クトゥルフ神話の独立種族一覧|神に仕えない異形の種族を徹底解説

神話・歴史・伝承

クトゥルフ神話って知っていますか?

H.P.ラヴクラフト(1890-1937)が創造し、無数の作家たちが拡張してきた宇宙的恐怖の神話体系です。

この神話には、邪神に仕える「奉仕種族」だけでなく、特定の神格に仕えない独自の存在「独立種族」 が数多く登場します。
彼らは神々と対等に渡り合ったり、時には旧支配者と戦争を繰り広げたりする強大な種族たちなんです。

この記事では、クトゥルフ神話TRPGでも重要な役割を果たす独立種族について、初心者にもわかりやすく解説していきます。


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独立種族とは?奉仕種族との違い

クトゥルフ神話の種族分類

クトゥルフ神話に登場する種族は、TRPGでは主に以下のように分類されています。

神話生物の主な分類

  • 奉仕種族(Servitor Races):特定の神格に仕える種族
  • 独立種族(Independent Races):特定の神格に仕えない種族
  • 唯一の存在(Unique Entities):種族ではなく個体として存在するもの

奉仕種族の代表例は「深きもの」や「ビヤーキー」など。
彼らはクトゥルフやハスターといった邪神に忠誠を誓っています。

一方、独立種族は 種族全体として特定の神格に従属していません
個々の一員が神格を崇拝することはあっても、種族としては独立した存在なんです。

上級と下級の区分

独立種族はさらに危険度によって分けられます。

  • 上級独立種族:強大な力と高い知性を持つ
  • 下級独立種族:比較的人間に近い能力を持つ

それでは、代表的な独立種族を見ていきましょう。


上級独立種族──人類を凌駕する存在たち

イスの大いなる種族(Great Race of Yith)

基本情報

  • 別名:イスの偉大なる種族、イス人
  • 初出:『時間からの影』(1936年)
  • 創造者:H.P.ラヴクラフト

どんな種族?

時間の秘密を解き明かした 唯一の種族 として知られています。
その功績から「偉大なる」という称号が付けられました。

外見は高さ約3メートルの円錐形の体を持ち、虹色の鱗に覆われています。
先端からは4本の伸縮自在な器官が伸びており、そのうち2本には鋏が、1本にはトランペット状の器官が、残り1本には球状の感覚器官が付いているんです。

特筆すべき能力

イス人の最大の特徴は 精神交換 の能力。
彼らは他の生命体と精神を入れ替えることで、時間と空間を超越して活動します。

驚くべきことに、イス人は ティンダロスの猟犬に追跡されたことがない とされています。
時間旅行者を執拗に追いかけるティンダロスの猟犬をかわす方法を、彼らだけが知っているのかもしれません。

歴史と運命

  • 数十億年前、銀河系「イス」から地球に精神を転移して到来
  • 先住種族「飛行するポリプ」との戦争に勝利し地下に封印
  • やがてポリプの逆襲により滅亡する運命
  • 滅亡前に未来の「甲虫類」の体に精神を転移して逃走予定

飛行するポリプ(Flying Polyps)

基本情報

  • 別名:盲目のもの
  • 初出:『時間からの影』(1936年)
  • 創造者:H.P.ラヴクラフト

どんな種族?

イスの大いなる種族の宿敵として知られる恐ろしい種族です。

その名の通り飛行能力を持ち、部分的に透明になる ことができます。
しかし不思議なことに、透明になっても 音を消すことができない という弱点があるんです。

外見は不定形で、複数の目と触手を持つとされていますが、正確な姿は誰も知りません。
風を操る能力があり、凄まじい突風を発生させて獲物を攻撃します。

イス人との戦争

飛行するポリプはイスの大いなる種族よりも先に地球に到来していました。
イス人が地球にやってきたとき、両者の間で激しい戦争が勃発。

イス人は 電気銃 という特殊な武器を開発し、ポリプを地下深くに封じ込めることに成功しました。
しかし、イス人は未来視によって、いつかポリプが封印を破って逆襲することを知っています。

現在の状況

地下深くの封印された場所に潜んでいます。
時折、封印が弱まった場所から這い出てくることがあり、探索者にとって非常に危険な存在です。


ティンダロスの猟犬(Hounds of Tindalos)

基本情報

  • 別名:時間の狩人
  • 初出:『ティンダロスの猟犬』(1929年)
  • 創造者:フランク・ベルナップ・ロング

どんな種族?

