クトゥルフ神話TRPGをプレイしていて「星の精」という神話生物に出会ったことはありませんか?
「クスクス」という不気味な笑い声とともに現れる、透明な吸血生物。
その姿は普段は見えませんが、血を吸うことで真っ赤に浮かび上がるという、なんとも恐ろしい特徴を持っています。
「名前は聞いたことあるけど、どんな怪物なの?」「TRPGで遭遇したらどうすればいいの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、星の精の外見や能力、登場する原作小説、召喚呪文、そしてTRPGでの対処法まで、詳しくご紹介します。
星の精(Star Vampire)とは?

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Star Vampire / Shambler from the Stars |
| 日本語名 | 星の精、星の吸血鬼 |
| 分類 | 独立種族(神話生物) |
| 初出 | 『星から訪れたもの』(1935年) |
| 創造者 | ロバート・ブロック |
星の精は、ロバート・ブロックが1935年に発表した短編小説『星から訪れたもの(The Shambler from the Stars)』で初登場した神話生物です。
その名の通り、星間宇宙に住む地球外生命体なんです。
地球上で遭遇する場合は、魔術師やカルト教団によって召喚されたケースがほとんど。
自然に地球に現れることは、まずありません。
星の精の外見と特徴
不可視の吸血生物
星の精の最大の特徴は、普段は完全に透明で見えないということ。
ただし、血を吸うと話は別です。
犠牲者の血液を吸収することで、その体が真っ赤に染まり、輪郭がはっきりと見えるようになります。
原作小説では、その姿をこう描写しています。
可視化された姿の特徴
- ゼリー状の脈打つ巨大な体
- 無数の触手のような吸入口
- 触手の先端には吸盤がついている
- 大きな鳥のような鉤爪
- 頭部や目などの感覚器官は見当たらない
- 大きな口だけが確認できる
イソギンチャクやクラゲを思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。
ただし、そのサイズは約3〜5メートルにもなる巨大な球体です。
不気味な笑い声
星の精が近づいてきたことを示す唯一の手がかり、それが「クスクス」または「ゲタゲタッ!」という笑い声です。
この音は星の精が常に発しているもので、透明で姿が見えなくても、この不気味な哄笑で存在を察知できます。
召喚された直後から、血を吸い終わって去っていくときまで、ずっとこの笑い声が響き続けるんです。
考えてみてください。
姿は見えないのに、どこからともなく笑い声だけが聞こえてくる状況を……。
これだけで正気を失いそうですよね。
星の精の能力
攻撃方法
星の精は非常に攻撃的な神話生物です。
主な攻撃手段
- 鉤爪による攻撃
- 大きな鳥のような鉤爪で獲物を捕らえる
- 人間を握りつぶすほどの力がある
- 触手による拘束
- 無数の触手で獲物を絡め取る
- 一度捕らわれると脱出は困難
- 吸血
- 触手の先端にある吸盤で血を吸い取る
- 獲物が完全に干からびるまで吸い続ける
捕まった犠牲者は悲鳴を上げながら宙に浮かび上がり、体がねじくれて骨が砕かれます。
噴き出した血は地面に落ちることなく、すべて星の精に啜られてしまうのです。
弱点はあるの?
