クトゥルフ神話の「火の吸血鬼」とは?炎の眷属を徹底解説

神話・歴史・伝承

クトゥルフ神話TRPGをプレイしていて、「火の吸血鬼」という存在に出会ったことはありませんか?

燃え盛る炎のような姿で現れ、触れたものを焼き尽くすこの存在。
名前に「吸血鬼」とついていますが、実は普通の吸血鬼とはまったく違う、宇宙から来た恐ろしい生命体なんです。

「どんな見た目なの?」「どうやって戦えばいいの?」「クトゥグアとの関係は?」

この記事では、クトゥルフ神話に登場する火の吸血鬼について、その起源から特徴、関連する神格まで詳しく解説していきます。


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火の吸血鬼の基本情報

火の吸血鬼とは何か

火の吸血鬼(Fire Vampire) は、クトゥルフ神話に登場する奉仕種族の一つです。

「吸血鬼」という名前がついていますが、コウモリに変身したり十字架を恐れたりする西洋の吸血鬼とはまったく違います。
彼らは生きた炎そのものであり、宇宙を旅する恐ろしい存在なのです。

2つのタイプが存在する

実は、火の吸血鬼には2つの異なるタイプがあります。

タイプ創造者外見主人
クトゥグアの炎の眷属オーガスト・ダーレス光の小球の群れクトゥグア
フタグアの火の吸血鬼ドナルド・ワンドレイ紅い稲妻フタグア

どちらも「火の吸血鬼」と呼ばれることがありますが、起源も設定も異なります。
TRPGで登場する場合は、主にクトゥグアの眷属として扱われることが多いでしょう。


クトゥグアの炎の眷属

見た目と特徴

クトゥグアに仕える炎の眷属は、無数の光の小球として現れます。

夜空に浮かぶ火の玉のような姿で、数百から数千という群れで出現するのが特徴です。
一つ一つは小さいですが、群れとなると周囲を焼き尽くす恐ろしい存在となります。

主な特徴をまとめると、以下の通りです。

  • 外見:小さな光の球体、もしくは火の玉
  • :オレンジや赤色で輝く
  • 性質:触れたものを即座に発火させる
  • 出現:クトゥグア召喚時に一緒に現れる
  • 知性:ある程度の知性を持ち、命令に従う

クトゥグアとの関係

炎の眷属は、旧支配者クトゥグアに仕える存在です。

クトゥグアが召喚されると、必ずといっていいほど大量の炎の眷属を従えて現れます。
まるで太陽の周りを回る火の粒子のように、主人を取り囲んで飛び回るんです。

単独で召喚することも可能ですが、その場合は適切な呪文と儀式が必要になります。

初出作品

炎の眷属が登場する最初の作品は、オーガスト・ダーレスの『闇に棲みつくもの』(1944年)です。

この作品では、ニャルラトホテプの拠点である「ンガイの森」を焼き払うために、クトゥグアと共に召喚されました。
炎の精たちは森全体を焼き尽くし、ニャルラトホテプの化身を退けることに成功しています。


フタグアの火の吸血鬼

原作となった短編小説

火の吸血鬼の原点は、ドナルド・ワンドレイが1933年に発表した短編「The Fire Vampires」です。

この作品はWeird Tales誌の1933年2月号に掲載されました。
クトゥルフ神話とは無関係に書かれた独立したSFホラー作品でしたが、後にリン・カーターによって神話体系に組み込まれています。

物語のあらすじ

舞台は24世紀の未来。

天文学者グスタフ・ノルビーが発見した彗星「ノルビー彗星」が地球に接近してきます。
しかし、この彗星は普通の天体ではありませんでした。

彗星の正体はクティンガと呼ばれる移動要塞。
その中には火の吸血鬼たちが住んでおり、宇宙を旅しながら知的生命体を捕食していたのです。

2327年、火の吸血鬼たちは地球に降り立ち、人々を焼き殺し始めます。
そして空に燃える文字で、こんなメッセージを残しました。

「地球人よ、おまえたちは征服された。今後永遠に我々に隷属せよ」

フタグアとは何者か

フタグア(Fthaggua) は、火の吸血鬼たちの王であり統領です。

他の火の吸血鬼が紅い稲妻のような姿をしているのに対し、フタグアだけは青い炎の姿をしています。
この色の違いには重要な意味があります。

実は、すべての火の吸血鬼はフタグアの一部なんです。

個別に見える紅い稲妻たちは、フタグアという統一生命体の「器官」や「肢体」に過ぎません。
だからフタグアが倒されると、すべての火の吸血鬼が同時に消滅してしまいます。

