【まさかの板が妖怪に!】板の鬼(いたのおに)とは?空飛ぶ殺人板の恐怖をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

平安時代の夜、屋敷の屋根から一枚の板が突き出ていたら、あなたはどう思いますか?

「誰かが置き忘れたのかな」と思うかもしれません。でも、その板が突然伸びて、空を飛んで、人を押しつぶして殺すとしたら…。

これが平安時代に実際に起きたとされる、板の鬼の恐ろしい事件なんです。

この記事では、『今昔物語集』に記録された奇妙な妖怪「板の鬼」について詳しくご紹介します。

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板の鬼ってどんな妖怪なの?

板の鬼(いたのおに)は、平安時代のある屋敷に現れた板の形をした妖怪です。

ただの板かと思いきや、自在に伸び縮みして空を飛び、寝ている人を押しつぶして殺してしまう恐ろしい存在でした。

『今昔物語集』という平安時代の説話集に記録されている、実話として語り継がれた怪異なんです。

当時の「鬼」という言葉は妖怪全般を指していたので、角の生えた鬼ではなく「板の妖怪」という意味で使われています。

起源

板の鬼の話は、平安時代の妖怪観を反映しています。

『今昔物語集』は12世紀頃に編纂された説話集で、当時の人々が体験した不思議な出来事が収録されています。
この時代、鬼は様々な物に変化すると考えられていました。

板の鬼が生まれた背景

  • 平安時代は妖怪が身近な存在だった
  • 日常の物が妖怪化するという発想があった
  • 武士は常に太刀を持つべきという教訓話の側面も
  • 実際の事件として記録されている

板という日常的な物が妖怪になるという発想は、何でも妖怪になりうるという平安時代の人々の恐怖心を表しているんですね。

姿・見た目

板の鬼の姿は、文字通り一枚の板です。

でも、ただの板じゃありません。

板の鬼の外見的特徴

  • 最初は普通の板のように見える
  • 建物の棟から突き出ている
  • 2~3メートル(7~8尺)まで伸びる
  • ひらひらと空を飛ぶ
  • 消えた後には鬼の顔が浮かぶことも

最も不気味なのは、普通の板と見分けがつかないこと。

いつもの風景の中に紛れ込んでいて、突然動き出すという恐怖感がありました。

特徴

板の鬼には、恐ろしい特殊能力がありました。

まず変形能力。自在に伸び縮みして、狭い隙間にも入り込めます。

そして飛行能力。ひらひらと不気味に空を飛んで移動しました。

板の鬼の恐るべき能力

  • 7~8尺(約2~3メートル)まで伸びる
  • 空を自由に飛び回る
  • 格子の隙間から侵入できる
  • 人を押しつぶして殺す
  • 忽然と姿を消す

特に注目すべきは、武器を持つ者を避けるという知能があったこと。

太刀を構えた侍を避けて、無防備な寝ている侍を狙ったんです。

伝承

板の鬼の恐怖の一夜は、こうして始まりました。

不審な板の発見

ある夏の夜、宿直の当番だった2人の若い侍が話をしていました。

ふと東の建物の棟を見上げると、一枚の板が突き出ています。
「誰がこんなものを…」と不審に思って見ていると、その板が突然7~8尺も伸び始めたんです。

恐怖の襲撃

板はひらひらと2人の方へ飛んできました。

「化け物だ!」と2人は太刀を抜いて構えます。
すると板は2人を避けて、隣の部屋の格子の隙間にこそこそと入り込みました。その部屋では5人の侍が寝ていたんです。

悲劇の結末

苦しそうなうめき声が聞こえてきたので、2人が駆けつけると…。

寝ていた侍たちは全員、何かに押しつぶされたように圧死していました。

あの怪しい板はどこにも見当たらず、外へ逃げた様子もありません。忽然と消えてしまったんです。

この事件以来、「男たる者はいかなる時も太刀を手放してはならない」と、みんなで戒め合ったといいます。

まとめ

板の鬼は、日常の物が妖怪化する平安時代の恐怖を象徴する存在です。

板の鬼の重要ポイント

  • 『今昔物語集』に記録された実話的怪異
  • 一枚の板が伸び縮みして空を飛ぶ
  • 寝ている人を押しつぶして殺す
  • 武器を持つ者を避ける知能がある
  • 常に太刀を持つことの大切さを教える話

板の鬼の話は、身の回りの何気ない物でさえ妖怪になりうるという、平安時代の人々の世界観を教えてくれます。

現代の私たちには想像もつかない恐怖ですが、だからこそ興味深い妖怪といえるでしょう。

もし夜中に板を見かけたら、ちょっと注意してみてくださいね。

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