エンキドゥとは?ギルガメシュの親友として生まれた”野生の英雄”
世界最古の物語と言われる『ギルガメシュ叙事詩』は、単なる冒険談ではなく、深い友情と命の意味について考えさせてくれる物語です。
この壮大な物語の中で、主人公ギルガメシュの人生を大きく変えた存在が「エンキドゥ(Enkidu)」です。
彼は神の手で造られ、人間らしさを学び、そして親友として死を迎える——
そんな心を揺さぶる物語を持った英雄なのです。
この記事では、エンキドゥについて以下の項目をわかりやすく解説します:
- 誕生の由来
- 姿・見た目の変化
- ギルガメシュとの友情
- エンキドゥの最期
誕生の由来

物語の始まり、ウルク(古代メソポタミアの都市)の王ギルガメシュは非常に力が強く、その力を使って民を苦しめていました。
苦しむ民の困窮の声を聞いた神々は、ギルガメシュに対抗できる存在としてエンキドゥを創ることにしました。
エンキドゥの誕生:
- 女神アルル(創造の女神)がエンキドゥを創造する
- 彼は森と野原に住む獣のような存在だった
- 人間の文明から離れた「野生の男」として暮らしていました
エンキドゥは最初、人間の言葉も文化も知らない「野生の獣に近い存在」だったのです。
神々は彼にギルガメシュの「力のバランスを取る」役割を期待していました。
姿・見た目の変化

エンキドゥは、物語に登場した時はほとんど動物のような外見でした。
最初のエンキドゥ:
- 全身が長い毛で覆われていた
- 動物たちと一緒に草を食べて暮らしていた
- 動物並みの知能
しかし、神殿の女性シャムハトとの出会いを通して「人間らしさ」を学び、次第に変化していきます。彼女と7日7晩を過ごした後、エンキドゥは人間の知恵と言葉を手に入れた。
変化後のエンキドゥ:
- 毛は整えられ、人間らしい見た目に
- 人間の食事を覚える
- 人間の知能
この変化は、エンキドゥが「自然の世界」から「人間の世界」へと足を踏み入れる重要な転機でした。
ギルガメシュとの友情

ギルガメッシュとエンキドゥ。
二人の出会いは、最初は激しい対立から始まります。
友情への道:
- ウルクの町でギルガメシュとエンキドゥが力比べの戦いを始める
- 激しい戦いの末、お互いの強さと心を認め合う
- それ以降、二人は無二の親友となる
彼らは一緒に冒険の旅に出て、多くの困難に立ち向かいます:
- 2人で多くの冒険をする
- 恐ろしい森の番人フンババ(フワワ)を倒す
- 天の牡牛(神が送った巨大な怪物)を退ける
エンキドゥとギルガメシュは単なる「戦友」ではなく、お互いを完全に理解し合う「心からの相棒」となったのです。
感動のエピソード:死と別れ

天の牡牛を倒したことで、神々の怒りを買った二人。
その罰として、エンキドゥは深刻な病にかかり、死を迎えることになります。
ギルガメシュの悲しみ:
- エンキドゥは12日間の苦しんだ後、死を迎える
- ギルガメシュは親友の死に深く打ちのめされる
- 「死とは何か」「どうすれば避けられるのか」を求めて孤独な旅に出る
エンキドゥは死の直前、最初は自分が人間になったことを呪いますが、シャマシュの言葉によって最後には死を受け入れます。
ギルガメシュは友の死を嘆いた後、2人での冒険を回想し、エンキドゥの墓碑を造り、墓に供物を捧げた
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
出自 | 神により創られた”野生の男” |
姿 | 初めは毛むくじゃらの獣人、後に人間らしく変化 |
ギルガメシュとの関係 | 敵から親友へ、命がけの冒険をともにした戦友 |
最期 | 神の罰として病に倒れ、ギルガメシュを”死の意味”の探求へと導いた |
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