【海底神殿に封じられた美青年】旧支配者「グルーン」とは?その姿・特徴・恐ろしい夢引きを解説!

神話・歴史・伝承

古びた彫刻を手に入れてから、毎晩不思議な夢を見るようになったら…それは単なる偶然ではないかもしれません。

海底に沈んだ神殿、月桂冠をかぶった美しい若者、そして徐々に現実と区別がつかなくなっていく悪夢。クトゥルフ神話に登場する「グルーン」は、人の夢を通じて魂を奪い取る恐ろしい存在なんです。

この記事では、海底神殿に封印された旧支配者「グルーン」について、その正体と恐るべき能力を詳しくご紹介します。

スポンサーリンク

概要

グルーン(Gloon)は、クトゥルフ神話に登場する架空の神格です。

旧支配者(グレート・オールド・ワン)もしくは異形の神の一柱とされ、大西洋の海底深くにある古代神殿に封じ込められた存在として知られています。

クトゥルフ神話というのは、20世紀のアメリカの作家H.P.ラヴクラフトが創始した架空の神話体系のこと。恐ろしい異形の神々や怪物たちが登場する、ホラー小説の世界なんですね。

グルーンの特徴は、古代アトランティス文明との深い関わりと、「夢引き」と呼ばれる独特の能力です。人間の夢に侵入し、徐々に正気を奪って最終的には魂を自身の神殿へ引き込んでしまうという、非常に恐ろしい力を持っています。

アトランティスが海に沈む遥か前から封印されていたとされ、今もなお海底の神殿から人間に干渉し続けているのです。

系譜

グルーンは、TRPG『クトゥルフ・ナウ』収録のシナリオ『海底の都市』(The City in the Sea)で初めて登場した神格です。

創作の背景

この神格は、二つの古典作品をモデルに創られました。

元となった作品

  • H.P.ラヴクラフトの短編小説『神殿』(The Temple)
  • エドガー・アラン・ポーの詩『海底の都市』(The City in the Sea)

つまり、クトゥルフ神話の創始者ラヴクラフト自身の作品ではなく、TRPGオリジナルの神格なんですね。とはいえ、ラヴクラフトの世界観を忠実に受け継いだ恐ろしい存在として描かれています。

神格の分類

グルーンの分類については、資料によって若干の違いがあります。

  • 初出では「下級の異形の神」
  • 後の『マレウス・モンストロルム』では「旧支配者」に変更
  • 『エンサイクロペディア・クトゥルフ』では再び「異形の神(下級)」

いずれにしても、強大な力を持つ恐るべき神格であることに変わりはありません。興味深いのは、異形の神として特に強調されているのが、この神格とナイアーラトテップだけだということです。

姿・見た目

グルーンの姿には、恐ろしい偽りの美しさがあります。

人前に現れる姿

人間の夢に現れるとき、グルーンはこんな姿をしています。

見せかけの外見

  • 容姿:美形の若者
  • 装飾:月桂冠(げっけいかん)をかぶっている
  • 雰囲気:どこかギリシャ神話の神を思わせる

月桂冠というのは、月桂樹の葉で作られた冠のこと。古代ギリシャでは勝者や英雄の象徴として使われました。そんな神々しい姿をしているため、一見すると高貴で美しい存在に見えるんです。

真の姿

しかし、その美しさは完全な偽りなのです。

グルーンの本当の姿は、ナメクジに似た醜悪な怪物。生物的で残忍な外見をしており、その体に触れた生き物は肉が爛れてズタズタになってしまうといいます。

この「美しい仮面の下に隠された醜悪な本性」という設定は、グルーンというキャラクターの本質を表しているともいえるでしょう。

特徴

グルーンには、人間を破滅に導く恐ろしい能力があります。

グルーンの夢引き

グルーンの最も恐ろしい特徴が、「夢引き」と呼ばれる現象です。

夢引きの仕組み

  1. アトランティス製の彫刻や像を発見する
  2. その像を通じてグルーンが語りかけてくる
  3. 夜ごとに海底神殿の夢を見るようになる
  4. 夢は徐々に生々しく、現実のようになっていく
  5. 睡眠中に溺れているような感覚に襲われる
  6. 正気を失い、最終的には狂気に陥る
  7. 魂が神殿に引き込まれ、永遠の拷問を受ける