恐ろしい能力

フタグアの火の吸血鬼には、いくつかの恐ろしい能力があります。

1. エネルギー吸収

火の吸血鬼は知的生命体の生命エネルギーを吸い取ります。
吸収された犠牲者は、まるで人体自然発火のように燃え上がり、骨しか残りません。

2. 記憶の奪取

エネルギーだけでなく、犠牲者の記憶や知識も吸収します。
この能力のおかげで、フタグアは地球人の言語を完璧に操ることができました。
吸収した知識はすべての火の吸血鬼で共有されます。

3. 超光速移動

クティンガ彗星はフタグアの意志で操られ、光速を超えて宇宙を移動できます。
アルファ・ケンタウリから地球まで、わずか数日で到達したこともあります。


クトゥグアとは

火の旧支配者

クトゥグアは、クトゥルフ神話における火の属性を持つ旧支配者です。

地球から約27光年離れたフォーマルハウトという恒星の近くに住んでいるとされています。
顕現するときは巨大な生ける炎の姿をとり、惑星規模の大きさになることもあるとか。

創造の経緯

クトゥグアは少し特殊な経緯で生まれた神格です。

オーガスト・ダーレスは、旧支配者を四大元素(火・水・風・地)に分類しようとしました。

  • :クトゥルフ
  • :ハスター、イタカ
  • :ナイアーラトテップ
  • :?

しかし、火を司る神格がいませんでした。
そこでフランシス・レイニーの指摘を受けて、ダーレスが「穴埋め」のために創造したのがクトゥグアなのです。

ナイアーラトテップの天敵

クトゥグアの最大の特徴は、ナイアーラトテップの天敵であること。

這い寄る混沌ナイアーラトテップを退けたいとき、クトゥグアを召喚するのが有効な手段とされています。
実際、『闘に棲みつくもの』では、ナイアーラトテップの拠点を焼き払うことに成功しました。

ただし、クトゥグアを召喚するのは非常に危険です。
召喚に成功しても、火の勢力をコントロールできなければ、周囲一帯が焼け野原になってしまいます。


クトゥグアの召喚方法

召喚の呪文

クトゥグアを召喚するには、特定の条件と呪文が必要です。

条件:フォーマルハウトが水平線上に見えるとき

呪文

Ph’nglui mglw’nafh Cthugha Fomalhaut n’gha-ghaa naf’l thagn! Iä! Cthugha!

この呪文を3回唱えることで、クトゥグアを召喚できるとされています。

召喚の危険性

クトゥグアの召喚には、大きなリスクが伴います。

まず、召喚に成功すると炎の眷属も一緒に現れるため、周囲は火の海になります。
また、クトゥグアは理性的なコミュニケーションが難しい神格だとされており、術者の思い通りに動いてくれる保証はありません。

さらに、召喚に失敗するとヤマンソという別の恐ろしい存在が現れてしまうことも。
ヤマンソはクトゥグアと同等の力を持つとされ、一帯を焼き尽くすことしか考えていない危険な存在です。


TRPGでの火の吸血鬼

基本データ

クトゥルフ神話TRPGに登場する火の吸血鬼のデータを紹介します。

炎の精(Fire Vampire)

  • STR:なし(実体がない)
  • CON:8〜10程度
  • SIZ:1(非常に小さい)
  • INT:10程度(人間並みの知性)
  • POW:11〜13程度
  • DEX:17〜18(非常に素早い)
  • 移動:飛行のみ
  • 装甲:通常の物理攻撃は無効
  • 正気度喪失:0/1D4

攻撃方法

火の吸血鬼の攻撃は接触による燃焼です。

接触されると1D6+2程度の火傷ダメージを受けます。
さらに衣服や持ち物に引火する可能性もあるため、継続的なダメージにつながることも。

対処法

火の吸血鬼と戦う際のポイントをまとめました。

有効な手段

  • :大量の水をかける
  • 消火器:化学消火剤も効果あり
  • :酸素を遮断する
  • 真空:宇宙空間や真空状態

無効な手段

  • 通常の銃器や刃物
  • 殴る・蹴るなどの物理攻撃
  • 火を使った攻撃(逆効果)

