「お箸って、なんで”一膳”って数えるんだろう?」
コンビニで「お箸は何本お付けしますか?」と聞かれるたびに、ふと疑問に思ったことはありませんか?
「本」じゃダメなの?「組」とか「セット」じゃないの?
実はこの「膳」という数え方、ただの習慣ではありません。
日本人と箸の深い関係を物語る、ちょっと感動的な理由があるんです。
この記事では、箸を「膳」で数える理由と、場面ごとの正しい使い分けをわかりやすく解説します。
結論:「膳」で数える理由は2つある
さっそく答えをお伝えしましょう。
箸を「膳」で数えるようになった理由は、大きく分けて2つあります。
- 鎌倉時代に「一人用のお膳」が普及し、1つの膳に1組の箸が添えられていたから
- 「膳」という漢字には「身体の一部」という意味が込められているから
どちらも「へぇ〜」となる話なので、順番に見ていきましょう。
理由①:鎌倉時代の「銘々膳」がきっかけ
お膳って何?
まず「膳」とは何かを確認しておきましょう。
「膳」とは、料理を乗せる脚付きの台のこと。
時代劇で、一人ひとりの前に置かれている小さなテーブルを見たことがありませんか?
あれが「膳」です。
現代で言えば、旅館の部屋食で出てくるお盆のようなイメージですね。
鎌倉時代に「一人用の膳」が広まった
平安時代までは、大きなテーブル(台盤)を複数人で囲んで食事をするスタイルが主流でした。
ところが鎌倉時代になると、武士の間で食事作法が整備され、一人ひとりに「銘々膳(めいめいぜん)」と呼ばれる個人用のお膳が配られるようになりました。
この銘々膳には、ご飯、汁物、おかずとともに、必ず1組の箸が添えられていたのです。
「1つの膳に1つの箸」——この組み合わせが定着したことで、箸の数え方も「膳」になったと言われています。
理由②:「膳」は身体の一部を表す漢字
もう1つの理由は、漢字そのものに隠されています。
「膳」の部首は「にくづき」
「膳」という漢字をよく見てください。
左側に「月」のような部分がありますよね。
これ、実は「月(つき)」ではなく「肉」から変化した部首なんです。
正式には「にくづき」と呼ばれています。
「にくづき」は、身体の器官を表す漢字に使われる部首。
腕、脳、腸、肌、膝、胸——これらの漢字に共通する「月」も、すべて「にくづき」です。
箸は「手の延長」だった
つまり「膳」という漢字は、単なる道具を数える無機質な単位ではありません。
身体の器官や、それに近い機能を果たすものを数える単位なんです。
これは何を意味するのでしょうか?
日本人は昔から、箸を「ただの棒」ではなく、手の延長、身体の一部として扱ってきました。
「膳」で数えるという習慣には、そんな日本人と箸の深い結びつきが反映されているのです。
ちなみに、世界には箸を使う国が他にもありますが、中国や韓国では箸とスプーンを併用するのが一般的。
箸だけで食事を完結させるのは、日本独自の文化なんですね。
「膳」以外の数え方もある?場面別の使い分け
実は、箸の数え方は「膳」だけではありません。
場面によって使い分けがあるんです。
数え方一覧
| 数え方 | 使う場面 | 例 |
|---|---|---|
| 膳(ぜん) | 食事用の箸(2本1組) | 「一膳、二膳…」 |
| 本(ほん) | 単体の箸・割り箸(割る前) | 「一本、二本…」 |
| 組(くみ) | 菜箸・火箸など調理用の箸 | 「ひと組、ふた組…」 |
| 揃え(そろえ) | 道具としてセットになった箸 | 「ひと揃え」 |
| 具(ぐ) | 道具としてセットになった箸 | 「一具」 |
使い分けのポイント
食事で使う箸は「膳」で数えるのが基本です。
一方、菜箸や火箸のように料理を作るときに使う箸は「組」「揃え」「具」などで数えます。
これらは「食べるための道具」ではなく「調理のための道具」だからです。
また、割り箸は少し特殊。
割る前の状態なら「一本」でも「一膳」でもOKとされています。
コンビニで「お箸何本ですか?」と聞かれるのは、この理由からなんですね。
まとめ
箸を「膳」で数える理由をおさらいしましょう。
- 鎌倉時代に銘々膳が普及し、1つの膳に1組の箸が添えられていた
- 「膳」の部首「にくづき」は身体の器官を表し、箸が手の延長として大切にされてきたことを示している
- 食事用の箸は「膳」、調理用の箸は「組」など、場面によって使い分けがある
たかが数え方、されど数え方。
「一膳」という言葉には、日本人が箸を大切にしてきた歴史が詰まっているんですね。
今度コンビニで「お箸何本ですか?」と聞かれたら、ちょっとだけ誇らしい気持ちで「一膳お願いします」と答えてみてはいかがでしょうか。


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