ゲームやアニメで「シヴァ」「ガネーシャ」という名前を見かけたことはありませんか?
これらはすべて、古代インドから伝わる神話に登場する神々の名前です。
実は日本で親しまれている「弁財天」や「帝釈天」も、元をたどればインド神話の神様なんです。
「名前は聞いたことあるけど、どんな神様なの?」「たくさんいすぎてよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
インド神話には「3億3千万の神々がいる」とも言われますが、これは「数えきれないほど多くの」という意味。
日本の「八百万の神」と同じような表現ですね。
この記事では、インド神話に登場する主要な神々を、役割や神話エピソードとともにわかりやすくご紹介します。
インド神話ってどんなもの?

世界最古級の神話体系
インド神話は、紀元前1500年頃から形作られてきた、世界でも最も古い神話体系の一つです。
主に3つの時代に分けられます。
神話の発展段階
| 時代 | 主な文献 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヴェーダ時代 | リグ・ヴェーダ | 自然神崇拝が中心。インドラが最高神 |
| ブラーフマナ時代 | ウパニシャッド | 哲学的な思想が発展 |
| 叙事詩・プラーナ時代 | マハーバーラタ、ラーマーヤナ | 三神一体の信仰が確立 |
現在のヒンドゥー教で信仰されている神々の多くは、この長い歴史の中で姿を変えながら今に伝わっています。
なぜインドの神は腕が何本もあるの?
インドの神様の絵を見ると、腕が4本や8本あったり、顔がいくつもあったりしますよね。
これは「人間をはるかに超えた力を持っている」ことを視覚的に表現しているんです。
多くの腕はそれだけ多くの力や役割を持っていることを、複数の顔は全方位を見渡す知恵を意味しています。
三神一体(トリムールティ)──宇宙を司る最高神
インド神話で最も重要なのが、宇宙の根本的な働きを司る三柱の神です。
創造のブラフマー、維持のヴィシュヌ、破壊のシヴァ。
この三神は「トリムールティ(三神一体)」と呼ばれ、それぞれが宇宙の創造・維持・破壊という役割を担っています。
ブラフマー(Brahma)──宇宙を創造した神
基本情報
- 役割: 創造、宇宙の始まり
- 象徴: 4つの顔、4本の腕、ヴェーダ(聖典)、蓮の花、数珠、水差し
- 乗り物: ハンサ(白鳥または鵞鳥)
- 配偶神: サラスヴァティー(学問と芸術の女神)
- 日本での名前: 梵天(ぼんてん)
どんな神様?
宇宙と万物を創造した神で、トリムールティの第一神です。
4つの顔を持ち、それぞれが四方を向いて4つのヴェーダ(聖典)を唱えていると言われます。
なぜあまり信仰されていないの?
興味深いことに、創造神であるブラフマーは現代のインドではほとんど信仰されていません。
全インドでブラフマーを主神とする寺院は、ラージャスターン州のプシュカルにあるものなど、ごくわずかしか存在しないんです。
理由については諸説ありますが、一つの神話では、ブラフマーがシヴァに嘘をついたために「寺院で祀られない」という呪いを受けたとされています。
また、創造の仕事が終わったため、現世での役割が薄れたという解釈もあります。
ヴィシュヌ(Vishnu)──世界を維持する守護神
基本情報
- 役割: 維持、保護、秩序の守護
- 象徴: 4本の腕、法螺貝(シャンカ)、円盤(チャクラ)、棍棒(ガダ)、蓮の花
- 乗り物: ガルダ(巨大な鷲)
- 配偶神: ラクシュミー(富と幸運の女神)
- 住処: ヴァイクンタ(天上界)、乳海の上で大蛇シェーシャの上に横たわる
- 日本での名前: 毘紐天(びちゅうてん)、ただし日本ではあまり知られていない
どんな神様?
