は絶対に覗かないでください」と言い、見事な織物を作り上げます。その布は高く売れ、おじいさんは裕福になりました。
しかし、おじいさん(またはおばあさん)は約束を破って部屋を覗いてしまいます。中では一羽の鶴が自分の羽を抜いて布を織っていました。正体を知られた鶴は「私はあの時助けていただいた鶴です」と告げ、悲しそうに空へ飛び去っていきました。
「約束を守ることの大切さ」と「報恩」がテーマの切ない物語です。同様の「見るなのタブー」は、浦島太郎や雪女など多くの昔話に共通するモチーフとなっています。
笠地蔵(かさじぞう)
貧しいおじいさんが、年の瀬に笠を売りに町へ出かけますが、一つも売れません。帰り道、雪をかぶった六体のお地蔵様を見つけたおじいさんは、売れ残った笠をかぶせてあげます。笠が足りない分は、自分の手ぬぐいをかぶせてあげました。
その夜、「ずしん、ずしん」と音がして、家の前に宝物がどっさり届けられていました。お地蔵様がお礼に持ってきてくれたのです。
見返りを求めない親切心が報われる、心温まる物語として愛されています。
ぶんぶく茶釜(ぶんぶくちゃがま)
ある和尚さんが手に入れた茶釜。火にかけると「あちち!」と叫び、手足と尻尾が生えてきました。実は狸が化けた茶釜だったのです。
和尚さんは茶釜を古道具屋に売り払いますが、茶釜の狸は古道具屋の主人に拾われて仲良くなります。狸は恩返しに綱渡りなどの芸を披露し、見世物小屋で人気者に。古道具屋の主人は大金持ちになりましたとさ。
群馬県館林市の茂林寺が「ぶんぶく茶釜」の舞台とされ、狸の置物がたくさん置かれています。
わらしべ長者(わらしべちょうじゃ)
貧しい若者が観音様に「どうか幸せになれますように」と祈ったところ、「お堂を出て最初につかんだ物を大切にしなさい」とお告げがありました。
お堂を出た瞬間につまずいて転び、手にしたのは一本のわらしべ。「こんなものが?」と思いながら歩いていると、うるさく飛び回るアブを捕まえてわらしべに結び付けます。するとそれを欲しがる子どもがいて、みかんと交換することに。
みかんは喉の渇いた商人に譲り、立派な反物をもらいます。反物は病気の馬と交換し、馬は元気になって立派な馬に。最後はその馬と屋敷を交換し、若者は長者になりましたとさ。
「小さなことも大切にする」「チャンスを逃さない」という教訓が込められた、出世物語の定番です。
妖怪・怪談の物語
日本の昔話には、妖怪や幽霊が登場する怖い物語も数多くあります。ただ怖いだけでなく、教訓が込められているものも少なくありません。
雪女(ゆきおんな)
雪の降る夜、山小屋で眠っていた若い木こりの前に、美しい白い女が現れます。女は「今夜のことを誰かに話したら、お前を殺す」と言い残して消えました。
その後、若者は美しい娘と出会い結婚。幸せに暮らしていましたが、ある吹雪の夜、若者はつい昔話を妻に話してしまいます。すると妻の姿がみるみる変わり、「あの時の雪女は私です」と正体を明かします。
子どもがいるため命は取らないと言い残し、雪女は吹雪の中へ消えていきました。「約束を守ることの大切さ」を描いた、切なくも怖い物語です。
耳なし芳一(みみなしほういち)
盲目の琵琶法師・芳一は、平家物語の語りで評判の名手でした。ある夜、武士に連れられて高貴な方の前で壇ノ浦の戦いを語ることに。実はその武士は平家の亡霊で、芳一は墓地で幽霊たちに語っていたのです。
寺の和尚は芳一を守るため、体中にお経を書きました。しかし耳だけ書き忘れてしまい、亡霊に耳をもぎ取られてしまいます。以来「耳なし芳一」と呼ばれるようになったという、有名な怪談です。
山口県下関市の赤間神宮には芳一堂があり、この伝説を今に伝えています。
三枚のお札(さんまいのおふだ)
和尚さんに山へ栗拾いに行かせてもらった小僧は、山姥(やまんば)に捕まってしまいます。小僧は和尚さんからもらった三枚のお札を使って逃げることに。
一枚目のお札を投げると大きな川に、二枚目は燃え盛る火の山に、三枚目は広大な砂漠になって山姥の行く手を阻みます。なんとか寺に逃げ帰った小僧。和尚さんは追いかけてきた山姥を豆粒の大きさに化けさせ、パクリと食べてしまいましたとさ。
追いかけてくる恐怖と、知恵で切り抜けるスリルが子どもたちに人気の物語です。
