夜空を見上げると無数の星が輝いていますが、もし10億年前の地球を訪れた宇宙からの訪問者がいたとしたら、どうでしょうか?
実は、クトゥルフ神話の世界では、人類が誕生するはるか昔に、高度な文明を築いた異星人が存在していました。
それが「古のもの(Elder Things)」です。
この記事では、地球の最初の支配者として君臨し、すべての生命の創造主ともいわれる神秘的な存在「古のもの」について、その驚くべき姿や特徴、壮大な歴史を分かりやすく解説します。
概要

古のもの(いにしえのもの)は、H.P.ラヴクラフトの小説『狂気の山脈にて』に初めて登場した、クトゥルフ神話を代表する地球外生命体です。
約10億年前、まだ地球が若かった時代に宇宙から飛来し、地球で最初の文明を築いた種族なんです。彼らは南極大陸を中心に巨大な石造都市を建設し、高度な科学技術を駆使して地球を支配していました。
驚くべきことに、古のものは地球上のすべての生命を創造したとされています。つまり、私たち人類も含めて、地球の生物はすべて彼らの実験から生まれたということになるんですね。
系譜
古のものは、通常の物質でできた生物で、この宇宙で自然に進化した種族です。邪神のような超自然的存在とは違って、科学的に説明可能な存在なんです。
地球での歴史
古のものの地球史は、栄光と衰退の物語でもあります:
初期(10億年前)
- 若い地球に降り立ち、南極を聖地として文明を築く
- 当初は海中に都市を建設(地球全体が海だったため)
- 奴隷種族「ショゴス」を創造して労働力として使役
全盛期
- 大陸形成後、地球全土に都市を拡大
- 高度な科学技術と芸術を発展させる
- 他の星系にも勢力を広げる
衰退期
- クトゥルフの眷属やミ=ゴとの戦争で勢力が弱体化
- ショゴスの反乱により多くの都市を失う
- 技術の退化により、宇宙飛行能力を喪失
現代
- 氷河期の到来で南極の都市に閉じ込められる
- 人工冬眠で生き残る個体がわずかに存在
- 1931年、ミスカトニック大学の調査隊が遺跡を発見
姿・見た目
古のものの姿は、地球の生物とはまったく異なる、独特で奇怪な形をしています。
基本的な体形
- 全長:約2~2.4メートル(8フィート)
- 形状:樽のような円筒形の胴体
- 構造:放射相称(ヒトデのような5方向の対称性)
身体の詳細構造
頭部(上部)
- 星形(五芒星形)の頭
- 5つの眼(管の先端に球状の器官)
- 5つの摂食管(鋭い歯を持つ)
- 思考を電波として伝える結晶体
胴体(中央)
- 5本のウミユリのような触手
- 5枚の膜状の翼(広げると約2.1メートル)
- 翼の先端に胞子嚢(繁殖用)
下部(擬足)
- 5本の不規則な脚状器官
- 老廃物排出用の管
つまり、巨大な樽にヒトデの頭と触手、そして扇のような翼を付けたような、まさに異星人らしい姿なんです。
特徴

古のものには、地球の生物にはない驚異的な能力がたくさんあります。
生物学的特徴
半植物的性質
- 無機物から栄養を摂取可能(光合成のような仕組み)
- 胞子による繁殖(性別なし)
- DNAを持たない特殊な生命体
驚異的な生命力
- 寿命はほぼ無限(事故以外では死なない)
- 真空の宇宙空間でも生存可能
- 深海の圧力にも耐える
- 氷漬け状態から復活可能
特殊能力
コミュニケーション
- テレパシーによる思考伝達
- 異次元からでも精神干渉が可能
- 人間とも精神的接触が可能
移動能力
- かつては星間飛行が可能だった(現在は退化)
- 水中・陸上・空中すべてで活動可能
- 環境適応能力が極めて高い
文化と科学技術
古のものの文明レベルは、現代人類をはるかに超えています。
建築技術
- 巨石を使った幾何学的な都市建設
- 人間には理解困難な異質な美的感覚
- 数億年経っても崩壊しない耐久性
科学技術
- 生命創造技術(地球の全生命を設計)
- 未知のエネルギー兵器
- 高度な遺伝子操作技術
社会体制
- 社会主義的な統治システム
- 家族という概念が存在しない
- 芸術と科学を重視する文化
伝承

ミスカトニック大学の南極調査(1931年)
最も有名な遭遇事例は、1931年の南極探検です。
調査隊は南極の山脈で、古のものの冷凍保存された遺体を発見しました。しかし、解凍された古のものは蘇生し、調査隊のメンバーを解剖してしまいます。生き残った隊員は、古代都市の遺跡を発見し、そこで恐ろしい真実を知ることになりました。
発見された事実
- 壁画に描かれた地球の歴史
- 人類創造の真実
- ショゴスによる古のもの虐殺の痕跡
ショゴスの反乱
古のものが創造した奴隷種族ショゴスは、やがて知能を持ち始め、主人に反旗を翻しました。この反乱が、古のもの文明衰退の決定打となったんです。
他種族との戦争
対クトゥルフの眷属
- 太平洋の支配権を巡って激戦
- 最終的に海域を分割することで和解
対ミ=ゴ(ユゴスよりのもの)
- 北半球の鉱物資源を巡る争い
- 長期にわたる消耗戦
現代への影響
実は、古のものは完全に絶滅したわけではありません。
生き残りの可能性
- 深海の都市に潜伏している個体
- 南極の地下で冬眠中の集団
- 異次元から人類を監視している一派
一部の研究によると、彼らは今でも特殊な方法で改造した人間を使って、地球を監視しているという説もあるんです。
出典
古のものが登場する主な作品:
- H.P.ラヴクラフト『狂気の山脈にて』(初出・1936年)
- H.P.ラヴクラフト『時間からの影』『魔女の家の夢』
- ブライアン・ラムレイ『狂気の地底回廊』
- コリン・ウィルソン『古きものたちの墓』
- クトゥルフ神話TRPG(ゲーム)
まとめ
古のものは、人類の想像を超えた壮大なスケールを持つ、地球の真の先住者です。
重要なポイント
- 10億年前に地球に飛来した最初の知的生命体
- 樽型の体に星形の頭を持つ異形の姿
- 地球上のすべての生命を創造した可能性
- 高度な文明を築いたが、戦争と反乱で衰退
- 現在も南極や深海で生存している可能性
- 人類とは根本的に異なる価値観と文化
もしかしたら、南極の氷の下には今も、彼らの巨大都市が眠っているかもしれません。そして、いつの日か目覚めた古のものが、自分たちが創造した人類と再会する日が来るかもしれませんね。


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