【すべての妖怪を知り尽くす神獣】白澤(はくたく)とは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

もし病気や災いから身を守ってくれる、物知りな神様がいたらどうでしょう?

実は中国には、世の中のすべての妖怪や悪霊について知り尽くしている神獣がいるんです。

その名前は「白澤(はくたく)」。人間の言葉を話し、魔除けの力を持つ不思議な存在です。

この記事では、万物の知識を持つ神獣「白澤」について、その神秘的な姿や特徴、興味深い伝承を分かりやすくご紹介します。

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概要

白澤は、中国に伝わる神獣(瑞獣)の一種です。

人間の言葉を理解して話すことができ、この世のありとあらゆる妖怪や悪霊について知り尽くしているといわれています。麒麟(きりん)や鳳凰(ほうおう)と並ぶ、めでたい存在なんですね。

白澤の最大の特徴は、すべての妖怪の正体と退治方法を知っていること。
まさに妖怪博士といえる存在です。

中国では古くから、白澤の絵を家に飾ると魔除けになると信じられてきました。

この信仰は日本にも伝わり、江戸時代には旅のお守りや病除けとして人気があったんです。

姿・見た目

白澤の姿は、文献によってさまざまに描かれています。

基本的な外見

中国の『三才図会』という百科事典では、白澤は白い獅子のような姿とされています。

でも、時代や地域によって、いろんな姿で描かれているんです。

日本での姿(鳥山石燕版)

江戸時代の絵師・鳥山石燕が描いた白澤は、かなり特徴的です。

白澤の身体的特徴

  • :人間の顔
  • :牛のような2本の角
  • :山羊のような立派な髭
  • :額に1つ、胴体の左右に3つずつ、合計9つの目
  • :獣の体(牛や獅子に似ている)

9つも目があるなんて、すべてを見通す知恵の象徴という感じがしますね。

その他の描写

古い中国の文献では、緑の髪を持つ竜の頭に角が生えていて空を飛べるとか、虎の頭に赤いたてがみ、竜の体を持つなど、様々な姿が伝えられています。

特徴

白澤には、他の神獣にはない特別な能力があります。

主な能力

  • 人間の言葉を話す:完璧に人語を理解し、会話ができる
  • 万物の知識:すべての妖怪・悪霊の正体を知っている
  • 魔除けの力:その姿を描いた絵が厄除けになる
  • 予知能力:災いや病気の前兆を教えてくれる
  • 出現条件:徳の高い君主の時代にだけ姿を現す

白澤の性格

白澤は基本的に人間に友好的で、知識を惜しみなく教えてくれる存在です。ただし、徳のある立派な人の前にしか現れないというプライドの高さも持っています。

悪い妖怪や病魔から人々を守りたいという優しい心を持った、頼もしい守護神といえるでしょう。

伝承

白澤にまつわる最も有名な伝説は、黄帝との出会いです。

黄帝と白澤の出会い

中国の伝説によると、古代中国の伝説的な皇帝である黄帝(こうてい)が東海地方を巡行していたときのこと。

恒山(こうざん)という山に登った後、海辺で白澤に出会いました。

白澤は黄帝に、この世に存在する1万1520種類もの妖怪や悪霊について、その姿や性質、退治方法をすべて教えたんです。

黄帝はこの貴重な知識を部下に記録させ、『白澤図』という本にまとめました。

『白澤図』の伝説

『白澤図』は妖怪図鑑であると同時に、災害や病気から身を守るためのマニュアルでもありました。

中国では家に一冊は置いてあるほど人気があり、何か怪しいものを見たときは、この本で調べて対処法を見つけたといいます。

残念ながら、この本は北宋時代(11世紀頃)に失われてしまいました。

日本での白澤信仰

白澤の信仰は日本にも伝わり、特に江戸時代に流行しました。

日本での白澤の使われ方

  • 旅行のお守りとして絵を持ち歩く
  • 病除けに枕元に絵を置く
  • 家の魔除けとして絵を飾る
  • 日光東照宮の将軍の間にも白澤の絵が描かれている

1858年に江戸でコレラが流行したときは、人々は白澤の絵を枕の下に置いて寝たという記録も残っています。

起源

白澤という存在の起源は、古代中国の思想にさかのぼります。

名前の由来

「白」は純粋さや神聖さを表し、「澤」は恵みや潤いを意味します。つまり白澤という名前には、「純粋な恵みをもたらす存在」という意味が込められているんです。

瑞獣としての位置づけ

中国では、優れた君主が現れると瑞獣(めでたい神獣)が出現すると信じられていました。白澤は麒麟、鳳凰、竜と並ぶ瑞獣の一つで、特に知恵と守護を象徴する存在として崇められたんです。

敦煌文書での発見

20世紀初頭、中国の敦煌(とんこう)の洞窟から、白澤に関する古い文書が発見されました。「白澤精怪図」と呼ばれるこの文書は、9~10世紀に書かれたもので、現在フランス国立図書館に保管されています。

この発見により、白澤信仰が実際に古代から存在していたことが証明されました。

5. まとめ

白澤は、すべての妖怪を知り尽くす知恵の神獣です。

重要なポイント

  • 中国の神獣で、人間の言葉を話す
  • 1万1520種類の妖怪・悪霊について知っている
  • 黄帝に妖怪の知識を教えた
  • 姿は諸説あるが、9つの目を持つ姿が有名
  • 『白澤図』という妖怪図鑑の元になった
  • 魔除け・厄除けの力がある
  • 徳の高い君主の時代にだけ現れる
  • 日本では江戸時代に病除けとして人気

知恵と守護の神獣・白澤。

もし白澤の絵を見かけたら、それはあなたを悪い妖怪や災いから守ってくれているのかもしれませんね。

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