化け猫(ばけねこ)
長年飼われた猫が妖力を得て化け猫になり、飼い主に化けたり、行灯の油をなめたりするという伝承は各地に残っています。
特に有名なのが「鍋島の化け猫騒動」。佐賀藩鍋島家のお家騒動を題材にした怪談で、歌舞伎や講談で人気を博しました。
動物が主人公の物語
日本の昔話には、動物が主人公となって教訓を伝える物語も数多くあります。
こぶとり爺さん(こぶとりじいさん)
頬に大きなこぶのあるおじいさんが、山で鬼たちの宴会に出くわします。おじいさんは楽しそうに踊り、鬼たちに気に入られました。鬼は「また来いよ」とおじいさんの頬のこぶを取り、「預かっておく」と言います。
こぶがなくなって喜んだおじいさん。それを聞いた隣の欲張りおじいさん(同じく頬にこぶがある)は、自分もこぶを取ってもらおうと山へ。しかし踊りが下手で鬼を怒らせてしまい、「こぶを返す」と言われて、最初のおじいさんのこぶまで付けられて帰る羽目になりました。
「何事も楽しんで取り組む」「欲張りは身を滅ぼす」という教訓が込められています。
十二支のはじまり(じゅうにしのはじまり)
神様が「元旦に私のところへ来た順番に、12番目まで一年の守り神にしてあげよう」と動物たちに告げました。
牛は足が遅いので前日の夜から出発。それを見た鼠が牛の背中にこっそり乗り込み、ゴール直前で飛び降りて一番乗り。こうして「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の順番が決まったという物語です。
猫は鼠に嘘の日にちを教えられて参加できず、以来猫は鼠を追いかけるようになったとか。
ねずみの嫁入り(ねずみのよめいり)
世界で一番偉い婿を探すねずみの夫婦。「お日様が一番偉い」と聞いてお日様に会いに行くと、「雲に隠されるから雲の方が偉い」と言われます。雲は「風に吹き飛ばされる」、風は「壁には勝てない」、壁は「ねずみに穴を開けられる」……結局、一番偉いのはねずみだったという、ユーモラスな物語です。
ごんぎつね
新美南吉の創作童話ですが、昔話的な雰囲気を持つ名作として広く親しまれています。
いたずら好きの子狐・ごんは、兵十が病気の母親のために捕った鰻を逃がしてしまいます。その後、兵十の母親が亡くなったことを知ったごんは、罪滅ぼしに毎日栗や松茸を届け続けます。
しかし兵十は誰が届けてくれているのか知りません。ある日、家に忍び込むごんを見つけた兵十は、泥棒と思って火縄銃で撃ってしまいます。そこで初めて、ごんが恩返しをしていたことに気づくのです。
報われない善意の切なさを描いた物語として、教科書でもおなじみの作品です。
英雄・武将の物語
日本の昔話には、歴史上の人物を題材にした英雄譚も多く含まれています。
牛若丸(うしわかまる)
源義経の幼名「牛若丸」を主人公にした物語。幼くして鞍馬山の寺に預けられた牛若丸は、天狗から武芸を習ったとされています。
五条大橋で千本の太刀を集めていた武蔵坊弁慶と出会い、その武芸で弁慶を打ち負かして家来にしたという逸話は、「弁慶と五条の橋」として広く知られています。
安珍・清姫(あんちん・きよひめ)
熊野詣の途中、紀州の真砂で宿を借りた若い僧・安珍。宿の娘・清姫に見初められますが、僧である安珍は約束を違えて逃げ出します。
怒った清姫は蛇(龍)に姿を変えて安珍を追いかけ、道成寺で鐘の中に隠れた安珍を焼き殺してしまいます。能や歌舞伎の演目「道成寺」として今も上演される、情念の物語です。
由来・起源の物語
物事の由来や起源を説明する昔話も、日本には数多く伝わっています。
天の羽衣(あまのはごろも)
浜辺で美しい羽衣を見つけた漁師が、それを隠してしまいます。羽衣がないと天に帰れない天女は、漁師の妻となりました。
しかしある日、隠されていた羽衣を見つけた天女は、それを纏って天へ帰ってしまいます。静岡県の三保の松原は、この伝説の舞台として有名です。
七夕(たなばた)
織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)の物語は、もともと中国の伝説「七夕(しちせき)」が8世紀頃に日本に伝わったものです。