残念ながら、星の精には明確な弱点がありません。
物理攻撃は効きますが、透明な状態で攻撃を命中させるのは至難の業。
魔術による退散が最も有効な対処法とされています。
また、血を吸い終わると体内で急速に消化され、数分で再び透明に戻ります。
見えている時間は限られているんです。
星の精が登場する原作小説
『星から訪れたもの』(1935年)
星の精が初めて登場したのは、ロバート・ブロックの短編小説『星から訪れたもの(The Shambler from the Stars)』です。
あらすじ
若い怪奇作家である主人公は、真にリアリティのあるホラー小説を書くため、禁断の知識を求めていました。
年長の友人である「プロヴィデンスの夢想家」(H.P.ラヴクラフトをモデルにした人物)から忠告を受けながらも、主人公は魔道書『妖蛆の秘密』の初版本を古書店で発見します。
ラテン語で書かれていたため、主人公は友人に翻訳を依頼。
夢想家は翻訳に没頭するうちに、「星から召喚した不可視の下僕」についての記述を見つけ、思わず呪文を読み上げてしまいます。
すると部屋は恐ろしく冷え込み、不気味な笑い声とともに透明な怪物が現れました。
夢想家は空中に持ち上げられ、血を吸い尽くされて死亡。
主人公は真っ赤に染まった怪物の姿を目撃し、発狂してしまうのです。
ラヴクラフトとブロックの友情
この小説には、興味深いエピソードがあります。
当時19歳だったロバート・ブロックは、尊敬するH.P.ラヴクラフトに「作中であなたをモデルにした人物を殺してもいいですか?」と手紙で尋ねました。
ラヴクラフトは快諾し、さらに翌年には「お返し」として『闘をさまようもの』を執筆。
この作品では、ブロックをモデルにした「ロバート・ブレイク」という人物が、ナイアーラトテップの生贄になっています。
作中でお互いを殺し合うという、なんとも微笑ましい(?)友情ですね。
関連作品
| 作品名 | 発表年 | 作者 |
|---|---|---|
| 星から訪れたもの | 1935年 | ロバート・ブロック |
| 闇をさまようもの | 1936年 | H.P.ラヴクラフト |
| 尖塔の影 | 1950年 | ロバート・ブロック |
これら3作品は連作となっており、ブロックとラヴクラフトの交流から生まれた特別なシリーズです。
星の精を召喚する呪文と『妖蛆の秘密』
魔道書『妖蛆の秘密』
星の精を召喚する方法は、禁断の魔道書『妖蛆の秘密(De Vermis Mysteriis)』に記されています。
『妖蛆の秘密』基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | De Vermis Mysteriis(デ・ウェルミス・ミステリイス) |
| 英題 | Mysteries of the Worm |
| 著者 | ルートヴィヒ・プリン |
| 出版年 | 1542年(ケルン) |
| 言語 | ラテン語 |
著者のルートヴィヒ・プリンは、16世紀のブリュッセルで活動した錬金術師でした。
彼は「目には見えざる朋輩」「星の送りし下僕」と呼ばれる使い魔を従えていたと伝わっています。
異端審問で捕らえられたプリンは、獄中でこの魔道書を執筆。
処刑後、その原稿は何者かによって持ち出され、出版されました。
教会によってすぐに発禁処分となりましたが、現在でも約15冊が世界各地に残っているとされています。
召喚の呪文
星の精を召喚する呪文は、以下のラテン語で構成されています。
「ティビ・マグナム・インノミナンドゥム・シグナ・ステラルム・ニグラルト・エト・ブファニフォルミス・サドクァエ・シギラム……」
英語訳
“To thee, the great Not-to-Be-Named, the signs of the black stars, and the seal of the toad-shaped Tsathoggua…”
日本語訳
「汝、名付けられざる偉大なるものへ、黒き星々の印と、蛙の姿をしたツァトゥグァの印を……」
この呪文からわかるように、星の精はツァトゥグァ(クトゥルフ神話の旧支配者の一柱)と何らかの関係があるようです。
召喚の危険性
ただし、星の精を召喚することは極めて危険です。
召喚された星の精は非常に空腹で、最初に出会った生き物(つまり召喚者自身)を襲う可能性が高いんです。
優れた魔術師でなければ、星の精を制御することはできません。
原作でも、呪文を読み上げた人物は星の精に殺されてしまいました。
安易な召喚は、自らの死を招く行為なのです。
クトゥルフ神話TRPGでの星の精

ステータス(7版)
クトゥルフ神話TRPGでは、星の精は「星の吸血鬼」という名称でも登場します。
基本ステータス(目安)
| 能力値 | 数値 |
|---|---|
| STR | 平均130(2D6×10) |
| CON | 65 |
| SIZ | 65 |
| DEX | 40 |
| INT | 65 |
| POW | 75 |
| HP | 13 |
| 装甲 | 2ポイント |
| 正気度喪失 | 1/1D10 |
STRとSIZが非常に高く、力勝負では人間にほぼ勝ち目はありません。
ただしDEXが低いため、逃走は比較的可能です。
攻撃パターン
| 攻撃方法 | 成功率 | ダメージ |
|---|---|---|
| 鉤爪 | 60% | 1D6+DB |
| 噛みつき | – | 2D10 STRダメージ |
星の精は1ラウンドに最大3回攻撃できます。
鉤爪で捕らえた後、自動的に噛みつきが発動し、毎ラウンドSTRが減少していきます。
STRが0になると、完全に血を吸い尽くされて死亡します。
特殊能力
不可視
- 通常は完全に透明
- 血を吸うと赤く染まり可視化
- 数分で消化され再び透明に
飛行能力
- 重力の影響を受けない
- 空中を自由に移動できる
呪文
- 30%の確率で1D3個の呪文を習得している
- MP(マジックポイント)は15程度
対処法
探索者が星の精と遭遇した場合、どうすればいいのでしょうか?
