飛行機が突然故障したり、機械が原因不明のトラブルを起こしたりしたことはありませんか?
もしかしたら、それはグレムリンという妖精のイタズラかもしれません。
第二次世界大戦中、イギリス空軍のパイロットたちは、説明のつかない機械の故障をこの不思議な妖精のせいにしていました。
この記事では、20世紀に生まれた現代の妖精グレムリンの正体と、戦争中のパイロットたちを悩ませた伝説について詳しくご紹介します。
概要

グレムリン(Gremlin)は、イギリスに伝わる妖精の一種です。
他の妖精と大きく違うのは、グレムリンが機械文明とともに現れたという点なんです。
古くからいる妖精ではなく、20世紀になってから目撃されるようになった、まさに現代の妖精といえるでしょう。
グレムリンの主な特徴は、機械にイタズラをして故障させること。
特に飛行機のトラブルの原因として有名になりました。
第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、イギリス空軍(RAF)のパイロットたちの間で広まり、原因不明の機械の故障を「グレムリン効果」と呼ぶようになったんです。
姿・見た目
グレムリンの姿については、目撃者によって様々な報告があります。
よく報告される姿
基本的な外見
- 身長:15cm~50cm程度(手のひらから椅子くらい)
- 体重:8kg程度
- 顔つき:邪悪な顔、渋面を浮かべている
動物的な特徴
- 毛の少ないウサギに似ている
- ジャックウサギとブルテリア犬の混血のよう
- 頭から角が生えている場合もある
服装
- 赤い上着とパイロットジャケット
- 緑色の半ズボンとブーツ
- 皮の飛行ジャケットを着ることも
面白いことに、羽を持たないグレムリンは飛ぶために飛行機に乗る必要があるんです。高度3000メートルで活動する種類は「スパンデュール」と呼ばれているそうです。
特徴

グレムリンには独特の行動パターンと能力があります。
グレムリンのイタズラ
機械への悪戯
- 計器に指を突っ込んで指示を狂わせる
- ガソリンを勝手に飲んでしまう
- ケーブルを齧って断線させる
- 機体に穴を開ける
- 滑走路を上下させる(錯覚を起こさせる)
意外な一面
実は、グレムリンは悪いことばかりするわけじゃないんです。
人間を助けることも
- ベンジャミン・フランクリンの電気実験を手伝った
- ジェームズ・ワットに蒸気機関のヒントを与えた
- パイロットが無事に基地に戻れるよう集団で手助けする
もともとは人間の発明を手伝っていたけれど、人間が感謝しなくなったので悪戯をするようになったという説もあります。
4. 伝承
グレムリンにまつわる最も有名な伝承は、戦時中のパイロットたちの体験談です。
イギリス空軍での目撃談
1920年代、マルタ、中東、インドに駐留していたイギリス空軍のパイロットたちが最初に報告しました。
1929年4月10日、マルタの航空雑誌『Aeroplane』に、グレムリンについての詩が掲載されたのが最古の記録とされています。
第二次世界大戦での広まり
第二次世界大戦中、グレムリンの話は急速に広まりました。
戦時中のグレムリン伝説
- 原因不明の機械故障はすべてグレムリンの仕業とされた
- 敵味方関係なく、両軍の飛行機にイタズラをした
- 東京空襲のアメリカ軍爆撃機も被害にあった
- パイロットの士気を保つ重要な役割を果たした
実は、グレムリンを信じることで、パイロット同士が故障の責任を押し付け合うことを防ぎ、チームワークを保つ効果があったんです。
ロアルド・ダールによる世界的普及
1942年、イギリス空軍パイロットだった作家ロアルド・ダール(『チャーリーとチョコレート工場』の作者)が、グレムリンについての児童書を執筆しました。
ダールの物語では:
- グレムリンの妻を「フィフィネラ」
- 男の子を「ウィジェット」
- 女の子を「フリバーティギベット」
と名付け、ウォルト・ディズニーがこの物語に注目。映画化は実現しませんでしたが、本は世界的なベストセラーとなり、グレムリンの存在が世界中に知られるようになったんです。
起源
グレムリンという名前の由来には、いくつかの説があります。
名前の由来説
主な起源説
- 古英語説:「gremian(悩ませる)」から
- 合成語説:「グリム童話」+「フレムリン・ビール」(当時人気のビール)
- ゴブリン説:「goblin(ゴブリン)」との合成
なぜ機械の妖精が生まれたのか
グレムリンは機械時代の産物といわれています。
産業革命以降、人間は多くの機械を使うようになりました。
しかし、機械は時に原因不明の故障を起こします。科学では説明できない現象を、人々は新しい妖精のせいにしたんです。
特に飛行機は、当時の最新技術でした。
高空を飛ぶストレス、戦闘の緊張、説明のつかない故障。
これらすべてが、グレムリンという存在を生み出したのかもしれません。
まとめ
グレムリンは、20世紀の機械文明が生み出した現代の妖精です。
重要なポイント
- 機械にイタズラをする妖精として有名
- 第二次世界大戦中にイギリス空軍で広まった
- 身長15~50cmのウサギに似た姿
- 元は人間を助けていたという説もある
- ロアルド・ダールの本で世界的に有名になった
- 原因不明の機械故障を「グレムリン効果」と呼ぶ
古い妖精伝説とは違い、グレムリンは人間の技術進歩とともに生まれた存在です。
今でもコンピュータが原因不明で動かなくなったとき、それはもしかしたらグレムリンの仕業かもしれませんね。
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