【夢の深層に広がる異世界】クトゥルフ神話の「ドリームランド」とは?神秘の夢の国を徹底解説

神話・歴史・伝承

夜、深い眠りについたとき、あなたはどんな夢を見るでしょうか?

普通の夢なら目覚めれば消えてしまいますが、クトゥルフ神話の世界には、夢のさらに奥深くに実在する異世界があるんです。

その名は「ドリームランド(夢の国)」。空には光り輝く都市が浮かび、船が星の間を行き交う、神秘と驚異に満ちた幻想世界です。この記事では、夢見る者だけが辿り着けるドリームランドの全貌をご紹介します。

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概要

ドリームランドは、クトゥルフ神話に登場する、夢の深層に存在する異世界です。

単なる夢の中の光景ではなく、実際に存在する別の次元だとされています。目覚めの世界(私たちが暮らす現実世界)とは時間の流れが異なり、独自の都市、自然、住民、そして神々が存在する完全な世界なんですね。

重要なのは、ただ眠るだけでは辿り着けないということ。特別な方法を知る「夢見る人(夢見人)」だけが、この神秘の国を訪れることができます。

ドリームランドは、作家H・P・ラヴクラフトが1918年から1932年にかけて執筆した作品群に登場し、クトゥルフ神話の中でも独特な「ドリームランド物語」というジャンルを形成しています。

ドリームランドへの行き方

ドリームランドに辿り着くには、複雑で危険な手順を踏む必要があります。

七十段の階段と炎の神殿

まず、浅い眠りの中で「階段」を見つけなければなりません。この階段を七十段下りていくと、「炎の神殿」に到着します。

神殿には、古代エジプト風の冠をかぶった二人の神官、ナシュトカマン=ターが待っています。彼らに認められると、次の段階へ進めるんです。

七百段の階段と深き眠りの門

神官たちに見送られた後、さらに七百段もの階段を下ります。合計すると七百七十段という途方もない数ですね。

この長い階段を降り切ると、「深き眠りの門」に到達します。この門を越えることができれば、ついにドリームランドの入口、魔法の森が目の前に広がるんです。

魔法の森の危険

しかし、ドリームランドに入っても安心できません。最初に辿り着く魔法の森は、ズグ族という実体のない想念体が棲む危険な場所。小さな声で囁きかけてきて、多くの訪問者がここで消息を絶っているそうです。

この難関を乗り越えた者だけが、真のドリームランドへと足を踏み入れることができます。

ドリームランドの地理

ドリームランドは広大で、大きく分けて四つの地域に分かれています。

西方地域

ドリームランドの玄関口である「深き眠りの門」があるのが西方です。ここには重要な都市がいくつもあります。

ダイラス=リーンは、ドリームランド最大級の交易都市。港町として栄え、多くの商人たちで賑わっています。

ウルタールは「猫を殺してはならない」という法律がある独特な町。猫の神殿があり、猫たちが守られている場所なんです。

イラーネクは砂漠にある交易の中心地で、フラニスも商業が盛んな都市として知られています。

そして伝説の地ムナールもこの地域にあります。ムナールで産出される灰白色の石は、旧神の印を刻むのに使われる特別な石材なんですね。また、古代都市サルナスの廃墟もここにあり、水蜥蜴の神ボクルグの呪いで滅んだ都市として語り継がれています。

東方地域

東方には、夢見人の中で最も偉大とされるクラネスが夢で創造した都市セレファイスがあります。クラネスはこの都市の王として君臨しているんです。

セレファイスの彼方には、危険に満ちた禁断の地が広がっていると言われています。

南方地域

南方にはオリアブ島という島があり、東方のダイラス=リーンから船で行くことができます。

また、『白い帆船』という物語で語られる楽園の地も、この南方に存在するとされています。

北方地域

最も恐れられているのが北方のレン高原です。

ここには角と蹄を持つレン人という亜人種族や、紫色の巨大蜘蛛が住んでいます。レン人は浅黒い肌にターバンを巻いた商人として知られていますが、実は月の裏側に住むムーン=ビーストという怪物に征服されて奴隷となっているんです。

