アーサー王の剣といえば「エクスカリバー」が有名ですよね。
でも、円卓の騎士たちも負けていません。彼らもまた、伝説に名を刻む名剣を持っていたのです。
その中でも特別な一振りが「ガラティン」。
太陽の騎士と呼ばれたガウェイン卿が振るった剣で、なんとエクスカリバーの「姉妹剣」とされています。
この記事では、ガラティンの特徴や伝承、そしてエクスカリバーとの関係についてわかりやすく解説していきます。
ガラティンの概要
ガラティンは、アーサー王伝説に登場する円卓の騎士ガウェインの愛剣です。
湖の乙女(Lady of the Lake)から授けられた聖剣で、エクスカリバーと同じ起源を持つと伝えられています。
切れ味は抜群で、鉄を木のように斬り、決して刃こぼれしなかったとか。
持ち主のガウェインが「太陽の騎士」として知られることから、ガラティンもまた太陽に関連する剣として描かれることが多いです。
ただ、エクスカリバーの知名度が圧倒的すぎて、ガラティンの伝承はあまり多く残っていません。
言ってしまえば、偉大な姉の影に隠れた妹のような存在なんですね。
名前の由来と表記のバリエーション
ガラティンという名前には、いくつかの表記揺れがあります。
| 表記 | 出典 |
|---|---|
| Galatine(ガラティン) | 一般的な英語表記 |
| Galantyne(ガランティン) | トマス・マロリー『アーサー王の死』 |
| Galatyn(ガラティン) | 別の中英語表記 |
| Galuth(ガラス) | 『頭韻詩アーサーの死』 |
文献上の初出は、14世紀後半から1400年頃に成立した『頭韻詩アーサーの死』(Alliterative Morte Arthure)。
ここでは「ガラス(Galuth)」という名前で登場しています。
その後、15世紀後半にトマス・マロリーが書いた『アーサー王の死』(Le Morte d’Arthur)で「ガランティン(Galantyne)」として再登場し、現在の「ガラティン」という呼び名が定着しました。
名前の語源については諸説あり、はっきりとはわかっていません。
「galant(優雅な、勇敢な)」という言葉との関連を指摘する説もありますが、確証はないようです。
エクスカリバーとの関係——姉妹剣の伝説
ガラティンの最大の特徴は、エクスカリバーの「姉妹剣」とされていることでしょう。
どちらも湖の乙女から授けられた剣であり、同じ起源を持つと伝えられています。
一説には、ランスロットの剣「アロンダイト」も含めて「三姉妹の聖剣」と呼ぶこともあるとか。
| 剣名 | 持ち主 | 授けた存在 |
|---|---|---|
| エクスカリバー | アーサー王 | 湖の乙女 |
| ガラティン | ガウェイン卿 | 湖の乙女 |
| アロンダイト | ランスロット卿 | 湖の乙女 |
興味深いのは、この三振りの剣が辿った運命がまったく違うこと。
エクスカリバーは最後にアーサー王の命を受けたベディヴィア卿によって湖に返され、アロンダイトはランスロットと共に波乱の人生を送りました。
ガラティンについては、最終的にどうなったのか詳しく語られていません。
おそらくガウェインと共に葬られたと考えられていますが、姉妹剣たちのドラマチックな結末に比べると、静かな幕引きですね。
ガラティンの特徴と能力
伝承に残るガラティンの特徴をまとめると、以下のようになります。
切れ味と耐久性
ガラティンはエクスカリバーと同様に「鉄を木のように斬る」ほどの切れ味を誇りました。
さらに、どれだけ激しい戦いを経ても決して刃こぼれしなかったと言われています。
太陽との関連
持ち主のガウェインは、朝から正午にかけて力が3倍になるという不思議な特性を持っていました。
これはケルト神話の太陽信仰に由来するものとされています。
ガラティンもまた、正午に最大の力を発揮したとする伝承があります。
太陽の騎士が振るう、太陽の剣というわけですね。
エクスカリバーとの違い
後世の創作では、エクスカリバーが「星の光」を集める剣であるのに対し、ガラティンは「太陽の熱線」を放つ剣として描かれることがあります。
攻撃の仕方も、エクスカリバーが一点集中型なのに対し、ガラティンは横薙ぎで大軍を薙ぎ払うタイプとされています。
ローマ戦争での活躍——プリアマスとの戦い
ガラティンが物語の中で実際に活躍するのは、マロリーの『アーサー王の死』に描かれたローマ戦争のエピソードです。