宇宙の秩序(ダルマ)を維持し、世界が危機に陥ったときに様々な姿に変身して救済する神です。
「アヴァターラ(化身)」という概念で有名で、10の主要な化身を持つとされています。
肌は青色で描かれることが多く、これは無限の空や海を象徴しています。
映画「アバター」の青い肌のキャラクターも、実はこのヴィシュヌの化身からインスピレーションを受けているんです。
有名なエピソード:乳海撹拌(にゅうかいかくはん)
神々(デーヴァ)と魔族(アスラ)が協力して乳海をかき混ぜ、不死の霊薬アムリタを取り出そうとした大神話。
ヴィシュヌは亀の姿(クールマ)に変身して山を支え、さらに美女モーヒニーに変身して神々に霊薬を渡しました。
このとき海から生まれたのが、ラクシュミー女神やアイラーヴァタ(インドラの白象)など、様々な宝物です。
シヴァ(Shiva)──破壊と再生の神
基本情報
- 役割: 破壊、再生、創造、瞑想、舞踏
- 象徴: 三叉槍(トリシューラ)、太鼓(ダマル)、第三の目、蛇、三日月、ガンジス河
- 乗り物: ナンディ(白い牡牛)
- 配偶神: パールヴァティー(山の女神)
- 住処: カイラス山
- 日本での名前: 大自在天(だいじざいてん)、大黒天(だいこくてん) の原型
どんな神様?
「破壊の神」と聞くと怖いイメージがありますが、シヴァの破壊は「終わらせることで新しい始まりを生む」という意味を持っています。
古いものが壊れるからこそ、新しいものが生まれる。輪廻転生を信じるインドの人々にとって、シヴァは再生と希望の象徴でもあるんです。
特徴的な外見
シヴァには独特の姿があります。
- 第三の目: 額にある目。怒りで開くと、すべてを焼き尽くす炎を放つ
- 青い喉: 乳海撹拌で出てきた猛毒を飲み込んで世界を救ったため、喉が青くなった
- 髪から流れるガンジス川: 天界の女神ガンガーを地上に降ろす際、その衝撃を和らげるために髪で受け止めた
- 首に巻いた蛇: 毒蛇をも恐れない力の象徴
有名なエピソード:ナタラージャ(踊るシヴァ)
シヴァが宇宙の創造と破壊を表現する「タンダヴァ」という踊りを踊る姿は、「ナタラージャ(舞踏の王)」として有名です。
円環の中で片足を上げて踊る姿の像は、インド美術を代表するモチーフになっています。
ヴィシュヌの10の化身(ダシャーヴァターラ)
ヴィシュヌ神は、世界が危機に陥るたびに様々な姿で地上に降り立ちます。
この化身のことを「アヴァターラ」と呼び、主要な10の化身は「ダシャーヴァターラ(10の化身)」として知られています。
「アバター」という現代の言葉も、実はこのアヴァターラが語源なんです。
10の化身一覧
| 順番 | 名前 | 姿 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 1 | マツヤ | 魚 | 大洪水から人類の祖マヌと聖典を救う |
| 2 | クールマ | 亀 | 乳海撹拌で山を背中で支える |
| 3 | ヴァラーハ | 猪 | 海底に沈んだ大地を救い出す |
| 4 | ナラシンハ | 人獅子 | 魔王ヒラニヤカシプを倒す |
| 5 | ヴァーマナ | 矮人 | 三歩で三界を取り戻す |
| 6 | パラシュラーマ | 斧を持つ戦士 | 傲慢な武士階級を21回倒す |
| 7 | ラーマ | 理想の王子 | 魔王ラーヴァナを討伐 |
| 8 | クリシュナ | 牧童・軍師 | マハーバーラタで正義を導く |
| 9 | 仏陀 | 覚者 | 慈悲と非暴力を説く |
| 10 | カルキ | 白馬に乗る戦士 | 現在の暗黒時代を終わらせる(未来) |
ラーマ──理想の王、理想の夫
基本情報
- 象徴: 弓矢
- 配偶神: シーター
- 出典: 叙事詩『ラーマーヤナ』
どんな化身?