天の川の両岸に引き離された二人が、年に一度だけ7月7日に会うことを許されるという物語。毎年七夕には、笹の葉に願い事を書いた短冊を飾る風習があります。
養老の滝(ようろうのたき)
岐阜県に伝わる伝説。親孝行な木こりが、病気の父親のために酒を買いに行く途中、滝の水が酒になっているのを発見します。その酒で父親の病気が治り、この話が時の天皇に伝わって「養老」という元号がつけられたとされています。
現在も養老の滝は観光名所として親しまれています。
その他の有名な昔話
上記のカテゴリに分類しきれない、個性豊かな昔話も紹介します。
おむすびころりん
おじいさんがお昼にお弁当のおむすびを食べようとしたら、うっかり手を滑らせて穴の中へころころ転がっていってしまいます。
穴の中からは「おむすびころりん、すっとんとん」と楽しげな歌が聞こえてきます。おじいさんが覗き込むと、穴に落ちてしまい、そこはねずみの国でした。ねずみたちはお礼に宝物の入ったつづらをくれます。
この話を聞いた欲張りなおじいさんは、わざとおむすびを穴に落として宝物をもらおうとしますが、欲張りすぎて失敗するという、おなじみの勧善懲悪ストーリーです。
聞き耳頭巾(ききみみずきん)
ある男が手に入れた不思議な頭巾。これをかぶると、動物や植物の言葉がわかるようになります。
鳥の会話から隠された宝物の場所を知ったり、木の精霊の声を聞いて病気の姫を救ったり。不思議な力で幸運を手にする物語です。
三年寝太郎(さんねんねたろう)
三年間寝続けていた怠け者の若者が、目を覚ますと驚くべき知恵と行動力で村を救う物語。一見怠けているように見えても、考えを巡らせている人もいる……という教訓が込められています。
山口県厚狭(あさ)に伝わる伝説で、実際に「寝太郎」を祀る神社もあります。
鉢かつぎ姫(はちかつぎひめ)
亡くなった母親の言いつけで、鉢を頭にかぶって暮らす姫。継母にいじめられながらも健気に生き、最後は立派な殿様の目に留まり、鉢の中から宝物が現れて幸せになるという物語です。
「シンデレラ」のような継子いじめと逆転のストーリーは、世界中の昔話に共通するモチーフです。
日本の昔話 一覧表
以下に、本記事で紹介した昔話を含め、日本の代表的な昔話55話を一覧にまとめました。
| No. | タイトル | カテゴリ | 簡単な説明 |
|---|---|---|---|
| 1 | 桃太郎 | 五大昔話 | 桃から生まれた少年が犬・猿・雉と鬼退治 |
| 2 | かちかち山 | 五大昔話 | 兎が悪い狸に復讐する物語 |
| 3 | さるかに合戦 | 五大昔話 | 蟹の子が仲間と猿に仇討ち |
| 4 | 舌切り雀 | 五大昔話 | 雀のお宿と大小のつづら |
| 5 | 花咲か爺さん | 五大昔話 | 枯れ木に花を咲かせるおじいさん |
| 6 | 浦島太郎 | 三大昔話 | 亀を助けて竜宮城へ行く漁師 |
| 7 | 金太郎 | 三大昔話 | 足柄山の怪力少年 |
| 8 | かぐや姫(竹取物語) | 古典文学 | 竹から生まれた姫が月へ帰る |
| 9 | 一寸法師 | 英雄譚 | 親指サイズの少年の冒険 |
| 10 | 力太郎 | 英雄譚 | 垢から生まれた怪力少年 |
| 11 | 瓜子姫 | 誕生譚 | 瓜から生まれた美しい娘 |
| 12 | 鶴の恩返し | 恩返し | 鶴が娘に化けて織物を織る |
| 13 | 笠地蔵 | 恩返し | 地蔵に笠をかぶせて宝を得る |
| 14 | ぶんぶく茶釜 | 恩返し | 狸が化けた茶釜の物語 |
| 15 | わらしべ長者 | 出世譚 | 藁一本から大金持ちに |
| 16 | 雪女 | 妖怪・怪談 | 雪の精の悲しい物語 |
| 17 | 耳なし芳一 | 妖怪・怪談 | 平家の亡霊と琵琶法師 |
| 18 | 三枚のお札 | 妖怪・怪談 | 山姥から逃げる小僧 |
| 19 | 化け猫 | 妖怪・怪談 | 猫が妖力を得て化け猫に |
| 20 | こぶとり爺さん | 勧善懲悪 | 鬼にこぶを取ってもらう |
| 21 | 十二支のはじまり | 由来譚 | 干支の順番が決まった経緯 |
| 22 | ねずみの嫁入り | 動物昔話 | 一番偉い婿を探すねずみ |
