深夜の運転中、もし誰かを轢いてしまったらどうしますか?
そして、バックミラーを見たとき、その被害者が信じられない速度であなたを追いかけてきていたとしたら…?
「ひじババア」は、現代日本の怪談の中でも特に恐ろしい老婆の怪異として知られています。
轢き逃げという罪を犯した者に襲いかかる、執念深い追跡者なんです。
この記事では、肘をついて這いながら追いかけてくる恐怖の存在「ひじババア」について、その特徴と伝承を詳しくご紹介します。
ひじババアってどんな怪異なの?

ひじババアは、真夜中の交通事故から生まれる老婆の怪異です。
『怪異百物語8』に収録されているこの怪談は、轢き逃げという罪を犯した者の前に現れる復讐の化け物として語り継がれています。
普通の老婆と違うのは、その異常な追跡能力。肘を地面につけて這うようにして移動するのに、車を追いかけられるほどの猛スピードを出せるんです。
ひじババアの特徴
- 肘をついて這う独特の移動方法
- 車を追いかけられるほどの驚異的なスピード
- トイレなど、逃げた先に必ず現れる執念深さ
- にこにこと笑いながら見下ろしてくる不気味さ
他にも肘で這う老婆の怪談はありますが、ひじババアの場合は下半身を失っているという描写がないのが特徴的なんですね。
つまり、体は無事なのに、わざわざ肘で這って追いかけてくるという、より不気味な存在なんです。
伝承

轢き逃げからの恐怖
ひじババアの怪談は、ある女性の恐ろしい体験から始まります。
事件の経緯
- 深夜の運転中、車道に飛び出してきたおばあさんを轢いてしまう
- 目撃者がいないのをいいことに、助けずに逃走する
- バックミラーに映る異常な光景:轢いたはずのおばあさんが、肘を地面につきながら這うようにして車を追いかけてきている
- 信じられない速度で迫ってくる
- 必死に加速して振り切る
女性はなんとかおばあさんを振り切ることに成功しました。
追跡が止んだことを確認し、安心したせいか急にトイレに行きたくなったそうです。
逃げ切れない恐怖
ここからが本当の恐怖です。
女性は近くの公園のトイレに駆け込みました。
用を足していて、何気なく顔を上げたとき…
あのおばあさんが、にこにこと笑いながら上から見下ろしていたんです。
この結末は、日本の怪談でよく使われる「トイレで上を見上げると実は見下ろされていた」というシチュエーションの典型例なんですね。
怪談が伝えるメッセージ
この怪談には、明確な教訓が込められています:
- 罪から逃げることはできない
- どこまで逃げても、罪悪感は追いかけてくる
- 轢き逃げという犯罪行為への戒め
物理的にどれだけ距離を取っても、心理的な恐怖からは逃れられない。
ひじババアは、そんな人間の罪悪感や恐怖を具現化した存在とも言えます。
まとめ
ひじババアは、現代日本の怪談の中でも特に印象的な老婆の怪異です。
重要なポイント
- 轢き逃げした者の前に現れる復讐の化け物
- 肘をついて這いながら車を追いかける異常な能力
- 『怪異百物語8』に収録されている怪談
- 下半身を失っていない点が他の類似怪談と異なる
- トイレで見下ろされるという恐怖の結末
- 罪から逃げられないという教訓を含む
もし深夜の運転中に誰かを轢いてしまったら、絶対に逃げてはいけません。
それは法律的な問題だけでなく、もしかしたら「ひじババア」に追いかけられることになるかもしれないからです。
そして何より、公園のトイレに入ったときは…上を見上げないことをおすすめします。

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