時間旅行者を永遠に追い続ける、恐るべき狩人たちです。

「猟犬」と呼ばれていますが、実際には犬とはまったく異なる存在。
その正確な姿は誰も知りません。目撃者のほとんどが生きて帰っていないからです。

目撃談によると「肉体を持っていないようだった」「痩せこけた体に宇宙の全ての邪悪を凝縮させていた」などと語られています。

角度から現れる

ティンダロスの猟犬の最も不気味な特徴は、120度以下の鋭角から出現する こと。

部屋の角、壁と床の境目、家具の角など、あらゆる鋭角が彼らの出入り口になります。
出現時には青黒い煙が渦を巻き、強烈な悪臭が発生するんです。

唯一の防御法

古代ギリシャ人によると、彼らから身を守る唯一の方法は 身辺のものから一切の鋭角をなくすこと
部屋を曲線だけで構成すれば、理論上は侵入を防げるとされています。

でも現実的には、それってほぼ不可能ですよね。

時間と曲線の対立

興味深い設定として、ティンダロスの猟犬は「角度」を起源とし、人間は「曲線」を起源とするとされています。
彼らは「不浄」を体現する存在であり、「清浄」を起源とする生物を激しく憎悪するんです。


ミ=ゴ(Mi-Go)

基本情報

  • 別名:ユゴスよりの菌類、ユゴスよりのもの
  • 初出:『闘に囁くもの』(1931年)
  • 創造者:H.P.ラヴクラフト

どんな種族?

宇宙を股にかける菌類型の知的生命体です。

外見はピンク色の甲殻類のような体を持ち、背中には飛行用の翼があります。
頭部は脳のような形状で、色を変化させることでコミュニケーションを取ります。

人間の言葉も話せますが、昆虫のようなブンブンという声で話すため、聞き取りにくいんです。

地球での活動

ミ=ゴは地球の山岳地帯に鉱山基地を持っています。

主な採掘場所は以下の通り。

  • アンデス山脈
  • アパラチア山脈
  • ヒマラヤ山脈

彼らは地球の特殊な鉱石を求めてやってきました。
人間社会に潜入するために、人間の皮を被って擬態することもあるとか。

脳缶技術

ミ=ゴの最も恐ろしい技術が 脳缶(ブレイン・シリンダー)

人間の脳を特殊な円筒容器に入れて保存し、宇宙旅行させることができます。
肉体は宇宙空間に耐えられませんが、脳だけなら保護できるという発想です。

被験者の中には、この体験を「素晴らしい」と感じる者もいるとか。
でも、脳だけの存在になるって、想像するだけで恐ろしいですよね。


古のもの(Elder Things)

基本情報

  • 別名:旧きもの、エルダーシング
  • 初出:『狂気の山脈にて』(1936年)
  • 創造者:H.P.ラヴクラフト

どんな種族?

地球最初の知的生命体とされる古代種族です。

外見は樽型の体に、星型の頭部を持ちます。
5つの放射状に伸びる器官があり、翼のような膜や触手が備わっています。

10億年以上前に宇宙から地球に到来し、高度な文明を築き上げました。

ショゴスの創造者

古のものは労働力として ショゴス という人工生命体を創造しました。

ショゴスは不定形のプロトプラズム生物で、あらゆる形態に変化できます。
最初は従順でしたが、次第に知性を獲得し、最終的に反乱を起こしました。

この反乱が古のものの文明を事実上崩壊させたんです。

現在の状況

南極の「狂気の山脈」の地下都市に、化石化した状態で眠っています。
しかし、一部の個体は今も生存しているという説も。


下級独立種族──人間に近い脅威

グール(Ghoul)

基本情報

  • 別名:食屍鬼
  • 初出:『ピックマンのモデル』(1927年)
  • 創造者:H.P.ラヴクラフト

どんな種族?

墓場や地下に棲み、死体を食べて生きる種族です。

外見は犬のような顔を持ち、ゴム質の肌をしています。
四つん這いで移動し、独特の言語で会話します。

恐ろしい姿をしていますが、元は普通の人間だった というのが衝撃的な事実。
食屍鬼の習性に染まった人間は、徐々にグールへと変化していくんです。

意外な一面

グールは凶暴な怪物のように見えますが、実は 会話が可能 で、時には人間と協力することもあります。

ラヴクラフトの『未知なるカダスを夢に求めて』では、主人公ランドルフ・カーターがグールと友好関係を築いています。
知性があり、独自の社会を形成しているんです。


蛇人間(Serpent People)

基本情報

  • 別名:蛇人
  • 初出:ロバート・E・ハワードの作品から
  • 創造者:ロバート・E・ハワード

どんな種族?