| 23 | ごんぎつね | 動物昔話 | 報われない子狐の恩返し |
| 24 | 牛若丸 | 英雄譚 | 源義経の幼少期の物語 |
| 25 | 安珍・清姫 | 伝説 | 蛇に変身する娘の情念の物語 |
| 26 | 天の羽衣 | 由来譚 | 羽衣を隠された天女の話 |
| 27 | 七夕 | 由来譚 | 織姫と彦星の年に一度の逢瀬 |
| 28 | 養老の滝 | 由来譚 | 酒に変わった滝の伝説 |
| 29 | おむすびころりん | 勧善懲悪 | ねずみの国に転がり落ちる |
| 30 | 聞き耳頭巾 | 不思議な道具 | 動植物の言葉がわかる頭巾 |
| 31 | 三年寝太郎 | 知恵者 | 寝てばかりの若者が村を救う |
| 32 | 鉢かつぎ姫 | 継子譚 | 鉢をかぶった姫の物語 |
| 33 | 因幡の白兎 | 神話 | 大国主命と白兎の出会い |
| 34 | 海幸彦と山幸彦 | 神話 | 兄弟の釣り針をめぐる物語 |
| 35 | 八岐大蛇 | 神話 | 須佐之男命の大蛇退治 |
| 36 | 貧乏神と福の神 | 勧善懲悪 | 二神が入れ替わる物語 |
| 37 | 親指太郎 | 英雄譚 | 親指サイズの勇敢な少年 |
| 38 | ものぐさ太郎 | 出世譚 | 怠け者が出世する物語 |
| 39 | 分福茶釜 | 恩返し | 「ぶんぶく茶釜」の別名 |
| 40 | 証城寺の狸囃子 | 動物昔話 | 狸と和尚の腹鼓対決 |
| 41 | 狸の糸車 | 動物昔話 | 糸車を回す狸の恩返し |
| 42 | 食わず女房 | 妖怪・怪談 | 頭に口がある嫁の正体 |
| 43 | のっぺらぼう | 妖怪・怪談 | 顔のない妖怪の話 |
| 44 | 座敷わらし | 妖怪・怪談 | 家に住み着く子どもの妖怪 |
| 45 | 河童 | 妖怪・怪談 | 川に住む妖怪の伝承 |
| 46 | 天狗 | 妖怪・怪談 | 山に住む神通力を持つ妖怪 |
| 47 | 弁慶と五条の橋 | 英雄譚 | 牛若丸と弁慶の出会い |
| 48 | 酒呑童子 | 英雄譚 | 大江山の鬼退治 |
| 49 | 浦島太郎 | 伝説 | 竜宮城と玉手箱 |
| 50 | 炭焼き長者 | 出世譚 | 炭焼きが長者になる話 |
| 51 | 雉も鳴かずば | 悲話 | 父を救おうとした娘の悲劇 |
| 52 | 赤い蝋燭と人魚 | 悲話 | 人魚の子と蝋燭屋の物語 |
| 53 | 泣いた赤鬼 | 友情 | 赤鬼と青鬼の友情物語 |
| 54 | かさこ地蔵 | 恩返し | 「笠地蔵」の別名 |
| 55 | うぐいす長者 | 恩返し | 鳥が恩返しをする物語 |
まとめ
日本の昔話は、古くから口伝えで受け継がれてきた文化遺産です。「勧善懲悪」「恩返し」「約束を守る大切さ」など、普遍的な教訓が物語の形で伝えられてきました。
今回紹介した55話はほんの一部で、日本各地にはまだまだ数え切れないほどの昔話が残っています。地域によってストーリーが異なることも多く、同じ「桃太郎」でも各地で微妙に違う物語が伝わっているのも面白いところです。
絵本や読み聞かせ、アニメなどさまざまな形で今も親しまれている日本の昔話。ぜひお気に入りの物語を見つけて、その世界を楽しんでみてください。
参考情報
この記事の作成にあたり、以下の情報源を参照しました。
一次資料・学術資料
- 柳田國男の民話研究資料 – 日本の民俗学・昔話研究の基礎文献
- 『日本昔話大成』(関敬吾編) – 昔話の分類と収集に関する学術書
- 『日本昔話通観』(同朋舎出版) – 全国の昔話を網羅した資料集
参考サイト
- Wikipedia「昔話」 – 昔話の定義と分類
- Wikipedia「Japanese folktales」 – 英語圏での日本昔話の解説
- コトバンク「日本五大昔話」 – 五大昔話の定義
- 国立国会図書館レファレンス協同データベース – 昔話の分類・話型に関する参考情報
- まんが日本昔ばなしデータベース – 各話のあらすじと地域情報

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