【時を超える角度の追跡者】ティンダロスの猟犬とは?クトゥルフ神話の恐怖の存在を徹底解説!

神話・歴史・伝承

時間を旅する者たちが最も恐れる存在をご存知でしょうか?

それは、120度以下の鋭角から現れ、時空を超えて獲物を永遠に追い続ける不浄の化物です。

クトゥルフ神話の中でも特に異質で恐ろしい存在として知られる「ティンダロスの猟犬」。一度目をつけられたら最後、どこまでも追跡されるという絶望的な設定で、多くの読者を震え上がらせてきました。

この記事では、時間と角度を支配する追跡者「ティンダロスの猟犬」について、その謎めいた姿や恐るべき能力、興味深い伝承をわかりやすく解説します。

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概要

ティンダロスの猟犬は、1929年にフランク・ベルナップ・ロングが創造したクトゥルフ神話の怪物です。

時間が生まれる以前の超太古から存在し、「ティンダロス」と呼ばれる異次元の都市に住んでいます。常に飢えており、一度獲物の「におい」を嗅ぎつけると、時間や空間を超えて永遠に追い続けるという恐ろしい性質を持っているんです。

最大の特徴は、120度以下の鋭角から現れるという奇妙な性質。部屋の隅、壁の亀裂、物の破片など、私たちの身の回りにある「角度」が、彼らの侵入口になってしまうわけです。

系譜

ティンダロスの猟犬の起源には、いくつかの説があります。

創造の経緯

作者のフランク・ベルナップ・ロングは、これらの存在を「不浄の体現」として描きました。清浄は曲線から、不浄は角度から現れるという独特の世界観を作り上げたんですね。

親となる存在(諸説あり)

  • シュブ=ニグラスとマイノグーラ説:黒い森の女神シュブ=ニグラスが男性の相で現れ、影の女悪魔マイノグーラと交わって猟犬の祖先を産んだ
  • ノス=イディクとクトゥン説:リン・カーターが提唱した説で、この二柱が猟犬の父母とされる

興味深いことに、ラヴクラフト自身もこの設定を気に入り、自作品でアザトースとの関連を示唆しています。

姿・見た目

ティンダロスの猟犬の姿は、正確には誰も知らないというのが真実なんです。

目撃証言から推測される特徴

生き残った数少ない目撃者の証言によると:

  • 痩せこけた体に宇宙のすべての邪悪が凝縮されている
  • 太く曲がった注射針のような舌を持つ
  • 全身から青みがかった粘液をしたたらせる
  • 生命活動に必要な酵素を含まない謎の体液を分泌

「猟犬」という名前から犬のような姿を想像しがちですが、実際はまったく犬には似ていないそうです。四足歩行という点だけが共通しているくらいでしょうか。

作者のロング自身も、55年後の作品で「おぼろげながら狼めいた姿だが、前進するにつれて姿が変化した」と書いており、固定された形を持たない存在である可能性が高いんです。

特徴

ティンダロスの猟犬の能力は、まさに悪夢のような恐ろしさです。

主な能力

時空間移動能力

  • 過去・現在・未来を自在に行き来
  • 次元の壁を超えて追跡
  • 獲物を捕らえるまで永遠に追い続ける

角度からの顕現

  • 120度以下の鋭角があればどこでも出現可能
  • 出現時は青黒い煙が噴出し、悪臭が発生
  • 頭から徐々に実体化していく

特殊な生理

  • 不死の存在(殺すことはほぼ不可能)
  • 清浄を起源とする「曲線の生物」を激しく憎悪
  • 人間が持つ「何か」を渇望している

弱点(というより回避方法)

唯一の防御方法は、身の回りから一切の鋭角をなくすこと。古代ギリシア人の知恵によれば、曲線だけで構成された空間なら侵入できないとされています。

しかし、現実的にそんな空間を作ることは不可能に近く、たとえ石膏で部屋の角を埋めても、地震で亀裂が入れば終わりです。

伝承

初出作品「ティンダロスの猟犬」のあらすじ

オカルト作家のハルピン・チャーマズが、幻覚剤「遼丹(リャオタン)」を使って時間旅行を試みます。意識が時間を遡り、生命創造以前の世界まで到達した彼は、そこで猟犬たちに遭遇してしまうんです。

現実世界に戻った後も追跡される恐怖におびえ、部屋の角を石膏で埋めて丸い空間を作りますが、地震で石膏が剥がれ落ち、最後は謎の死を遂げてしまいます。

他の作品での活躍

協力者の存在

  • サエロスドールという存在が協力して地震を起こし、角度を作り出す
  • 単独ではなく、組織的に獲物を追い詰める知能がある

ティンダロスの混血種
猟犬の青い粘液に汚染された人間は、「ティンダロスの混血種」という怪物に変異。全身が角張った形になり、人間としての自我を失って殺戮マシーンと化してしまいます。

個体名の存在
「ルルハリル」という名前の個体が確認されており、黒魔術師に使役されたこともあるそうです。つまり、知性を持った個々の存在なんですね。

出典

ティンダロスの猟犬が登場する主な作品:

  • 「ティンダロスの猟犬」(1929年)- フランク・ベルナップ・ロング作、初出作品
  • 「闇に囁くもの」(1931年)- H.P.ラヴクラフト作、猟犬への言及あり
  • 「永遠への戸口」(1984年)- ロング作、55年後の続編
  • 各種TRPG作品 – 「ミゼーア」などの強力な個体が設定される

まとめ

ティンダロスの猟犬は、時間と角度という独特な概念を武器にする、クトゥルフ神話屈指の追跡者です。

重要なポイント

  • 時間が生まれる前から存在する不浄の化身
  • 120度以下の鋭角から現れる特殊な性質
  • 時空を超えて永遠に獲物を追い続ける執念深さ
  • 正確な姿は不明で、青い粘液と悪臭が特徴
  • 曲線だけの空間が唯一の防御方法(ただし実現はほぼ不可能)

もし時間旅行を考えているなら、ティンダロスの猟犬の存在を思い出してください。部屋の隅から青黒い煙が立ち上ったら、それは彼らがあなたを見つけた証拠かもしれません。

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