アヨーディヤーの王子として生まれたラーマは、「ダルマ(正義・義務)」を完璧に体現した存在として崇められています。
継母の陰謀で14年間の追放生活を送ることになりますが、文句一つ言わず父の命令に従いました。
有名なエピソード:ラーヴァナとの戦い
追放中、魔王ラーヴァナに妻シーターを誘拐されたラーマ。
猿の王スグリーヴァや、忠実な猿神ハヌマーンの助けを借りて、ランカー島に攻め込みラーヴァナを討ち取りました。
この勝利を祝う日が、インドの光の祭典「ディワリ」の起源の一つとされています。
クリシュナ──愛と知恵の化身
基本情報
- 象徴: 横笛(バーンスリー)、孔雀の羽
- 配偶神: ラーダー(牧女)、ルクミニー
- 出典: 叙事詩『マハーバーラタ』、『バガヴァッド・ギーター』
どんな化身?
ヴィシュヌの化身の中で最も人気があり、深く信仰されている神様です。
幼少期のいたずら好きな愛らしい姿から、戦場で深遠な哲学を説く賢者まで、様々な側面を持っています。
青い肌で横笛を吹き、牧女たちと踊る姿で描かれることが多いです。
有名なエピソード:バガヴァッド・ギーター
マハーバーラタの戦争で、戦士アルジュナが親族と戦うことを躊躇したとき、御者として従っていたクリシュナが説いた教えが『バガヴァッド・ギーター』です。
「行為の結果にとらわれず、義務を果たせ」という教えは、ヒンドゥー教の核心的な哲学として今も多くの人に読まれています。
主要な女神たち(デーヴィー)

インド神話では、女神たちも非常に重要な存在です。
それぞれの主神には配偶神がおり、その力(シャクティ)を体現しています。
トリデーヴィー(三大女神)
三神一体(トリムールティ)の配偶神たちは「トリデーヴィー」と呼ばれます。
| 女神 | 配偶神 | 役割 | 日本での名前 |
|---|---|---|---|
| サラスヴァティー | ブラフマー | 学問・芸術・音楽 | 弁財天 |
| ラクシュミー | ヴィシュヌ | 富・幸運・繁栄 | 吉祥天 |
| パールヴァティー | シヴァ | 愛・力・献身 | ── |
サラスヴァティー(Sarasvati)──学問と芸術の女神
基本情報
- 役割: 学問、知識、音楽、芸術、言語
- 象徴: ヴィーナ(弦楽器)、数珠、聖典、蓮の花
- 乗り物: 白鳥または孔雀
- 日本での名前: 弁才天(弁財天)
どんな女神?
白い衣をまとい、4本の腕でヴィーナという弦楽器を奏でる優雅な姿で描かれます。
もともとはサラスヴァティー川という聖なる川の化身でした。
「流れる水」のイメージから、流れるように美しい音楽や言葉、知識を司る女神になったんです。
日本との繋がり
日本では七福神の一柱「弁財天」として親しまれています。
琵琶を抱えた姿で描かれることが多いのは、ヴィーナを持つサラスヴァティーの影響です。
江ノ島や竹生島など、水辺に祀られることが多いのも、川の女神としての起源を反映しています。
ラクシュミー(Lakshmi)──富と幸運の女神
基本情報
- 役割: 富、繁栄、幸運、美、豊穣
- 象徴: 蓮の花、金貨、壺
- 乗り物: フクロウまたは蓮の花
- 日本での名前: 吉祥天(きちじょうてん)
どんな女神?
乳海撹拌の際に蓮の花に乗って現れた、美と富の女神です。
4本の腕を持ち、手から金貨が流れ落ちる姿で描かれることが多いです。
「ディワリ」の祭りでは、家々を灯りで飾ってラクシュミーを迎え入れます。
暗い家には入ってこないと言われているため、インドの人々は家中を明るく照らすんです。
パールヴァティー(Parvati)──シヴァの妻
基本情報
- 役割: 愛、献身、豊穣、力
- 象徴: 蓮の花、鏡
- 乗り物: 虎またはライオン
- 家族: シヴァ(夫)、ガネーシャ・スカンダ(息子)
どんな女神?
