ゲームや映画で「アヌビス」「ホルス」といった名前を聞いたことはありませんか?
これらはすべて、古代エジプト神話に登場する神々の名前です。
しかも、ジャッカルの頭を持つ神、ハヤブサの頭を持つ神というように、動物の姿をした神々が数多く存在するのがエジプト神話の大きな特徴なんです。
でも、「なぜエジプトの神様は動物の姿をしているの?」「どんな動物が神聖視されていたの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
古代エジプト人は約5,000年もの間、身近な動物たちに神秘的な力を見出し、神格化して崇拝してきました。
猫やワニ、ハヤブサやフンコロガシまで、実にさまざまな動物が「聖なる存在」として大切にされていたんです。
この記事では、エジプト神話に登場する聖なる動物たちを、関連する神々とともに詳しくご紹介します。
エジプト神話における動物崇拝とは?

なぜ古代エジプト人は動物を崇拝したの?
古代エジプト人にとって、動物は単なる生き物ではありませんでした。
彼らは自然現象や人間の感情を「神々の行い」として理解し、動物こそが神々の化身(けしん)であると考えていたんです。
ナイル川のほとりで暮らしていたエジプトの人々は、そこに生息する動物たちについて深い知識を持つようになりました。
やがて、それぞれの動物が持つ特徴的な能力や行動に、神秘的な意味を見出すようになったのです。
動物崇拝の主な理由をまとめてみましょう。
動物が持つ魅力的な特性
- 力強さ:ライオンの威厳、雄牛のパワー
- 鋭い感覚:ハヤブサの視力、ジャッカルの嗅覚
- 保護本能:ワニが子どもを守る姿
- 再生・変化:蛇の脱皮、フンコロガシの生態
- 神秘性:猫の不思議な行動
動物と神々の関係
エジプト神話では、神々は3つのパターンで表現されました。
- 完全な動物の姿:ハヤブサそのもの、コブラそのもの
- 人間の体に動物の頭:アヌビス(ジャッカルの頭+人間の体)
- 動物の特徴を持つ人間:ハトホル(牛の角や耳を持つ女性)
このように動物の頭を人間の体にのせることで、神々は人間世界と交流しながらも、動物の特性を通じてその性格や能力を視覚的に表現していたんです。
重要なポイント
古代エジプト人は、動物そのものを神として崇拝していたわけではありません。
崇拝の対象は「動物の姿をとった神々」であり、動物は神と人間をつなぐ「使者」のような役割を果たしていました。
それでは、具体的にどんな動物が聖なる存在とされていたのか、見ていきましょう。
鳥類の聖なる動物たち
古代エジプトにおいて、鳥は天空を自由に飛び回ることから、天と地をつなぐ神聖な存在として特に重視されました。
ハヤブサ(隼)──王権と太陽の象徴
関連する神々
なぜハヤブサが神聖視されたの?
ハヤブサは空高く飛び、鋭い目で獲物を捉える猛禽類です。
古代エジプト人は、この姿に王の威厳と太陽の力を重ね合わせました。
最も有名なのは天空の神ホルスです。
ホルスはハヤブサの頭を持ち、翼を広げて地上を守る姿で描かれることが多く、ファラオ(王)の守護神として崇拝されました。
実際、「ホルス」という名前は「遠くにいる者」を意味し、高く飛ぶ鳥のイメージと結びついています。
太陽神ラーもまたハヤブサの姿で描かれることがあり、頭の上に太陽円盤を乗せた姿が有名です。
ラーとホルスは後に融合し、「ラー・ホルアクティ」という新たな神格となりました。
現代への影響
ツタンカーメン王の墓から出土した胸当てには、翼を広げたハヤブサが描かれています。
これは王を守護するホルスの象徴として、今でもエジプトを代表するイメージの一つです。
トキ──知恵と書記の守護者
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| トト | Thoth | 知恵の神、書記の守護者、月の神 |
なぜトキが神聖視されたの?
トキは長いくちばしと優雅な姿を持つ水鳥です。
古代エジプトでは、トキの頭を持つトト神として神格化されました。
トト神は知恵、書記、時間、月を司る非常に重要な神です。
ヘルモポリスという都市を中心に広く信仰され、王族から一般市民まで幅広い層に崇拝されていました。
興味深いことに、トキとヒヒ(後述)を傷つけた者は死刑に処されたという記録が残っています。
それほどトト神への信仰は厚かったのです。
トト神の主な役割
- 文字と知識の発明者
- 書記官たちの守護神
- 時間と暦の管理者
- 冥界での裁判の記録係
ハゲワシ──上エジプトの守護女神
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| ネクベト | Nekhbet | 上エジプトの守護女神 |
なぜハゲワシが神聖視されたの?