注意点

火の吸血鬼は群れで行動することが多いです。
1体を倒しても、数十体が残っているなんてこともあります。
可能であれば、戦うより逃げることを優先しましょう。


フタグアの詳細データ

神格としてのフタグア

フタグアはクトゥグアの眷属の王であり、独立した神格としても扱われます。

主な設定

  • 外見:青い炎の塊、揺らめく球体
  • 住処:フォーマルハウト付近
  • 関係:クトゥグアの子、または器
  • 配下:火の吸血鬼たち

フタグアとクトゥグアの関係は複雑です。
フタグアはクトゥグアの「器」であると同時に「子」でもあるという、入れ子のような関係性が示唆されています。

TRPGでの活用法

フタグアをシナリオに登場させるなら、以下のような展開が考えられます。

  • 調査パート:不審な連続焼死事件の真相を探る
  • カルト:クトゥグアを崇拝するカルトの儀式を阻止する
  • 遭遇:予期せぬフタグア出現で逃走劇に
  • 対決:ナイアーラトテップ関連の事件でフタグアの力を借りる

火の勢力の神格たち

クトゥルフ神話の火の陣営

クトゥルフ神話で火に関連する神格をまとめました。

神格名種別特徴
クトゥグア旧支配者火の元素神、巨大な生ける炎
フタグア神格/眷属火の吸血鬼の王、青い炎
アフーム=ザー旧支配者クトゥグアの子、冷たい炎
炎の精奉仕種族光の小球、クトゥグアの配下

アフーム=ザー

アフーム=ザーは、クトゥグアがフォーマルハウトに封印された後に生み出した子です。

「冷たい炎」という異名を持ち、凍てつく冷気の中で燃える白い炎として現れます。
北極圏で崇拝され、イタカなどの「冷たきもの」たちの長でもあります。

リン・カーターが1976年の作品で設定を追加し、クトゥルフ神話の火の勢力を拡充しました。


現代メディアでの登場

ゲームでの火の吸血鬼

火の吸血鬼やクトゥグアは、様々なゲームに登場しています。

Fate/Grand Order

サーヴァント「楊貴妃」がクトゥグアとフタグアの影響を受けた設定になっています。
宝具演出では青い炎の塊が出現し、フタグアを想起させる表現が盛り込まれています。

パズル&ドラゴンズ

クトゥグアがモンスターとして実装されています。
火属性のキャラクターとして、10コンボ攻撃強化などの攻撃的な性能を持っています。

デモンベイン

ニトロプラスのゲーム『デモンベイン』シリーズにクトゥグアが登場。
日本でのクトゥグア人気向上に貢献した作品の一つです。

ライトノベル・アニメ

這いよれ!ニャル子さん

クトゥグアが「クー子」という名前で登場し、ヒロインの一人として活躍。
赤髪の少女の姿で擬人化され、火を操る能力を持っています。
この作品で火の吸血鬼やクトゥグアを知った方も多いのではないでしょうか。


まとめ

火の吸血鬼は、クトゥルフ神話の中でも独特な存在です。

ポイントをおさらいしましょう

  • 火の吸血鬼には2つのタイプがある
  • クトゥグアの炎の眷属は光の小球の群れ
  • フタグアの火の吸血鬼は紅い稲妻、フタグア自身は青い炎
  • すべての火の吸血鬼はフタグアの一部
  • 主人クトゥグアはナイアーラトテップの天敵
  • TRPGでは水や消火器が有効な対策

火の吸血鬼は、触れれば焼かれ、エネルギーと記憶を奪われるという恐ろしい存在。
しかし、適切な知識と準備があれば対処も可能です。

クトゥルフ神話TRPGのシナリオで火の吸血鬼と遭遇したときは、この記事の情報を思い出してください。
そして何より大切なのは、戦うより逃げるという選択肢を忘れないことです。

宇宙から来た炎の存在に立ち向かうのは、よほどの覚悟がない限りおすすめできません。


参考文献

  • ドナルド・ワンドレイ「The Fire Vampires」(1933年、Weird Tales)
  • オーガスト・ダーレス「闇に棲みつくもの」(1944年)
  • 『新クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム Vol.2 神格編』
  • 『クトゥルフ神話TRPG』ルールブック

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