ヒマラヤ山脈の娘として生まれ、厳しい苦行によってシヴァの心を射止めた女神です。
優しく穏やかな姿で描かれることが多いですが、怒ると恐ろしい姿に変身することもあります。
変身形態
パールヴァティーは様々な姿に変身します。
- ドゥルガー: 10本または18本の腕を持つ戦いの女神。水牛の魔神マヒシャを退治した
- カーリー: 黒い肌と生首の首飾りを持つ恐ろしい姿。シヴァの上に立つ姿で描かれる
これらはすべて同一の女神の異なる側面とされています。
優しさと激しさ、慈悲と怒り、すべてを持つのがパールヴァティーなんです。
人気の神々
三大神と女神以外にも、インドで広く信仰されている神々がいます。
ガネーシャ(Ganesha)──障害を取り除く象の神
基本情報
- 役割: 学問、商売繁盛、障害除去、新しい始まり
- 象徴: 象の頭、大きなお腹、壊れた牙、お菓子(モーダカ)
- 乗り物: ネズミ
- 両親: シヴァとパールヴァティー
- 日本での名前: 聖天(しょうてん)、歓喜天
どんな神様?
象の頭と人間の体を持つ、インドで最も人気のある神様の一人です。
新しいことを始めるとき、まずガネーシャに祈りを捧げるのがインドの習慣。
試験、結婚、新しいビジネス、旅行など、あらゆる「始まり」の前に祀られます。
なぜ象の頭なの?
あるとき、パールヴァティーが自分の垢から少年を作り、入浴中の見張りを命じました。
そこへ帰ってきたシヴァが、知らない少年に入室を拒まれて激怒し、その首を切り落としてしまいます。
嘆き悲しむパールヴァティーをなだめるため、シヴァは最初に見つけた生き物──象の頭を少年につけて蘇らせました。
これがガネーシャの誕生譚です。
日本での信仰
日本では「聖天」として祀られ、強力な現世利益の神として信仰されています。
浅草の待乳山聖天や、生駒山の宝山寺が有名です。
ハヌマーン(Hanuman)──忠義の猿神
基本情報
- 役割: 力、勇気、忠誠、学問
- 象徴: 棍棒、山を運ぶ姿
- 出典: 叙事詩『ラーマーヤナ』
どんな神様?
風神ヴァーユの息子として生まれた猿の神で、ラーマに絶対的な忠誠を誓う英雄です。
空を飛び、体を巨大にしたり縮小したりする能力を持っています。
有名なエピソード:山を運ぶハヌマーン
ラーマの弟ラクシュマナが毒矢で倒れたとき、ハヌマーンは解毒草を探しにヒマラヤへ飛びました。
しかし、どの草かわからなかったハヌマーンは、山全体を持ち上げて運んできたんです。
『西遊記』との関係
中国の『西遊記』に登場する孫悟空は、ハヌマーンの影響を受けていると言われています。
猿の姿、空を飛ぶ能力、棒を武器とすることなど、多くの共通点があります。
インドラ(Indra)──雷霆の王
基本情報
- 役割: 雷、雨、戦争、神々の王
- 象徴: 金剛杵(ヴァジュラ)、白象アイラーヴァタ
- 乗り物: 白象アイラーヴァタ
- 日本での名前: 帝釈天(たいしゃくてん)
どんな神様?
ヴェーダ時代には最高神として崇められ、『リグ・ヴェーダ』の讃歌の約4分の1がインドラに捧げられています。
雷を武器に、悪竜ヴリトラを倒して水を解放した英雄譚が有名です。
ただし、後のヒンドゥー教の時代になると、三大神(ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ)が台頭し、インドラの地位は相対的に低下しました。
日本との繋がり
日本では「帝釈天」として、梵天と並ぶ仏教の二大護法善神となっています。
東京・柴又の帝釈天(題経寺)は、映画『男はつらいよ』の舞台として有名ですね。
ヤマ(Yama)──死者を裁く神
基本情報
- 役割: 死、冥界、正義、裁き
- 象徴: 縄、棍棒
- 乗り物: 水牛
- 日本での名前: 閻魔(えんま)
どんな神様?