ハゲワシは死肉を食べる鳥として知られますが、古代エジプトでは母性と保護の象徴とされていました。
なぜなら、ハゲワシは子どもを大切に育てる習性があったからです。
ネクベトは白い王冠をかぶったハゲワシの姿で表される女神で、上エジプト(南部)の守護神として紀元前3200年頃から崇拝されていました。
ファラオの頭飾りには、下エジプトを守るコブラの女神ワジェトとともに、ネクベトがよく描かれています。
アオサギ(ベンヌ)──不死鳥フェニックスの原型
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| ベンヌ | Bennu | 太陽と再生の霊鳥 |
驚くべき事実
ギリシャ神話で有名な不死鳥フェニックスの原型は、実はエジプト神話のベンヌだったと考えられています。
ベンヌはアオサギの姿で表され、太陽と再生を象徴する聖なる鳥でした。
ヘリオポリスで崇拝され、ラー神とオシリス神の両方の魂(バー)と関連づけられています。
創世神話では、ベンヌは原初の丘に最初に降り立った鳥とされ、世界の始まりを象徴する存在だったのです。
ガチョウ──大地の神の化身
関連する神
ガチョウは大地の神ゲブの聖なる動物でした。
ゲブは「偉大なガチョウ」とも呼ばれ、ガチョウの姿で表されることもありました。
女神イシスは「ガチョウの卵」と表現されることがあり、これはゲブの娘であることを示しています。
哺乳類の聖なる動物たち

猫──家庭と豊穣の守護者
関連する神
なぜ猫が神聖視されたの?
古代エジプトと言えば猫、というイメージを持つ方も多いでしょう。
実際、猫は最も愛された聖なる動物の一つでした。
猫の女神バステトは、下エジプトのブバスティスを中心に信仰されていました。
当初はライオンの頭を持つ獰猛な姿で描かれていましたが、時代とともに優しい家猫の姿へと変化していきます。
これは猫の持つ「凶暴さ」と「親しみやすさ」という二面性を表現していると言われています。
また、太陽神ラーの化身として「聖なる猫マウ」が登場し、邪悪な蛇アポフィスを退治する姿で描かれることもありました。
猫を大切にした古代エジプト人
- 家族の一員として猫を飼育
- 猫が死ぬと家族全員が眉毛を剃って喪に服した
- 猫のミイラが大量に発見されている
- 猫を殺した者は厳しく罰せられた
ライオン──戦争と治癒の力
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| セクメト | Sekhmet | 戦争と病気の女神、治癒の神 |
| アケル | Aker | 大地の神、二重のスフィンクス |
| マヘス | Maahes | 戦争の神 |
ライオンは力強さ、王権、戦争、治癒、美など、多くの属性と結びつけられました。
セクメトはライオンの頭を持つ女神で、メンフィスで重要視されていました。
彼女は戦争と破壊をもたらす恐ろしい側面を持つ一方で、病気を治す力も持っていたのです。
この二面性は、ライオンの持つ「破壊」と「保護」の両方の力を象徴しています。
大地の神アケルは二重のスフィンクスとして描かれ、太陽が冥界に入り、そこから出てくるのを守っていると信じられていました。
ジャッカル──死者の世界の案内人
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| アヌビス | Anubis | 死者の神、ミイラ作りの神 |
| ウェプワウェト | Wepwawet | 葬祭の神、「道を開く者」 |
なぜジャッカルが死と結びついたの?