レン高原のさらに彼方には、神秘の山カダスがあります。カダスの山頂には、「大いなるもの(大地の神々)」と呼ばれる神族の居城が築かれており、美形の人間のような姿をした神々が住んでいるとされています。

ドリームランドの不思議な特徴

ドリームランドは目覚めの世界とは違う、独特の特徴を持っています。

空飛ぶ都市と星の船

最も驚くべきは、空中に浮かぶ都市が存在すること。重力を無視して空に輝く都市があり、そこへ向かうガレー船が星々の間を航行しているんです。これはまさに夢の世界ならではの光景ですね。

時間の流れの違い

ドリームランドと目覚めの世界では、時間の流れ方が異なります。ドリームランドで何日も過ごしても、目覚めの世界ではほんの数時間しか経っていないこともあるんです。

夢の中でも夢を見る

不思議なことに、ドリームランドにいる間も夢を見ます。また、恐ろしいものに出くわすと気絶することもあるそうです。夢の中で夢を見て、夢の中で気絶する…なんだか頭が混乱しそうですね。

地下世界の存在

ドリームランドの地下には広大な空間が広がっており、様々な怪物が棲息しています。

ガグという四本腕の毛むくじゃらの巨人や、日光を浴びると死んでしまうガストという跳躍生物などが地下世界に住んでいます。食屍鬼(グール)も地下のナスの谷に住み、ドリームランドと目覚めの世界を行き来しているんです。

ドリームランドの神々

ドリームランドには独自の神々が存在します。

大いなるもの(大地の神々)

ドリームランドの都市の神殿に祀られている神々です。美しい人間のような姿をしていますが、人間に直接姿を見られることを嫌います。

カダスの都に住み、ノーデンスナイアーラトテップという強大な存在の庇護下にあります。代表的な神として、セレファイスの主神ナス=ホルタースがいます。

蕃神(ばんしん)

外宇宙から来た、盲目で白痴の異形の神々です。もし人間が「大いなるもの」に干渉しようとすると、蕃神が恐ろしい罰を下すとされています。

ナイアーラトテップ

人間から崇拝されてはいませんが、多くの怪物たちが仕えています。「大いなるもの」を保護し、近づこうとする人間を妨害する役割を担っているんです。

月の裏側に住むムーン=ビーストという、ヒキガエルのような醜悪な生物も、ナイアーラトテップの奉仕種族です。

ノーデンス

「大いなる深淵」に君臨する神で、「大いなるもの」を保護しています。夜鬼(ナイトゴーント)という翼を持つ黒い生物を使役して、神の姿を見ようとする人間を警告します。

興味深いことに、ノーデンスはナイアーラトテップと敵対関係にあり、人間には友好的な存在とされています。

ボクルグ

水蜥蜴の姿をした神で、古代都市サルナスを呪いで滅ぼしたことで知られています。その呪いを恐れた人々から礼拝されるようになりました。

ドリームランドの生物

ドリームランドには、目覚めの世界では見られない奇妙な生物が多数生息しています。

夜鬼(ナイトゴーント)

ノーデンスに仕える翼を持つ黒い生物です。ングラネク山を飛び回り、神々の顔が彫刻された岩に近づく人間を妨害します。

邪神に仕えるシャンタク鳥という巨大な鳥から恐れられているほど強力な存在なんです。

シャンタク鳥

ナイアーラトテップの奉仕種族で、北のレン高原近くに生息する巨鳥です。馬のような頭と鱗に覆われた体を持ち、レン人たちが乗馬として使っています。卵は食用にもなるそうです。