人類が誕生する遥か以前に地球を支配していた爬虫類型の知的種族です。

人間に似た体型ですが、蛇のような鱗に覆われた肌と、蛇の頭部を持っています。
高度な魔術と科学を操り、かつては世界を支配していました。

人間社会への潜入

蛇人間の恐ろしいところは、人間に化ける能力 を持っていること。

現代でも人間社会に潜み、密かに活動を続けているとされています。
政治家や実業家に化けて、人類の運命を操っているという噂も。

あなたの隣人が蛇人間でないという保証はどこにもありません。


ノフ=ケー(Gnoph-Keh)

基本情報

  • 別名:グノフ=ケー
  • 初出:『北極星』など
  • 創造者:H.P.ラヴクラフト

どんな種族?

極地に棲む毛むくじゃらの怪物たちです。

白い毛皮に覆われた体を持ち、鋭く曲がった角があります。
通常は四足歩行ですが、時には二足で立つこともあるとか。

グリーンランドや北極圏の伝説に登場し、人肉を好む恐ろしい種族として知られています。

ロマールの滅亡

古代、ノフ=ケーは「ロマール」という人類の古代文明を滅ぼしたとされています。

氷河期の到来とともに南下し、大理石造りの都市オラトーエを含むロマール全土を蹂躙しました。
彼らの子孫が現在のイヌイットだという伝承もありますが、真偽は不明です。


独立種族の関係性

種族間の対立と協力

独立種族同士は、必ずしも友好的ではありません。

主な対立関係

種族A種族B関係
イスの大いなる種族飛行するポリプ宿敵、戦争状態
古のものショゴス創造主と被造物、反乱
ミ=ゴ人類利用・実験対象

協力関係

一方で、利害が一致すれば協力することもあります。

イスの大いなる種族は人間と情報交換を行うことがありますし、グールも時には人間の味方になります。
ミ=ゴも、人間の協力者を利用して地球での活動を円滑に進めています。


TRPGでの独立種族

シナリオでの活用

クトゥルフ神話TRPGにおいて、独立種族は 非常に使いやすい存在 です。

なぜなら、奉仕種族と違って 単独で登場させられる から。
邪神とのつながりを描かなくても、独立種族だけでシナリオを構成できます。

シナリオ例

  • ミ=ゴの鉱山基地を発見
  • グールの地下都市への潜入
  • 蛇人間の人間社会への浸透を暴く
  • ティンダロスの猟犬から逃げ続ける

戦闘の可能性

独立種族は神格と違い、探索者が戦って勝てる可能性がある のも特徴。

もちろん簡単ではありませんが、適切な準備と戦略があれば撃退できます。
グールやミ=ゴは、複数の探索者が協力すれば対処可能なレベルです。

ただし、ティンダロスの猟犬や飛行するポリプは別。
彼らと真正面から戦うのは、ほぼ自殺行為といえるでしょう。


独立種族 完全一覧

上級独立種族

種族名英名主な特徴
イスの大いなる種族Great Race of Yith精神交換、時間旅行
飛行するポリプFlying Polyps透明化、風の操作
ティンダロスの猟犬Hounds of Tindalos角度から出現、時間追跡
ミ=ゴMi-Go宇宙飛行、脳缶技術
古のものElder Thingsショゴス創造、古代文明
ノフ=ケーGnoph-Keh極地生息、人肉食
盲目のものBlind Ones飛行するポリプの別名

下級独立種族

種族名英名主な特徴
グールGhoul食屍、元人間
蛇人間Serpent People変身能力、古代支配者
ガストGhastドリームランド生息
食屍犬Ghoul Houndグールの使役獣
次元シャンブラーDimensional Shambler次元間移動

分類が曖昧な種族

種族名英名備考
猫又Nekomata日本独自の解釈
餓鬼Gaki日本の妖怪との融合
付喪神Tsukumogami日本独自の解釈

まとめ:独立種族の魅力

クトゥルフ神話の独立種族たちは、神々に従属しない 自由な存在 として物語に深みを与えています。

独立種族の特徴まとめ

  • 特定の神格に仕えない自律した種族
  • 上級と下級で危険度が異なる
  • 種族間で対立や協力がある
  • TRPGでは使いやすい敵役

イスの大いなる種族の時間を超越した知性。
ティンダロスの猟犬の執拗な追跡。
ミ=ゴの冷徹な科学技術。
グールの意外な人間性。

これらの種族は、単なる怪物ではありません。
それぞれが独自の文明や社会、歴史を持つ 宇宙的な存在 なんです。

初心者には入り口として、熟練者には探求の対象として、独立種族の世界は無限の可能性を秘めています。

覚えておいてください。
この宇宙には、神々にさえ従わない存在がいるということを。
そして彼らは、今もどこかで人類を見つめているかもしれないということを。

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