西洋の古い建物の屋根や壁から突き出る、奇妙な顔をした石像。
それが「ガーゴイル(Gargoyle)」です。
「怖い見た目だけど、あれって何の意味があるの?」
この記事では、ガーゴイルを簡単に解説していきます。
ガーゴイルとは?簡単にいうと…

ガーゴイル(Gargoyle)とは、
中世ヨーロッパの建築物に取り付けられた「排水機能を持つ彫刻」です。
多くはグロテスクな怪物や動物、人面のような姿をしていますが、見た目とは裏腹に実は実用的な目的があったのです。
ガーゴイルの本来の役割は「雨樋(あまどい)」
意外にも、ガーゴイルの最初の役目は「雨水を遠くに吐き出すこと」でした。
中世には屋根にたまった雨を壁沿いではなく遠くへ流すための水路があり、その先端に取り付けられていたのがガーゴイルでした。
この構造のおかげで、建物の壁を雨による腐食から守るという非常に実用的な役割を果たしていました。
ちなみに、「ガーゴイル(gargoyle)」の語源はフランス語の「gargouille(ガルグイユ)」で、これは「食道」や「のど」を意味しています。
ガーゴイル=魔除け?

ガーゴイルにはもうひとつの重要な意味があります。
それは、悪霊や悪魔を建物から遠ざける“魔除け”としての役割。
様々な考察があるが、どの話でもガーゴイルの彫像には宗教的な意味合いがあるとされている。
ガーゴイルと「グロテスク像」の違い
よく混同されますが、「ガーゴイル」と「グロテスク像」の大きな違いは排水機能の有無。
排水機能を持ち怪物や動物などを模った彫刻がガーゴイル。
対して、怪物や動植物を模っているが排水機能のない美術的な装飾・彫刻がグロテスク像。
ガーゴイルの起源:伝説と神話

一説によれば、ガーゴイルの起源はフランスの伝説「ラ・ガルグイユ」にあるとされています。
- セーヌ川に棲んでいた水を吐き洪水を起こす怪物「ガルグイユ」が人々を苦しめていた
- 聖人ロマヌスがガルグイユを十字架で串刺しにし、その状態で怪物を燃やしたのだが頭だけは残った
- 残った頭を教会の壁に飾った
- それが悪霊よけのお守りとなり、以後「ガーゴイル」として定着した
この伝説により、ガーゴイルが教会の桶口として設置されるようになった。
現代のガーゴイル:アニメやゲームにも登場
ガーゴイルは現在、建築物だけでなくファンタジー作品にも頻繁に登場します。
現代の作品では、「硬い体」「空を飛ぶ」「見張り役」といったイメージが強調されています。
まとめ
ガーゴイルとは、単なる“怪物の石像”ではなく、
- 実用性(排水)
- 宗教的役割(魔除け)
といった、多層的な意味を持つ建物を守護する存在でした。
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