アーサー王がローマ皇帝ルキウスと戦っていたとき、ガウェインはトスカーナ地方で食料調達の任務に就いていました。
そこで出会ったのが、サラセン人の騎士プリアマスでした。
プリアマスはかなりの実力者で、自分の血筋にアレクサンドロス大王やヘクトルがいると豪語するほど。
そんな彼とガウェインは一騎打ちを繰り広げることになります。
戦いは激しく、互いに深手を負いました。
このときガウェインがガラティンで放った一撃は、プリアマスの盾と鎖帷子を一刀両断にしたと伝えられています。
最終的にプリアマスはガウェインに敗北を認め、キリスト教に改宗してアーサー王に仕えることを申し出ました。
彼は「楽園の水」という秘薬で互いの傷を癒し、その後の戦いではガウェインと共に戦っています。
このエピソードは、ガラティンの驚異的な切れ味を示す数少ない場面として知られています。
持ち主ガウェイン卿について
ガラティンを語るうえで、持ち主のガウェイン卿についても触れておきましょう。
ガウェインはアーサー王の甥にあたり、円卓の騎士の中でも最古参の一人です。
初期の伝説では「最も優秀な騎士」として描かれ、ランスロットが登場するまでは物語の主役格でした。
太陽の騎士としての特性
ガウェインの最大の特徴は、朝から正午にかけて力が3倍になること。
これは彼のルーツがケルト神話の太陽神に関係しているためと考えられています。
ウェールズ語での名前「グワルフマイ(Gwalchmei)」は「5月の鷹」を意味し、夏の始まりを象徴しています。
また、アイルランド神話の英雄クー・フーリンとの関連を指摘する研究者もいます。
物語での評価の変遷
興味深いことに、ガウェインの評価は時代とともに変化しています。
初期の伝説では理想的な騎士として描かれていましたが、フランスで発達したアーサー王物語では、ランスロットやガラハッドが主役となり、ガウェインの地位は相対的に下がっていきました。
マロリーの『アーサー王の死』では、復讐心の強い人物として描かれることも。
弟のガレスとガヘリスがランスロットに殺されたことで、かつての友人を激しく憎むようになり、結果として円卓の騎士の崩壊を招く一因となってしまいます。
しかし、最期には自らの非を悟り、ランスロットに許しを請う手紙を残しています。
欠点も含めて人間味のある騎士、それがガウェインなのかもしれません。
現代作品への影響
ガラティンは、現代のゲームや創作作品にも数多く登場しています。
Fateシリーズ
TYPE-MOONの『Fate』シリーズでは、「エクスカリバー・ガラティーン」としてガウェインの宝具(必殺技のようなもの)として登場。
柄に擬似太陽を封じ込めた聖剣という設定で、太陽の熱線を放射して敵を焼き払います。
ファイナルファンタジーシリーズ
FFシリーズでも「ガラティーン」「ガラティン」という名前で武器として登場しています。
FF11では青白い炎のような色彩を持つ両手剣として、FF12では水属性の両手剣としてバッシュが装備できます。
その他のゲーム
サガフロンティア2では偽ギュスターヴが持つ謎の剣として登場し、未解明の魔力を秘めた設定になっています。
他にも多くのRPGやファンタジー作品で、名剣のひとつとして採用されています。
エクスカリバーほどの知名度はないものの、「太陽の聖剣」「エクスカリバーの姉妹剣」というユニークな立ち位置が、創作者たちの想像力を刺激しているのでしょう。
まとめ
ガラティンについて解説してきました。最後にポイントを振り返りましょう。
- ガラティンはアーサー王伝説に登場するガウェイン卿の愛剣
- 湖の乙女から授けられた、エクスカリバーの姉妹剣
- 切れ味に優れ、決して刃こぼれしない名剣
- 正午に最大の力を発揮するとされ、太陽と関連付けられる
- 文献上の初出は14世紀後半の『頭韻詩アーサーの死』
- マロリーの『アーサー王の死』ではローマ戦争で活躍
- 現代でもFateシリーズやFFシリーズなど多くの作品に登場
エクスカリバーの陰に隠れがちですが、ガラティンは「太陽の騎士」ガウェインにふさわしい聖剣です。
アーサー王伝説の名剣といえばエクスカリバーばかりが注目されますが、円卓の騎士たちの剣にも、それぞれ魅力的な物語が眠っています。
ガラティンもまた、太陽の光のように輝く伝説の一振りなのです。


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