【悲劇の人造人間】フランケンシュタインの怪物とは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

夜の実験室で、稲妻が轟く中、死体をつなぎ合わせた巨大な人造人間が目を開いたら……あなたはどうしますか?

これは単なる怪談ではありません。200年以上も前に生まれた物語が、今でも世界中の人々を震え上がらせているんです。しかも驚くことに、この恐ろしくも悲しい物語を書いたのは、当時わずか18歳の女性でした。

この記事では、世界三大怪物の一つ「フランケンシュタインの怪物」について、その悲劇的な運命と人間への問いかけを詳しくご紹介します。

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概要

フランケンシュタインの怪物は、1818年にイギリスの作家メアリー・シェリーが発表した小説『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』に登場する人造人間です。

実は「フランケンシュタイン」という名前、怪物の名前じゃないんです。これは怪物を作った大学生ヴィクター・フランケンシュタインの名前で、怪物自体には名前がありません。

作者のメアリー・シェリーも、舞台版の台本で怪物の名前が「____」(アンダーバー)になっているのを見て喜んだという記録が残っています。

この物語は、生命の神秘を解き明かそうとした若い科学者が、死体をつなぎ合わせて人間を作り出してしまうという、科学と倫理の境界線を問う作品として知られています。

吸血鬼ドラキュラ、狼男と並んで世界三大怪物の一つに数えられているんですね。

姿・見た目

フランケンシュタインの怪物の姿は、とにかく巨大で恐ろしいんです。

怪物の身体的特徴

  • 身長:2メートル以上の巨体
  • 皮膚:死体から作られたため、黄ばんで透けて見える
  • 血管と筋肉:皮膚が透明なので、血管や筋肉が見えている
  • :くすんで濁った目をしている
  • :黒ずんでいる
  • 全体:複数の死体をつなぎ合わせた、つぎはぎだらけの体

映画では頭の横に電極があるイメージが有名ですが、原作小説ではそこまで詳しく描写されていません。

1931年の映画版で俳優ボリス・カーロフが演じた、四角い頭と首のボルトのある姿が、今では一般的なイメージになっているんですね。

特徴

怪物の特徴は、その恐ろしい外見とは裏腹に、とても優れた能力を持っていることなんです。

怪物の主な能力

  • 超人的な体力:普通の人間をはるかに超える怪力を持つ
  • 高い知性:わずか数ヶ月で複数の言語を独学でマスター
  • 学習能力:本を読んで知識を吸収できる
  • 感情:人間と同じように喜び、悲しみ、怒りを感じる
  • 不死に近い生命力:過酷な環境でも生き延びる強靭な肉体

性格の変化

最初は純粋で優しい心を持っていたんです。でも、その醜い姿のせいで人々から迫害され、次第に心が荒んでいきました。

特に印象的なのは、怪物が読んだ本の影響を受けていることです。ミルトンの『失楽園』を読んで、自分を堕天使ルシファーになぞらえたりするんです。「私はあなたのアダムであるべきだったのに、むしろ堕天使になってしまった」という怪物の言葉は、創造主への恨みと悲しみを表しています。

伝承

誕生の経緯

1816年の夏、スイスのジュネーヴ湖畔で起きた出来事が、この物語の始まりでした。

「ディオダティ荘の怪奇談義」と呼ばれるこの出来事は、詩人バイロン卿の別荘に集まった若者たちが、雨で外出できない退屈しのぎに「みんなで怪談を書こう」と提案したことから始まります。参加者の中にいた18歳のメアリー・シェリーが、悪夢から着想を得て書き上げたのが『フランケンシュタイン』だったんです。

物語のあらすじ

スイスの名家出身の青年ヴィクター・フランケンシュタインは、ドイツのインゴルシュタット大学で自然科学を学んでいました。生命の謎に取りつかれた彼は、墓を暴いて死体を集め、それをつなぎ合わせて「理想の人間」を作ろうとします。

11月のある夜、ついに人造人間の創造に成功。しかし、その醜い姿に絶望したヴィクターは、怪物を残して逃げ出してしまいます。

怪物の復讐

捨てられた怪物は、人間の言葉を学び、知識を身につけていきます。しかし、どこへ行っても醜い姿のために迫害されました。

孤独に苦しんだ怪物は、創造主に「自分と同じ女性の怪物を作ってくれ」と懇願します。しかし、ヴィクターが約束を破ったことで、怪物は復讐の鬼と化し、ヴィクターの弟ウィリアム、友人クラーヴァル、そして新婚の妻エリザベスを次々と殺害していくのです。

悲劇的な結末

最後は北極海まで追跡劇が続き、ヴィクターは力尽きて死んでしまいます。創造主の死を嘆いた怪物は、「北極点で自ら焼け死ぬ」と言い残して姿を消しました。その後のことは誰も知りません。

起源

作者メアリー・シェリーの背景

メアリー・シェリー(1797-1851)は、有名な哲学者ウィリアム・ゴドウィンの娘で、詩人パーシー・シェリーの妻でした。母親は出産後11日で亡くなり、その喪失体験が作品に影響を与えたとされています。

時代背景と科学の進歩

19世紀初頭のヨーロッパでは、電気の研究が盛んでした。特に「ガルヴァニズム」という、電気で死んだカエルの足を動かす実験が話題になっていました。メアリーはこうした最新の科学知識を物語に取り入れたんですね。

プロメテウスとの関連

副題の「現代のプロメテウス」は、ギリシャ神話の火を盗んだ神プロメテウスになぞらえています。プロメテウスが人類に火をもたらしたように、フランケンシュタインは生命創造という神の領域に踏み込んだことを表しています。

文学史への影響

この作品は世界初のSF小説とも呼ばれています。科学技術を使って生命を創造するというアイデアは、後の多くの作品に影響を与えました。また、「自分が作ったものに滅ぼされる」という意味で、「フランケンシュタイン」という言葉は英語の慣用句にもなっています。

まとめ

フランケンシュタインの怪物は、人間の傲慢さと科学の限界を問いかける永遠のテーマを持つ存在です。

重要なポイント

  • 「フランケンシュタイン」は怪物ではなく創造者の名前
  • 18歳の女性作家が生み出した不朽の名作
  • 醜い外見とは裏腹に高い知性と感情を持つ
  • 人間の迫害により悪に染まった悲劇的存在
  • 世界初のSF小説として文学史に大きな影響
  • 科学と倫理の境界線を問う普遍的テーマ

200年以上前に書かれたこの物語が今も読み継がれているのは、「生命とは何か」「創造の責任とは何か」という根源的な問いを投げかけているからです。

醜い姿に生まれたがゆえに愛されなかった怪物の悲劇は、現代の差別や偏見の問題にも通じる深いメッセージを含んでいるんですね。

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