最初に死んだ人間とされ、冥界の王として死者の魂を裁く神です。
正義の神でもあり、人々の善悪を記録して死後に裁きを下します。
日本の「閻魔大王」は、このヤマ神が仏教を通じて伝わったものです。
地獄で舌を抜くという恐ろしいイメージも、ヤマの裁きのイメージが元になっています。
ヴェーダ時代の神々
現代ではあまり信仰されていませんが、古代ヴェーダの時代には重要だった神々もいます。
| 神名 | 役割 | 日本での名前 |
|---|---|---|
| アグニ | 火、祭祀 | 火天 |
| ヴァーユ | 風 | 風天 |
| ヴァルナ | 天空、水、誓約 | 水天 |
| スーリヤ | 太陽 | 日天 |
| チャンドラ(ソーマ) | 月 | 月天 |
| プリティヴィー | 大地 | 地天 |
これらの神々は、密教の「十二天」として日本にも伝わり、東西南北などの方角を守護する神として祀られています。
インド神話の神々と日本仏教
インド神話の神々の多くは、仏教を通じて日本に伝わりました。
主な対応関係
| インドの神 | 日本での名前 | 特徴 |
|---|---|---|
| インドラ | 帝釈天 | 仏法の守護神、柴又帝釈天で有名 |
| ブラフマー | 梵天 | 帝釈天と対で祀られる |
| サラスヴァティー | 弁財天 | 七福神の一柱、芸能の神 |
| ラクシュミー | 吉祥天 | 美と福徳の女神 |
| マハーカーラ(シヴァの別名) | 大黒天 | 七福神の一柱、福の神 |
| ガネーシャ | 聖天(歓喜天) | 現世利益の神 |
| ヤマ | 閻魔 | 地獄の裁判官 |
| クベーラ | 毘沙門天 | 四天王の一柱、七福神 |
なぜ形が変わったの?
インドから中国を経て日本に伝わる間に、神々の姿や性格は大きく変化しました。
例えば、シヴァ神の恐ろしい姿である「マハーカーラ(大いなる暗黒)」は、日本では打ち出の小槌を持つ福の神「大黒天」になっています。
破壊の神が福の神になった背景には、「古いものを壊して新しい福をもたらす」という再解釈があったと言われています。
また、七福神のうち、大黒天・弁財天・毘沙門天の3柱がインド起源。
恵比寿だけが日本生まれで、残りは中国の道教から来ています。
神々の系譜と関係性

インド神話の神々は複雑な家族関係で結ばれています。
シヴァの家族
シヴァ ─── パールヴァティー
│
├── ガネーシャ(象頭の神)
│
└── スカンダ/カールッティケーヤ(軍神)
ヴィシュヌの化身たち
ヴィシュヌ
│
├── マツヤ(魚)
├── クールマ(亀)
├── ヴァラーハ(猪)
├── ナラシンハ(人獅子)
├── ヴァーマナ(矮人)
├── パラシュラーマ(戦士)
├── ラーマ(王子)
├── クリシュナ(牧童)
├── 仏陀(覚者)
└── カルキ(未来の救世主)
現代文化への影響
インド神話は、現代のゲームやアニメにも大きな影響を与えています。
ゲーム・アニメでの登場
- 女神転生シリーズ(ペルソナ含む): シヴァ、ヴィシュヌ、インドラなど多数の神々が登場
- Fate/Grand Order: パールヴァティー、カーマ、アルジュナなどがサーヴァントとして参戦
- ファイナルファンタジーシリーズ: シヴァ(氷の召喚獣)、ガルーダなど
- パズル&ドラゴンズ: ガネーシャ、シヴァ、パールヴァティーなど多数
ちなみに、FFシリーズの「シヴァ」は氷の女神として描かれていますが、本来のシヴァ神は男性で火や破壊と関係が深い神様。
ゲームでのアレンジは、名前だけを借りた独自の解釈になっています。
まとめ
インド神話の神々は、単なる古い物語の登場人物ではありません。
三大神が象徴するもの
- ブラフマーの創造: すべての始まり、可能性
- ヴィシュヌの維持: 秩序、保護、救済
- シヴァの破壊: 終わりと再生、変化の力
これらの神々は、宇宙の根本的な働きを表現しています。
創造があり、維持があり、やがて破壊があり、そしてまた新たな創造が始まる。
この永遠のサイクルこそが、インド神話の世界観なんです。
興味を持った神様がいたら、ぜひその神話やエピソードをもっと調べてみてください。
日本のお寺で祀られている仏様の中にも、インド神話にルーツを持つ神々がたくさんいます。