ジャッカルは砂漠に住み、墓の周りをうろついて死体を掘り起こすこともある動物でした。
古代エジプト人は、この習性に対する防御策として、ジャッカルを死者の守護神としたのです。
アヌビスはジャッカルの頭を持つ最も有名な神で、ミイラ作りと埋葬儀式を司りました。
彼は死者を冥界へと導き、冥界でオシリス神に仕える役割を担っています。
「なぜ死体を荒らす動物が守護神なの?」と疑問に思うかもしれません。
これは「ジャッカルの力を味方につければ、逆に墓を守ってくれる」という発想だったと考えられています。
牛と雄牛──豊穣と力の象徴
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 | 動物 |
|---|---|---|---|
| ハトホル | Hathor | 愛、美、豊穣の女神 | 牝牛 |
| イシス | Isis | 魔法と母性の女神 | 牝牛 |
| アピス | Apis | プタハ神とオシリス神の化身 | 雄牛 |
| クヌム | Khnum | 創造の神、ろくろで人間を作った | 雄羊 |
| アメン | Amun | 太陽神 | 雄羊 |
牛は古代エジプトで最も重要な家畜の一つであり、神聖視されていました。
牝牛の女神たち
牝牛は女性の豊穣やファラオの母と結びつけられました。
ハトホル、イシス、ヌトなどの女神は、牛の角や耳を持つ姿で描かれることがあります。
聖なる雄牛アピス
メンフィスでは、特定の模様を持つ雄牛が「アピス」として崇拝されました。
アピスとして認定された雄牛は神殿で大切に飼育され、死後はサッカラに葬られました。
その後、新たなアピスとなる牛探しが始まるという独特の信仰が行われていたのです。
ヒヒ(ヒヒザル)──月と知恵の使者
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| トト | Thoth | 知恵の神、月の神 |
| コンス | Khonsu | 若き月の神 |
| ヘジュウェル | Hedjwer | 初期王朝時代のヒヒの神 |
ヒヒは知恵の神トトのもう一つの聖なる動物です(トキと並んで)。
両方の神格が月と関連していることから、ヒヒと月の結びつきが生まれました。
ホルスの息子の一人で、肺を守るカノプス壺を守護するハピは、ヒヒの頭を持っています。
初期王朝時代には「偉大なる白き者」を意味するヘジュウェルというヒヒの神も存在し、後にトト神と密接に結びつくようになりました。
冥界での裁判の場面では、トト神がヒヒの姿で天秤の上に座り、死者の心臓を量る様子を見守っている図像が描かれています。
カバ──出産と豊穣の守護者
関連する神
カバは古代エジプトで二面性を持つ動物でした。
雌のカバは保護的で養育的な存在とみなされ、妊婦や出産を守る女神タウェレトとして神格化されました。
タウェレトは最も人気のある家庭の守護神の一つで、お守りやアミュレットが数多く作られています。
一方、雄のカバは危険で破壊的な存在とされ、混沌の神セトと結びつけられました。
ホルスとセトの戦いでは、セトがカバに変身したという神話があります。
爬虫類・両生類の聖なる動物たち
ワニ──ナイル川の力
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| ソベク | Sobek | 水と豊穣の神、ナイルの守護者 |
| アムムト | Ammut | 死者の心臓を食べる悪魔 |
なぜワニが神聖視されたの?
ワニはナイル川で最も危険な生物の一つでした。
人間を襲う獰猛な動物として恐れられていた一方で、その力強さは敵を打ち払う能力があると信じられていました。
ソベクはワニの頭を持つ神で、古王国時代からローマ時代まで長く崇拝されました。
主な信仰の中心地は、ファイユーム地方のシェデト(ギリシャ名:クロコディロポリス)と、上エジプトのコム・オンボ神殿です。
ソベクを祀る神殿には、生きたワニを飼育する池が設けられていました。
これらのワニは大切に世話され、死後はミイラにされて埋葬されたのです。
ワニに対する二つの見方
- 肯定的:ナイル川の氾濫を司り、豊穣をもたらす
- 否定的:人間を襲う危険な存在、混沌の象徴
コブラ(ウラエウス)──王権と保護の象徴
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| ワジェト | Wadjet | 下エジプトの守護女神 |
| メレトセゲル | Meretseger | テーベの墓地の守護女神 |
| レネヌテト | Renenutet | 収穫と農業の女神 |
コブラはエジプト神話において最も重要な蛇です。
ワジェトは立ち上がったコブラの姿で表される女神で、下エジプト(北部)の守護神でした。
ファラオの額に描かれる「ウラエウス」(立ち上がるコブラ)は、まさにワジェトの象徴です。
ワジェトには敵を攻撃する力があると信じられ、王を脅かす者に毒を吐きかけて守ると考えられていました。
また、幼いホルス神を育て、母イシスとともにセト神から守ったという神話も残っています。
邪悪な蛇アポフィス──混沌と闘争の象徴
関連する存在
| 名前 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| アポフィス(アペプ) | Apep/Apophis | 混沌の大蛇、ラー神の敵 |
| メヘン | Mehen | ラーの太陽の船を守る蛇神 |
すべての蛇が善なる存在だったわけではありません。
アポフィス(アペプ)は巨大な蛇であり、太陽神ラーの永遠の敵です。
毎晩、ラーが太陽の船で冥界を旅するとき、アポフィスは船を呑み込もうと襲いかかります。
毎朝の日の出は、ラー神がアポフィスに勝利した証とされていました。
この戦いは秩序(マアト)と混沌(イスフェト)の永遠の闘いを象徴しています。
一方、メヘンはラーの太陽の船を守る善良な蛇神で、船の周りに巻きついてラーを保護していました。
カエル──豊穣と再生の象徴
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| ヘケト | Heqet | 出産と豊穣の女神 |
| オグドアド | Ogdoad | 原初の八柱の神々 |
カエルはナイル川に大量に生息していたため、豊穣と多産の象徴とされました。
ヘケトはカエルの頭を持つ女神、またはカエルそのものとして描かれ、出産を司りました。
妊婦たちはヘケト女神に安産を祈ったのです。
また、ヘルモポリスの創世神話に登場する「オグドアド」と呼ばれる原初の八柱の神々のうち、男性の四柱(ヌン、アメン、ヘフ、ケク)はすべてカエルの神でした。
昆虫の聖なる動物たち

スカラベ(フンコロガシ)──再生と太陽の象徴
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| ケプリ | Khepri | 朝日の神、創造と再生の神 |
なぜフンコロガシが神聖視されたの?
