ギリシャ神話には数多くの神々が登場しますが、その中でもヘルメスは、知恵、俊敏さ、そして狡猾さを象徴する特異な存在です。
商業や旅人を守護する一方で、盗賊や雄弁の神としても知られ、神々と人間、さらには生者と死者の間を行き来する「メッセンジャー」として重要な役割を担っています。
本記事では、ヘルメスの基本情報、特徴、神話での活躍、さらには後世への影響について詳しく解説していきます。
ヘルメスとは?

ヘルメスの基本的な情報を見ていきます。
- 名前の由来
ヘルメス(Hermes)の語源については諸説あります。
一説では、「積み上げられた石の山」を意味しているとされています。 - 親
- 父: ゼウス(オリンポスの最高神)
- 母: マイア(ティタン神族のアトラスの娘)
- 象徴物
- ケリュケイオン(カドゥケウスとも呼ばれる二本の蛇が絡んだ杖)
- 翼のある黄金のサンダル(タラリア)
- 旅人の帽子(ペタソス)
- 水星
- 信仰される分野
- 商業、旅、盗賊、雄弁、伝令などなど
特徴と役割

ヘルメスの特徴と役割を詳しく見ていきます。
神々の使者
ヘルメスは、神々の間の使者として、また神々と人間の間をつなぐ役割を担いました。
その俊敏さを象徴する翼のあるサンダルで、神話の中では素早くどこにでも行ける能力を持っています。
守護神
ヘルメスは、商人や旅人を守護する一方で、巧妙でずる賢い一面も持ち、盗賊の神としても知られています。
冥界
ヘルメスは、ゼウスの意向を冥界のハデスとペルセウスに伝える役割を担っています。
ヘルメスは、「サイコポンポス(魂の案内人)」として、死者の魂を冥界まで導く役割を果たします。この役割から、死後の世界と現世をつなぐ神とも考えられています。
知恵と雄弁
ヘルメスは言葉の力にも優れ、説得力や雄弁さを象徴する存在でもあります。
彼の知恵と話術は、神々や人間を納得させる手段として多くの物語で活用されています。
神話

ヘルメスの神話をいくつか紹介します。
幼少期の逸話
ヘルメスの狡猾さを示す有名な話があります。
生まれた直後、彼はアポロンの牛を盗むという大胆な行動を取ります。
しかし、アポロンに見つかると、リラ(竪琴)を作って彼に贈り、赦しを得ました。
このエピソードは、ヘルメスの機知と創造性を象徴しています。
アフロディーテ
アフロディーテが浮気をする伝説では、ヘルメスが浮気現場に神々に呼ぶ役割を担っている。
また、この伝説で、笑いを堪える神々たちを吹き出させたのもヘルメスだった。
英雄の手助け
ヘルメスは、ペルセウスやヘラクレス、オデュッセウスなどの英雄たちを手助けしています。
ペルセウスの神話では、メデューサを退治するための装備を授けています。
『オデュッセイア』では、ヘルメスはオデュッセウスに助け舟を出します。
魔女キルケーがオデュッセウスを罠にかけようとした際、彼に「モリュ」という魔法を解く薬草を渡し、無事に危機を乗り越えさせました。
ヘルメスの文化的影響
ヘルメスはギリシャ神話だけでなく、後世の文化や象徴に大きな影響を与えました。
- ローマ神話
ヘルメスは、ローマ神話ではメルクリウス(Mercurius)として知られています。
商業や伝達の神として広く崇拝されました。 - 現代の象徴
カドゥケウスの杖は、医療や商業などの象徴として現代でも使用されています。
まとめ
ヘルメスは、俊敏さ、知恵、狡猾さを象徴するギリシャ神話の神です。
神々と人間、または生者と死者の間をつなぐ「メッセンジャー」として、多様な役割を持っています。
商業や旅、盗賊の守護神としての一面から、冥界の案内人や知恵をもたらす存在としての一面まで、彼の物語は幅広く知られています。
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