推奨される対処法
- 逃走を優先する
- DEXが低いため、逃げ切れる可能性がある
- 無理に戦わないのが最善
- 音で位置を特定する
- 「クスクス」という笑い声を頼りに位置を把握
- 聞き耳ロールで存在に気づける
- 魔術による退散
- 物理攻撃は命中させにくい
- 送還や退散の呪文が効果的
- 武器を用意する
- 装甲は2ポイントのみ
- 刃物や銃器でダメージは通る
- ただし透明な敵を攻撃するのは困難
シナリオでの活用
星の精は、以下のようなシナリオで効果的に使えます。
- 魔術師が使役する刺客として登場
- 禁断の書物を読んでしまった結果、召喚されてしまう展開
- 見えない敵との戦闘を強いられるホラー要素
- 探索中に突然襲われるサプライズ要因
姿が見えないという特性は、プレイヤーに強い恐怖を与えることができます。
「何かがいる」という気配だけで、探索者の正気度を削る演出が可能です。
星の精と他の神話生物との関係
ツァトゥグァとの関連
召喚呪文に「ツァトゥグァの印」という言葉が含まれることから、星の精はツァトゥグァ(旧支配者の一柱)と関係があると推測されています。
ツァトゥグァはコウモリの翼を持つヒキガエルのような姿をした神格で、土星から来て地球の地下に住んでいます。
星の精が「星間宇宙から来た」という設定とも符合しますね。
火の吸血鬼との違い
クトゥルフ神話には「火の吸血鬼(Fire Vampire)」という似た名前の神話生物も存在します。
| 項目 | 星の精 | 火の吸血鬼 |
|---|---|---|
| 創造者 | ロバート・ブロック | ドナルド・ワンドレイ |
| 外見 | 透明なゼリー状 | 炎のような発光体 |
| 特徴 | 血を吸う | 熱を吸う |
| 主な奉仕先 | ツァトゥグァ? | クトゥグァ |
名前は似ていますが、まったく異なる種族です。
混同しないように注意しましょう。
現代文化への影響
ゲーム・メディアでの登場
星の精は、クトゥルフ神話TRPGを通じて広く知られるようになりました。
登場作品例
- クトゥルフ神話TRPG:神話生物として多数のシナリオに登場
- 斬魔大聖デモンベイン:ティベリウスの武装として「星の精」が登場
- Z/X -Zillions of enemy X-:「黄昏を待つ星・シャンブラー」として参戦
- サバイバルホラーゲーム『…Iru!』:霧ヶ丘高校で発見できる
名前の印象と実態
「星の精」という名前を聞くと、なんだか可愛らしい妖精のようなイメージを持つかもしれません。
実際、初めてこの名前を聞いた人の中には「幻想的な生物」を想像する方も多いようです。
しかし実態は、姿の見えない恐ろしい吸血生物。
名前と実態のギャップも、この神話生物の魅力(?)のひとつかもしれませんね。
まとめ
星の精は、クトゥルフ神話の中でも特に恐ろしい神話生物のひとつです。
星の精の特徴まとめ
- 普段は完全に透明で見えない
- 血を吸うと真っ赤に浮かび上がる
- 「クスクス」という笑い声で存在を察知できる
- 魔道書『妖蛆の秘密』の呪文で召喚される
- ロバート・ブロックとラヴクラフトの友情から生まれた
TRPGで遭遇した場合は、無理に戦わず逃走を優先するのが賢明です。
姿が見えない敵との戦闘は、探索者にとって非常に不利な状況ですからね。
もし『妖蛆の秘密』という本を見つけても、決して呪文を読み上げないように。
星の精は、召喚者を最初の犠牲者に選ぶ可能性が高いのですから……。
クトゥルフ神話の深淵に興味を持った方は、ぜひ原作小説『星から訪れたもの』も読んでみてください。
ブロックとラヴクラフトの友情が生んだ、記念すべき作品ですよ。

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