現代人からすると意外かもしれませんが、フンコロガシ(スカラベ)は古代エジプトで最も重要な聖なる動物の一つでした。
フンコロガシは動物の糞を丸めて球を作り、地面を転がして運びます。
古代エジプト人は、この姿を見て「ケプリ神が太陽を空に転がしている」と想像したのです。
また、フンコロガシは糞球の中に卵を産み、そこから新しい命が生まれます。
古代の人々はこれを「何もないところから生命が誕生した」と解釈し、自己創造と再生の象徴としました。
ケプリ神の役割
| 時間帯 | 神 | 意味 |
|---|---|---|
| 朝 | ケプリ | 昇る太陽、創造 |
| 昼 | ラー | 輝く太陽、力 |
| 夕 | アトゥム | 沈む太陽、完成 |
このように、太陽の一日の動きを三柱の神で表現していたのです。
スカラベのアミュレット
スカラベは古代エジプトで最も重要なお守りでした。
キリスト教徒にとっての十字架と同じくらい、エジプト人にとってスカラベは神聖だったのです。
- 護符:生きている間の守護
- 心臓スカラベ:ミイラの胸に置き、死後の再生を願う
- 印章:公式文書の封印に使用
スカラベのお守りは青や緑色で作られることが多く、これは天空やナイル川を象徴する色でした。
サソリ──毒と治療の両面を持つ存在
関連する神
| 神名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| セルケト | Serqet | サソリの女神、毒と治療を司る |
| シェド | Shed | 救世主、サソリの毒から守る神 |
砂漠地帯に住むエジプト人にとって、サソリは最も恐ろしい生物の一つでした。
セルケトは頭にサソリを乗せた女神として描かれ、毒をコントロールする力を持つとされました。
つまり、毒を与える力と同時に、毒を治療する力も持っていたのです。
この女神は特に呪術を専門とする医療神官たちから崇拝されていました。
魚類の聖なる動物たち
エジプト神話において、魚に神聖性を見出すことは世界的にも珍しいとされています。
実際、魚を神格化した例は比較的少ないのが特徴です。
聖なる魚たち
関連する魚と役割
| 名前 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| アブトゥ | Abtu | ラーの太陽の船を先導する聖なる魚 |
| アナト | Anat | 聖なる魚 |
| メジェド | Medjed | オシリスの一部を食べた聖なるエレファントフィッシュ |
| レム | Rem | 「泣く者」、太陽神ラーの側面 |
魚は太陽神ラーの船が冥界を旅する際、船の前を泳いでラーの敵であるアポフィス(水蛇)を見張っていたと信じられていました。
特にティラピアとアブジュが神聖視されていたようです。
興味深い矛盾
魚は一方で「不浄な生き物」ともみなされていました。
オシリス神がセト神にバラバラにされたとき、その一部を魚が食べたという神話があるためです。
そのため、ファラオや神官は魚を食べることを禁じられていたとする記録もあります。
エジプト神話の聖なる動物 完全一覧
ここでは、エジプト神話に登場する聖なる動物を網羅的にまとめました。
鳥類
| 動物 | 関連する神 | 象徴・役割 |
|---|---|---|
| ハヤブサ | ホルス、ラー、ソカル | 王権、太陽、保護 |
| トキ | トト | 知恵、書記、月 |
| ハゲワシ | ネクベト | 上エジプトの守護、母性 |
| アオサギ | ベンヌ | 太陽、再生、フェニックスの原型 |
| ガチョウ | ゲブ、アメン | 大地、創造 |
哺乳類
| 動物 | 関連する神 | 象徴・役割 |
|---|---|---|
| 猫 | バステト、セクメト | 家庭、豊穣、保護 |
| ライオン | セクメト、アケル | 戦争、治癒、王権 |
