新潟県の山中に、「自殺電波塔」と呼ばれる廃墟が存在することをご存知だろうか。正式名称は「弥彦無線中継所」。かつては電話通信のために建てられた施設だが、現在は草木に覆われた廃墟となっている。この場所には「電波塔が自殺を誘発する電波を発している」という奇妙な噂が伝わり、新潟県内でも有数の心霊スポットとして知られるようになった。
この記事では、自殺電波塔に伝わる都市伝説の内容と、その背景にある別の廃墟との奇妙なつながりについて紹介する。
自殺電波塔(弥彦無線中継所)の概要

自殺電波塔と呼ばれる廃墟の正式名称は弥彦無線中継所である。新潟県西蒲原郡弥彦村の猿ヶ馬場峠に位置し、県道561号線「弥彦山スカイライン」沿いの山中にひっそりと建っている。
この施設は1953年頃に電話通信のための無線中継所として建設された。しかし、わずか約12年後の1965年頃には閉鎖されたとされる。短い現役期間を終えた後は長年放置され、現在ではコンクリートの建物が植物に侵食されながら朽ち果てている状態だ。
通称は「自殺電波塔」のほか、「ブラックハウス」「Y山電波塔」などとも呼ばれている。特に「ブラックハウス」という呼び名は、同じ新潟県内にある別の心霊スポット「ホワイトハウス」と対になる形で広まったものだ。
自殺電波塔に伝わる都市伝説
自殺電波塔には、いくつかの不気味な噂が語り継がれている。
自殺を誘発する電波
最も有名な噂は、電波塔が「自殺をしたくなる電波」を発しているというものだ。この電波に引き寄せられた人々が廃墟にたどり着き、自ら命を絶ってしまうのだという。科学的根拠はまったくないが、「自殺電波塔」という不気味な通称の由来となった伝承である。
首吊りフックの噂
廃墟内部の天井には大きなフックがあり、このフックを使って首吊り自殺が行われたという噂も存在する。過去にこの施設の職員が自殺したという話や、複数の自殺者がいたという説など、様々なバリエーションが語られている。
ホワイトハウス伝説とのつながり
自殺電波塔に関する噂の中で、最も複雑で陰惨なものが「ホワイトハウス伝説」との関連だ。
ホワイトハウスとは、新潟市西蒲区角田浜にある白い洋館の廃墟のことを指す。この場所では「精神を病んだ少女が二階の鉄格子のある部屋に幽閉されていた」という噂が広まっている。
都市伝説によれば、幽閉されていた少女はある日脱走し、家族を惨殺。さらに近くのキャンプ場(通称「ジェイソン村」)でも住民を殺害した後、最終的に自殺電波塔(ブラックハウス)にたどり着いたという。天井のフックを見つけた少女は、自らの行いを悔いてそこで首を吊ったとされている。
つまり、「ホワイトハウス → ジェイソン村 → ブラックハウス(自殺電波塔)」という3つの心霊スポットを結ぶ、連続殺人と自殺の物語が存在するのだ。
都市伝説の信憑性について
これらの噂はどこまで事実なのだろうか。
廃墟調査を行った複数の探索者によれば、弥彦無線中継所やホワイトハウスで実際に事件や事故があったという史実は確認されていないという。当時の新聞記事や公的な記録にも、噂されているような惨殺事件に関する情報は見つかっていないようだ。
さらに興味深いのは、「ホワイトハウス伝説」と自殺電波塔を結びつける噂は、インターネットが普及した後に広まったという指摘があることだ。インターネット普及前は単に「自殺電波塔」とだけ呼ばれており、ホワイトハウスやジェイソン村との関連は後から付け加えられた可能性が高いとされている。
実際に現地を訪れた調査者の中には「都市伝説が一人歩きしただけ」「負の雰囲気は感じない」といった感想を述べる人もいる。
まとめ
自殺電波塔(弥彦無線中継所)は、新潟県弥彦村に実在する通信施設の廃墟である。「自殺を誘発する電波を発している」「惨殺事件を起こした少女が最後に自殺した場所」といった噂が広まり、新潟県内でも有数の心霊スポットとして知られるようになった。
しかし、これらの噂を裏付ける事件や事故の記録は確認されておらず、特にホワイトハウスとの関連はインターネット普及後に付け加えられた後付けの伝承である可能性が指摘されている。
廃墟そのものは1953年頃に建てられた歴史ある建造物であり、半世紀以上にわたって放置された結果、独特の「廃美」を持つ場所となっている。都市伝説としての怖さと、廃墟としての美しさ。自殺電波塔は、その両面から人々の関心を集め続けているスポットなのだ。
なお、当該施設は私有地または管理地である可能性があり、無断侵入は法律で禁止されている。興味本位での訪問は控え、伝承として楽しむにとどめることをおすすめする。


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