古代エジプト神話には数多くの神々が存在しますが、その中でも特に人々から愛された女神がいます。愛と美、音楽を司る女神「ハトホル」です。今回は、この魅力あふれる女神について詳しくご紹介します。
名前の意味

「ハトホル(Hathor)」という名前は、古代エジプト語で「ホルスの家」という意味です。
ハトホルは天空神ホルスと関連深い女神なのです。
系譜
ハトホルの出自には、複数の伝承がありますが、よく知られている説は以下の通りです。
- 父:ラー(Ra) → 太陽神で、エジプト神話の中心的存在。
- 夫:ホルス(Horus)あるいはラー → 2パターンある
- 子ども:「ホルス(ラーが夫の場合)」「イヒ」など
このように、ハトホルは太陽の娘であり、天空神の妻という立場。
姿・見た目
ハトホルの見た目にはいくつかのバリエーションがありますが、代表的なものは以下の2つです。
女性の姿に牛の角と太陽円盤:

- 頭の上に牛の角と太陽の円盤
- 太陽円盤にコブラ
- ウアスやアンクなどを持っている
雌牛の姿:

- 牛そのものとして描かれる場合もあります
- 牛は豊かさや母性の象徴
ハトホルは牛と関連深い。
神格・神性
ハトホルは多彩な神性を持っており、「女神」と一言でくくるのが難しいほどです。
主な神格:
- 愛と歓喜の神
- 美の女神
- 母性の女神(母子の守護神でもある)
- 音楽と舞踏の守護神
女性に関わりのある神格を持ち、特に母と子供を守護する神として知られています。
神話
ハトホルが登場する代表的な神話は、「ホルスとセトの裁判」と「セクメトとの関係」です。
ホルスとセトの裁判

- ホルスとセトの王位継承権について裁判をする
- ラーが裁判長になり、彼は神々の反対を押し切ってセトを支持する
- さらに、ラーは裁判を放棄する
- ハトホルが自分の秘所を見せ、ラーを喜ばせる
- 大喜びのラーは裁判を再開
人類を罰する神
- ラーが人間が反逆を企てていると考え、ハトホルを遣わす
- ハトホルはセクメトになり、反逆しようとする人間を虐殺
- セクメトがあまりに暴れすぎて人間を滅ぼしかける
- ラーがセクメトを鎮めるため、酒で酔わせる
- セクメトはハトホルに姿を変え人類滅亡はまぬがれた
まとめ
ハトホルは、古代エジプトで最も人気があった女神のひとり。
その魅力は、名前や見た目だけでなく、多彩な役割にあります。
おさらい:
- 「ホルスの家」という名前が示すようにホルスと関連あり
- 太陽神ラーの娘であり、天空神ホルス(あるいは父ラー)の妻
- 見た目は牛の角と太陽円盤が特徴
- 神格は愛、美、母性、音楽、死後の導きまで多岐にわたる
- 神話ではラーを諌めたり、彼の命令で動く存在として登場
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