インド東部・オリッサ州(現在のオディシャ州)で絶大な信仰を集める神「ジャガンナート」。
その特徴的な姿と壮大な祭りは、インド文化の重要な一部となっています。
この記事では、ジャガンナートについて詳しく解説します。
名前の意味
「ジャガンナート(Jagannātha)」は、サンスクリット語で「ジャガト(世界)」+「ナート(主)」の合成語です。
つまり、「全宇宙(世界)の主」という意味になります。
クリシュナ

ジャガンナートは、ヴィシュヌの化身クリシュナと深い関連があり、同一視されています。
また、「クリシュナ+兄のバララーマ+妹のスバドラー」の三神一体の形で信仰されます。
三柱の構成:
- ジャガンナート:クリシュナ(黒い神像)
- バララーマ:兄(白い神像)
- スバドラー:妹(黄色い神像)
彼らはオリッサ州・プリーにある「ジャガンナート寺院」で祀られており、この三神は”家族”としても、”宇宙の中心”としてもとらえられています。
この寺院は12世紀に東ガンガ朝の王アナンタヴァルマン・チョーダガンガ・デーヴァによって建設されました。ヒンドゥー教の四大聖地の一つとされ、毎年何百万人もの巡礼者が訪れます。
✅ ポイント: 系譜上は「クリシュナの家族」でもあり、「神の三位一体」でもあるのがジャガンナートの特徴です。
姿・見た目

ジャガンナートの神像は、インド神話のなかでも異色のビジュアルで有名です。
- 丸くて大きな目
- 手足がなく、胴体だけの木像
- 黒くて丸い顔
- 兄バララーマ(白)、妹スバドラー(黄)と並べて置かれる
ラタ・ヤートラー(山車の旅)
インド・オリッサ州プリーで毎年行われる大規模な巡礼祭。
巨大な木製の山車(ラタ)に乗せられたジャガンナートたちは、神殿から町中を旅するのです。
この祭りはアーシャーダ月(ヒンドゥー暦)に行われ、何千人もの信者が集まります。
ジャガンナートの山車「ナンディゴーシャ」は高さ約14メートルにも達します。
山車は神殿からマウシ・マー寺院という場所まで運ばれ、神々はそこで特別な儀式を受けます。
この「神の旅」に参加することは、信者にとって大きな精神的な功徳とされています。
この旅する山車を見た人には幸福が訪れるとされている。
余談
ジャガンナートは、英語では「ジャガーノート」と呼ばれる。
さらに、祭りの山車に轢かれると極楽浄土に行けるという俗説があり、信者が救済を求めて轢かれに行ったという話がある。
その話からジャガーノートは、「誰にも止めることのできない巨大な力」「圧倒的破壊力」「大きすぎる犠牲」「盲目的な献身を強いるもの」を意味するようになった。
まとめ
- 名前の意味は「宇宙の主・世界の主」
- ヴィシュヌ神の化身クリシュナと同一視
- 特徴的な姿をしており、バララーマとスバドラーと一緒に祀られる
- 年に一度のラタ・ヤートラーという祭りが開かれる
- 英語ではジャガーノートと呼ばれる
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