帝釈天、弁財天、大黒天など、身近な神様がどんな神話を持っているのか知ると、お参りがもっと面白くなるかもしれません。
インド神話の神 完全一覧
最後に、主要な神々をまとめた一覧表を掲載します。
三大神(トリムールティ)と配偶神
| 神名 | 役割 | 配偶神 | 日本名 |
|---|---|---|---|
| ブラフマー | 創造 | サラスヴァティー | 梵天 |
| ヴィシュヌ | 維持 | ラクシュミー | 毘紐天 |
| シヴァ | 破壊・再生 | パールヴァティー | 大自在天 |
ヴィシュヌの10化身(ダシャーヴァターラ)
| 順番 | 化身名 | 姿 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 1 | マツヤ | 魚 | 大洪水から救う |
| 2 | クールマ | 亀 | 乳海撹拌を支える |
| 3 | ヴァラーハ | 猪 | 大地を救う |
| 4 | ナラシンハ | 人獅子 | 魔王を倒す |
| 5 | ヴァーマナ | 矮人 | 三界を取り戻す |
| 6 | パラシュラーマ | 斧の戦士 | 悪を滅ぼす |
| 7 | ラーマ | 王子 | ラーヴァナを討伐 |
| 8 | クリシュナ | 牧童 | 正義を導く |
| 9 | 仏陀 | 覚者 | 慈悲を説く |
| 10 | カルキ | 騎士 | 暗黒時代を終わらせる |
主要な女神(デーヴィー)
| 女神名 | 役割 | 関係 | 日本名 |
|---|---|---|---|
| サラスヴァティー | 学問・芸術 | ブラフマーの妻 | 弁財天 |
| ラクシュミー | 富・幸運 | ヴィシュヌの妻 | 吉祥天 |
| パールヴァティー | 愛・力 | シヴァの妻 | ── |
| ドゥルガー | 戦い | パールヴァティーの化身 | ── |
| カーリー | 時・変化 | パールヴァティーの化身 | ── |
| ガンガー | ガンジス川 | 川の女神 | ── |
人気の神々
| 神名 | 役割 | 特徴 | 日本名 |
|---|---|---|---|
| ガネーシャ | 障害除去・学問 | 象頭 | 聖天 |
| ハヌマーン | 力・忠義 | 猿神 | ── |
| クベーラ | 富・財宝 | 財宝の神 | 毘沙門天 |
| カールッティケーヤ | 戦争 | シヴァの息子 | 韋駄天 |
ヴェーダの神々
| 神名 | 役割 | 日本名 |
|---|---|---|
| インドラ | 雷・神々の王 | 帝釈天 |
| アグニ | 火 | 火天 |
| ヴァーユ | 風 | 風天 |
| ヴァルナ | 水・天空 | 水天 |
| スーリヤ | 太陽 | 日天 |
| チャンドラ | 月 | 月天 |
| ヤマ | 死 | 閻魔 |
インド神話の神 名前一覧【50柱以上】
ここでは、インド神話に登場する神々の名前を、カテゴリ別にまとめました。
三大神(トリムールティ)
- ブラフマー(Brahma)
- ヴィシュヌ(Vishnu)
- シヴァ(Shiva)
三大女神(トリデーヴィー)
- サラスヴァティー(Sarasvati)
- ラクシュミー(Lakshmi)
- パールヴァティー(Parvati)
ヴィシュヌの10化身(ダシャーヴァターラ)
- マツヤ(Matsya)
- クールマ(Kurma)
- ヴァラーハ(Varaha)
- ナラシンハ(Narasimha)
- ヴァーマナ(Vamana)
- パラシュラーマ(Parashurama)
- ラーマ(Rama)
- クリシュナ(Krishna)
- 仏陀(Buddha)
- カルキ(Kalki)
シヴァの家族・関連神
- パールヴァティー(Parvati)
- ガネーシャ(Ganesha)
- スカンダ/カールッティケーヤ(Skanda / Kartikeya)
- ナンディ(Nandi)
パールヴァティーの化身・別形態
- ドゥルガー(Durga)
- カーリー(Kali)
- チャンディー(Chandi)
- ウマー(Uma)
- ガウリー(Gauri)
- アンビカー(Ambika)
ヴェーダの主要神
- インドラ(Indra)