| ジャッカル | アヌビス、ウェプワウェト | 死者の守護、ミイラ作り |
| 牝牛 | ハトホル、イシス、ヌト | 母性、豊穣、天空 |
| 雄牛 | アピス、アトゥム | 力、王権、創造 |
| 雄羊 | アメン、クヌム、バネブジェデト | 太陽、創造、豊穣 |
| ヒヒ | トト、コンス | 知恵、月 |
| カバ(雌) | タウェレト | 出産、保護 |
| カバ(雄) | セト | 混沌、危険 |
| 犬 | アヌビス | 忠誠、死者の案内 |
爬虫類・両生類
| 動物 | 関連する神 | 象徴・役割 |
|---|---|---|
| ワニ | ソベク | ナイル川、豊穣、力 |
| コブラ | ワジェト | 王権、保護、下エジプト |
| 蛇(善) | メヘン | ラーの保護 |
| 蛇(悪) | アポフィス | 混沌、闘争 |
| カエル | ヘケト | 出産、豊穣、再生 |
昆虫・その他
| 動物 | 関連する神 | 象徴・役割 |
|---|---|---|
| スカラベ | ケプリ | 太陽、再生、創造 |
| サソリ | セルケト | 毒、治療 |
神話上の生き物
| 名前 | 読み方 | 特徴 |
|---|---|---|
| スフィンクス | Sphinx | ライオンの体と人間の頭 |
| アケクー | Akhekh | 翼を持つオリックスと鳥の合成獣 |
| シャ | Sha | セト神の聖獣、正体不明の動物 |
| グリフィン(アクセクス) | Axex | エジプト版グリフィン |
動物のミイラ──神への捧げもの
古代エジプトでは、人間だけでなく動物もミイラにされていました。
動物ミイラの目的
- 神への奉納:神殿を訪れた人々が、神への捧げものとして動物のミイラを購入
- 聖なる動物の埋葬:神の化身とされた動物が死んだ後の丁重な埋葬
- ペットの埋葬:愛する家族の一員として、来世でも一緒にいられるように
- 食料として:来世で人間や聖なる動物が食べるため
発掘調査では、数百万体もの動物ミイラが発見されています。
猫、犬、トキ、ワニ、ヒヒ、ハヤブサなど、実にさまざまな動物がミイラ化されていたのです。
現代文化への影響
ゲーム・アニメ・映画
エジプト神話の動物と神々は、現代のエンターテイメントでも大人気です。
- 遊戯王:オシリスの天空竜、ラーの翼神竜など
- ペルソナシリーズ:アヌビス、トト、ホルスなどがペルソナとして登場
- Fate/Grand Order:メジェド様が人気キャラクターに
- パズドラ:エジプト神シリーズとして多数登場
- アサシンクリード オリジンズ:古代エジプトを舞台に神話的要素が満載
ブランド・シンボル
- スカラベ:ジュエリーや装飾品のモチーフとして世界中で人気
- ウラエウス(コブラ):権力と保護の象徴として使用
- アンク(生命の鍵):ファッションアイテムとして
まとめ
エジプト神話の動物たちは、単なる昔の迷信ではありません。
約5,000年もの長い歴史の中で、古代エジプト人は身近な動物たちに神聖な意味を見出し、それを通じて世界を理解しようとしました。
エジプトの聖なる動物が象徴するもの
- ハヤブサ:天空を支配する王権の威厳
- 猫:家庭を守る愛情と保護
- ジャッカル:死後の世界への案内と守護
- スカラベ:太陽のように毎日生まれ変わる再生の力
- コブラ:敵を打ち倒す王の力
- ワニ:ナイル川の恵みと恐怖
これらの動物たちは、エジプトの神殿や墓に今も描かれ、私たちに古代人の世界観を伝えています。
興味を持った神様や動物がいたら、ぜひエジプトの神殿や博物館を訪れてみてください。
壁画や彫刻の中に、何千年も前の人々の祈りや願いが込められているのを感じられるはずです。


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