ドリームランドの猫は特別な存在です。ウルタールという町には猫を殺してはならないという法律があり、猫の神殿まであります。

猫将軍は人語を解し、夢見人ランドルフ・カーターを助けたという伝説があります。猫たちは外宇宙の気配を嫌い、時には土星の猫という巨大な敵と戦うこともあるんです。

土星の猫

ドリームランドの土星から飛来する、地球の猫とは全く異なる生物です。体が複雑な模様の小さな宝石で形成されており、何らかの理由で地球の猫に敵意を示します。

月を中継地として地球にやって来て、猫同士の壮絶な戦いを繰り広げるそうです。

ドリームランドの太陽系

興味深いことに、ドリームランドには目覚めの世界と同じように太陽系が存在します。

ドリームランドの月

月の裏側にはムーン=ビーストの都市があり、彼らは地球と貿易を行っています。レン人を奴隷として使役し、黒いガレー船で地上にやって来るんです。

また、土星の猫が地球に来る際の中継地点としても使われています。

ドリームランドの土星

土星には前述の「土星の猫」が生息しており、ムーン=ビーストと同盟関係にあるとされています。

他の星々へ

実は、地球のドリームランドだけでなく、フォーマルハウトアルデバランという遠い星にもそれぞれのドリームランドが存在すると言われています。

しかし、他の星のドリームランドを訪れることは極めて困難で、過去に試みて生還したのはわずか3人だけ。しかもその内の2人は完全に発狂していたそうです。唯一正気を保ったのが、セレファイスの王クラネスでした。

夢見る人たち

ドリームランドを訪れることができる「夢見る人」たちは特別な存在です。

ランドルフ・カーター

最も有名な夢見る人がランドルフ・カーターというボストンの夢想家です。彼はドリームランドの様々な場所を探索し、火星の地表に巨大建造物の廃墟が点在するのを目撃したとも語っています。

カーターは「夕映えの都」という伝説の都市を探し求めて、カダスへの危険な旅に出たことでも知られています。

クラネス王

クラネスは夢見る人の中で最も偉大な人物とされています。彼は自らの夢で都市セレファイスを創造し、その王となりました。

目覚めの世界では別の名を持っていましたが、ドリームランドでは「クラネス」という名で知られています。他の星のドリームランドを訪れて唯一正気のまま帰還した人物でもあるんです。

夢見人の特権と危険

夢見人たちは、目覚めの世界とドリームランドを自由に行き来できるという特権を持っています。しかし、それには大きな危険も伴います。

ドリームランドで死んでしまうと、目覚めの世界でも死んでしまう可能性があるんです。また、あまりにも深くドリームランドに没入しすぎると、目覚めの世界に戻れなくなってしまうこともあるそうです。

遠い星の大図書館

ドリームランドの話からは少し離れますが、関連する重要な場所としてセラエノの大図書館があります。

セラエノは、おうし座のプレアデス星団にある恒星の一つ。その第4惑星には、黒い石のブロックで造られた巨大な神殿のような建物があります。

この大図書館には、旧支配者が敵対者である旧き神から盗み出した知識のすべてが納められているとされています。壁には織物のような模様が並び、忘れ去られた言語で記された異様な本が所狭しと並んでいるんです。

興味深いことに、この図書館はハスターという旧支配者の支配地に含まれるため、クトゥルフから逃れる者たちの緊急避難場所として使われることもあります。

図書館に辿り着くには、金色の蜂蜜酒を飲む必要があります。この酒を飲むと、肉体を残して精神だけが図書館にいる円錐体の巨大生物へと転移されるそうです。ただし、元の肉体に戻れる保証はない、まさに地獄の片道切符なんですね。

まとめ

ドリームランドは、夢の深層に広がる神秘と驚異に満ちた異世界です。

重要なポイント

  • 単なる夢ではなく、実在する別次元の世界
  • 特別な方法を知る「夢見る人」だけが訪れることができる
  • 七十段と七百段の階段を降り、門を越える必要がある
  • 西・東・南・北の四つの地域に分かれている
  • 独自の神々、生物、都市、自然が存在する
  • 空中都市や星の船など、現実ではありえない光景が広がる
  • 地下世界や月、さらに土星までつながっている
  • 他の星にもそれぞれのドリームランドが存在する

もしあなたが深い眠りにつき、長い階段を見つけたなら…もしかしたら、それはドリームランドへの入口かもしれません。ただし、そこには神秘と同じくらい多くの危険が待っていることも、忘れないでくださいね。

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