像を介した干渉

グルーンは神殿に封印されているため、直接外の世界に出ることはできません。その代わり、アトランティス製の彫刻や像を通じてのみ、外界と対話し干渉することができるのです。

では、なぜそのような危険な像が存在しているのでしょうか?

考えられる理由

  • 封印される以前、アトランティスでグルーン崇拝が存在していた
  • 封印時に何らかの取引があり、支配や協力を約束した者に作らせた

いずれにしても、この像を見つけてしまった人間は、例外なく「夢引き」の犠牲となってしまうのです。

夢の国の神々との類似

興味深いことに、グルーンは夢の国に関わる他の神格とも似た特徴を持っています。

  • ノーデンス:夢の国の神
  • ピラノプス:同じく夢の国の神

これらの神々も月桂冠をかぶった美しい姿をしていますが、グルーンの場合はその美しさが偽りであり、本性は醜悪だという点が決定的に異なります。

伝承

グルーンにまつわる伝承は限られていますが、その封印の経緯については興味深い記録が残されています。

古代の封印

グルーンは、アトランティスが沈没する遥か前から、大西洋の海底にある神殿に封じ込められていました。

つまり、アトランティス文明が栄えていた時代には、すでにこの神格は封印されていたということです。誰がどのような理由で封印したのかは定かではありませんが、その力を恐れた何者かによって、海底深くに幽閉されたのでしょう。

現代への影響

封印されてから数千年が経った現在でも、グルーンの脅威は消えていません。

海底に沈んだアトランティスの遺物が発見されることで、現代の人々もグルーンの「夢引き」の犠牲になる可能性があるのです。考古学者や骨董品収集家が古代の彫刻を手に入れ、知らず知らずのうちにグルーンの罠にはまってしまう…そんな恐ろしいシナリオが想定されています。

関連する存在

グルーンと似た能力を持つ存在として、グラーキという旧支配者がいます。

グラーキもまた「夢引き」を行う神格であり、名前も「グルーン」と「グラーキ」で似ていることから、何らかの関係があるのではないかと考えられています。もしかしたら、同じ種類の恐ろしい力を持つ神格の一族なのかもしれませんね。

出典

本記事は以下の情報源を参考にしています。

主要資料

  • TRPG『クトゥルフ・ナウ』収録シナリオ『海底の都市』(The City in the Sea)
  • 『マレウス・モンストロルム』(クトゥルフ神話TRPG資料集)
  • 『エンサイクロペディア・クトゥルフ』

モデル作品

  • H.P.ラヴクラフト『神殿』(The Temple)
  • エドガー・アラン・ポー『海底の都市』(The City in the Sea)

まとめ

グルーンは、海底神殿に封印された恐ろしい旧支配者です。

重要なポイント

  • クトゥルフ神話に登場する旧支配者・異形の神
  • 大西洋の海底神殿に封じ込められている
  • 月桂冠をかぶった美青年に見えるが、真の姿はナメクジのような怪物
  • アトランティス製の像を通じて人間の夢に干渉する
  • 「夢引き」によって犠牲者の正気を奪い、魂を神殿に引き込む
  • TRPGオリジナルの神格で、ラヴクラフトとポーの作品がモデル
  • 美しい仮面の下に隠された醜悪な本性を持つ

古代の彫刻を見つけたら、それがどこから来たものなのか、よく確認した方がいいかもしれませんね。もしかしたら、美しい若者の夢の向こうに、恐ろしい怪物が待ち受けているかもしれませんから…。

コメント

タイトルとURLをコピーしました