七福神といえば、福をもたらす7柱の神々です。
その中で唯一、日本出身とされるのが「えびす(恵比須/戎/蛭子)神」です。
釣竿を持ち、鯛を抱える姿で親しまれているえびす神ですが、実はその正体については複数の説が存在することをご存じでしょうか?
この記事では、「七福神のえびすとは誰なのか?」という謎を、主な候補とされる2柱の神を通して、わかりやすく解説します。
えびす神の正体がはっきりしない理由
えびす神は古くから「商売繁盛の神」「漁業の守護神」として信仰されてきましたが、その神格は地域や時代によって大きく変化してきました。
これは、日本の神話に登場する神々が複数の神格と融合・変化してきた歴史を反映しています。
えびす神の正体として、主に以下の2つの神が候補として挙げられています。
ヒルコ説|最古の”えびす”

ヒルコとは?
古事記・日本書紀に登場する、イザナギとイザナミの最初の子です。
体が不完全だったため、葦の船(あしのふね)に乗せられて海に流されてしまった悲しい運命の神です。
なぜえびすと考えられるのか?
- 海に流され、漂着する → 海からやってくるえびすと酷似
- 海から福をもたらす神へと信仰が変化
古来の「流れ着く神」「海からくる福神」のイメージが、えびす神の信仰と重なったと考えられています。
コトシロヌシ説|出雲神話の商売神

コトシロヌシとは?
オオクニヌシの息子であり、国譲り神話に登場する神様です。
なぜえびすと考えられるのか?
- 釣りをしていた → 国譲りで釣りをしていた
- 大黒天:えびすと同一視される大黒天が、コトシロヌシの父オオクニヌシと習合
神話上で釣りをしていたことや、父親が大黒天と習合していることからえびす神と関連づけられた。
現代の「船の上で鯛を持っている=えびす神」というイメージは、この事代主神から強い影響を受けているといわれています。
現代のえびす信仰:民間の「福の神」へ

現在のえびす信仰は、次のような特徴を持っています:
- 鯛を抱え、釣竿を持つ福々しい姿
- 商売繁盛・開運招福の象徴として広く親しまれている
- 「えびす講」「十日えびす」などの年中行事を通じて信仰されている
特に「十日えびす(とおかえびす)」は、毎年1月10日前後に行われるえびす祭で、関西地方(特に西宮神社・今宮戎神社など)では大変な賑わいを見せます。
まとめ
えびす神とされる神には、主に2つの候補がある。
- 海に流された悲劇の神「ヒルコ」
- 国譲りに登場する託宣と海の神「コトシロヌシ」
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