- アグニ(Agni)
- ヴァーユ(Vayu)
- ヴァルナ(Varuna)
- ミトラ(Mitra)
- スーリヤ(Surya)
- ソーマ/チャンドラ(Soma / Chandra)
- ウシャス(Ushas)
- ルドラ(Rudra)
- マルト(Marut)
- アシュヴィン双神(Ashvins)
- サヴィトリ(Savitri)
- プーシャン(Pushan)
- ディヤウス(Dyaus)
- プリティヴィー(Prithvi)
方位・自然の神(十二天など)
- インドラ(Indra)── 東
- アグニ(Agni)── 東南
- ヤマ(Yama)── 南
- ニリティ(Nirriti)── 西南
- ヴァルナ(Varuna)── 西
- ヴァーユ(Vayu)── 西北
- クベーラ(Kubera)── 北
- イーシャーナ(Ishana)── 東北
- ブラフマー(Brahma)── 天
- ヴィシュヌ(Vishnu)── 地
- スーリヤ(Surya)── 日
- チャンドラ(Chandra)── 月
人気の神々
- ガネーシャ(Ganesha)
- ハヌマーン(Hanuman)
- クベーラ(Kubera)
- ガルダ(Garuda)
- シェーシャ(Shesha)
- カーマデーヴァ(Kamadeva)
女神(デーヴィー)
- サラスヴァティー(Sarasvati)
- ラクシュミー(Lakshmi)
- パールヴァティー(Parvati)
- ドゥルガー(Durga)
- カーリー(Kali)
- ガンガー(Ganga)
- ヤムナー(Yamuna)
- シーター(Sita)
- ラーダー(Radha)
- サティー(Sati)
- アディティ(Aditi)
- ディティ(Diti)
- プリティヴィー(Prithvi)
- ウシャス(Ushas)
- ラトリー(Ratri)
- アンナプールナー(Annapurna)
- マナサー(Manasa)
- シャクティ(Shakti)
聖仙・半神
- ブリハスパティ(Brihaspati)
- ナーラダ(Narada)
- ヴィシュヴァカルマン(Vishvakarman)
- ダクシャ(Daksha)
- カシュヤパ(Kashyapa)
- ヴァシシュタ(Vasishtha)
- ヴィシュヴァーミトラ(Vishvamitra)
- アガスティヤ(Agastya)
死・冥界の神
- ヤマ(Yama)
- ヤミー(Yami)
- チトラグプタ(Chitragupta)
叙事詩の英雄・神格化された人物
- ラーマ(Rama)
- クリシュナ(Krishna)
- バララーマ(Balarama)
- アルジュナ(Arjuna)
- ビーシュマ(Bhishma)
- ドローナ(Drona)
- カルナ(Karna)
- ユディシュティラ(Yudhishthira)
- ビーマ(Bhima)
アスラ(魔神・阿修羅)
- ラーヴァナ(Ravana)
- ヒラニヤカシプ(Hiranyakashipu)
- ヒラニヤークシャ(Hiranyaksha)
- マヒシャ(Mahisha)
- バリ(Bali)
- ヴリトラ(Vritra)
- シュンバ(Shumbha)
- ニシュンバ(Nishumbha)
日本に伝わった神々(対応表)
| インド名 | 日本名 |
|---|---|
| インドラ | 帝釈天 |
| ブラフマー | 梵天 |
| サラスヴァティー | 弁財天 |
| ラクシュミー | 吉祥天 |
| マハーカーラ(シヴァ) | 大黒天 |
| ガネーシャ | 聖天・歓喜天 |
| ヤマ | 閻魔 |
| クベーラ | 毘沙門天 |
| カールッティケーヤ | 韋駄天 |
| アグニ | 火天 |
| ヴァーユ | 風天 |
| ヴァルナ | 水天 |
| スーリヤ | 日天 |
| チャンドラ | 月天 |
| プリティヴィー | 地天 |
| マーリーチ | 摩利支天 |
| シヴァ | 大自在天 |
| ナーラーヤナ | 那羅延天 |
参考文献:リグ・ヴェーダ、マハーバーラタ、ラーマーヤナ、各種プラーナ文献


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