ヒンドゥー教において、特にヴェーダ時代に最も重要視された神の一人であるインドラについて、わかりやすく解説します。
天界の王として君臨した英雄神の魅力に迫ります。
別名

インドラは多くの別名を持っています。
- シャクラ(Śakra):帝王
- ヴリトラハン (Vṛtrahan) – ヴリトラを殺す者
- デーヴァラージャ (Devarāja) – 神々の主
- ヴァジュラパーニ (Vajrapāṇī) – ヴァジュラを持つ者
他にもいくつかの異名があり、その異名には深い意味が込められている。
位置づけと特徴
インドラはヴェーダ時代(紀元前1500〜1000年ごろ)に最も崇拝された神の一人です。
関連する神々との関係:
- 父母:はっきりしない
- 妻:シャチー(インドラーニー)- 勝利と王妃の象徴
- 子:ヴァーリン、ジャヤンタ、アルジュナなど
ヴェーダ時代以降からその位置付けも変化していく。
姿と特徴

インドラは力強く英雄的な男性神として描かれます。
特徴的な姿:
- 手に「ヴァジュラ(雷の矢・雷霆)」を持つ
- 他の手に剣、弓、法螺貝などを持つ
- 王冠をかぶっている
- 白い象(アイラーヴァタ)に乗る
象ではなく戦車に乗っているという話もある。
神格と役割

インドラは多面的な性格と神格を持っています:
インドラの神格:
- 雷・嵐・雨の神 – 天候をつかさどる
- 神々の王・支配者 – ヴェーダ時代の最高神
インドラは天候を司る神々の王だった。
有名な神話

誕生と放浪
ヴリトラは生まれてすぐに、母に捨てられた。
その後、父の神酒ソーマを飲んで怒られ、放浪の旅に出ることになる。
ヴリトラ退治の英雄譚
最も有名なインドラの神話は、大蛇ヴリトラとの戦いです。
ある時、魔物「ヴリトラ(Vṛtra)」が横たわり、あらゆるものの流れをせき止めていました。
川を堰き止め大地を干ばつにした。
神々は恐れおののきますが、インドラだけが立ち向かいかます。
- 雷の武器「ヴァジュラ」を使う
- ヴリトラに挑み、雷で攻撃し、ヴァジュラを首にねじ込んで体を真っ二つに切り裂く
- 大地に水が戻り雨が降り、命がよみがえる
女性問題(ヴェーダ以降)
ヴェーダ以降でインドラの地位が下がり、それと同時に女性問題の神話が増えた。
特に有名なのは、ガウタマ聖仙の話。
インドラは、ガウタマ聖仙の妻アハーリヤと関係を持ち、彼女を寝とる。
それに激怒したガウタマ聖仙は、インドラの体中に1000個の女性器をつけたり、彼の性器を奪ったりした。
この他にも女性関連の問題が多い。
現代における信仰
- ヒンドゥー教ではヴィシュヌやシヴァに信仰が集中するため、インドラの地位は下がった
- ただし、仏教では「帝釈天(たいしゃくてん)」として今も信仰される
インドラは「古代では神の王、現代では守護神」として、形を変えて今も生き続けています。
まとめ
インドラは、かつて天界の王として君臨し、天候をつかさどった英雄神です。
ポイントまとめ:
- ヴェーダ時代の最高神であり、天候を操る神
- 乗り物は白い象アイラーヴァタ、武器は雷「ヴァジュラ」
- 大蛇ヴリトラを討伐し、雨をもたらした。
- 現代では仏教の「帝釈天」としても知られている
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