クトゥルフ神話のおすすめ解説本15選|初心者から上級者まで目的別に徹底紹介

神話・歴史・伝承

ゲームやアニメで「クトゥルフ」「ニャルラトホテプ」という名前を見かけたことはありませんか?

これらはすべて、H.P.ラヴクラフト(1890-1937)が創造したクトゥルフ神話に登場する邪神たちの名前です。

「名前は聞いたことあるけど、どんな神話なの?」「TRPGを始めたいけど、何から読めばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

クトゥルフ神話の関連書籍は非常に多く、解説本だけでも数十冊以上が出版されています。
そのため、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。

この記事では、クトゥルフ神話の解説本を目的別・レベル別に厳選してご紹介します。


スポンサーリンク
  1. クトゥルフ神話の解説本って何?
    1. そもそもクトゥルフ神話とは
    2. 解説本が必要な理由
  2. 解説本の種類と選び方
    1. 入門書タイプ
    2. 事典・図鑑タイプ
    3. TRPGルールブック・サプリメント
    4. 学術・研究書タイプ
  3. 初心者向けおすすめ解説本5選
    1. 『クトゥルフ神話 超入門』
    2. 『「クトゥルフ神話」がよくわかる本』
    3. 『図解 クトゥルフ神話』
    4. 『オールカラー 本当に恐ろしいクトゥルフ神話』
    5. 『クトゥルフ神話ガイドブック』
  4. 中級者向け事典・図鑑タイプ5選
    1. 『クトゥルー神話事典』
    2. 『新・クトゥルフ神話完全ガイド』
    3. 『The Cthulhu Mythos Encyclopedia』
    4. 『クトゥルフ神話大事典』
    5. 『S. Petersen’s Field Guide to Lovecraftian Horrors』
  5. TRPG向けおすすめ本5選
    1. 『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』
    2. 『新クトゥルフ神話TRPG スタートセット』
    3. 『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』
    4. 『クトゥルフ神話TRPG キーパーコンパニオン 改訂新版』
    5. 『新クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2020』
  6. 日本におけるクトゥルフ神話人気の特徴
    1. リプレイ文化
    2. 萌え要素の導入
    3. 日本神話との融合
  7. 解説本を読む順番のおすすめ
    1. パターンA:読み物から入りたい人
    2. パターンB:TRPGから入りたい人
    3. パターンC:原作小説も読みたい人
  8. 注意点:解説本を読む前に知っておきたいこと
    1. 設定の違いについて
    2. 「正しい」発音はない
    3. TRPGオリジナル設定について
  9. まとめ

クトゥルフ神話の解説本って何?

そもそもクトゥルフ神話とは

クトゥルフ神話は、アメリカの作家H.P.ラヴクラフトが1920年代から1930年代にかけて執筆した小説群を中心に形成された架空の神話体系です。

その概念を簡単にまとめると以下のようになります。

  • 人類誕生以前の超古代より、地球には外宇宙から飛来した異形の存在が棲息していた
  • 彼らは現在こそ活動を停止しているが、深海や地底、異次元の世界で眠り続けている
  • いつの日か再び地球の主として君臨する日を待っている

この世界観は「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」と呼ばれ、人類の無意味さと宇宙の無関心さを描いたホラー作品として、現代でも多くのクリエイターに影響を与え続けています。

解説本が必要な理由

クトゥルフ神話は、ラヴクラフト一人が作ったものではありません。

彼の友人作家であるクラーク・アシュトン・スミス、ロバート・ブロック、オーガスト・ダーレスらが互いの作品に登場する神々や魔道書の名前を共有し合うことで、神話体系が形成されていきました。

そのため、クトゥルフ神話には以下のような特徴があります。

  • 複数の作家による設定の違いがある
  • 膨大な固有名詞(神格、地名、魔道書など)が存在する
  • TRPGによる独自の設定拡張がなされている

原作小説だけを読んでも全体像が掴みにくいため、解説本で体系的に学ぶことをおすすめします。


解説本の種類と選び方

クトゥルフ神話の解説本は、大きく4つのタイプに分類できます。

入門書タイプ

こんな人におすすめ:

  • クトゥルフ神話を初めて知る人
  • ゲームやアニメの元ネタを知りたい人
  • 気軽に読みたい人

会話形式やイラスト付きで、難しい用語もわかりやすく解説してくれる本が該当します。
価格も比較的安く、手に取りやすいのが特徴です。

事典・図鑑タイプ

こんな人におすすめ:

  • 特定の神格や用語を調べたい人
  • 創作活動の資料が欲しい人
  • 網羅的に知識を得たい人

索引形式で用語を調べられるため、辞書のように使えます。
読み物というよりは、手元に置いて参照するタイプの本になります。

TRPGルールブック・サプリメント

こんな人におすすめ:

  • クトゥルフ神話TRPGをプレイしたい人
  • シナリオを作成したい人
  • ゲームを通じて神話を学びたい人

ゲームのルールだけでなく、世界観や神格の詳細なデータも収録されています。
日本では特にTRPGから入門する人が多いため、実用性の高い選択肢といえるでしょう。

学術・研究書タイプ

こんな人におすすめ:

  • クトゥルフ神話を深く研究したい人
  • ラヴクラフト作品の分析に興味がある人
  • 英語の文献にもアクセスしたい人

神話の成り立ちや作家間の影響関係など、より専門的な内容を扱っています。


初心者向けおすすめ解説本5選

まずは、これからクトゥルフ神話を学び始める方に最適な入門書をご紹介します。

『クトゥルフ神話 超入門』

著者: 朱鷺田祐介(監修)、福地貴子(著)
出版社: 新紀元社
価格: 約1,500円

この本の特徴:

  • 会話形式で「ゆる〜く」解説
  • クトゥルフ神話の基礎知識を網羅
  • TRPGの存在にも言及

「そもそもクトゥルフ神話って何?」というレベルの方に最適な超入門書です。
監修者自身が「電源を入れましょう」から始まるパソコン入門書並みの超入門編と述べているほど、初心者に配慮した内容になっています。

複雑怪奇なクトゥルフ神話を、ここまでかみ砕いて説明してくれる本は貴重です。

『「クトゥルフ神話」がよくわかる本』

著者: 佐藤俊之(監修)、株式会社レッカ社(編著)
出版社: PHP研究所(PHP文庫)
価格: 約700円

この本の特徴:

  • 文庫サイズで持ち運びやすい
  • 邪神、魔道書、舞台となる地域を網羅
  • ラヴクラフトや他の作家についても解説

6刷3.8万部を突破したベストセラー入門書です。

文庫タイプなので価格も手頃で、気軽に購入できるのがうれしいポイント。
かさばらないため、電車での移動中などにも読みやすいでしょう。

ただし、一部にTRPGからの設定が混在しているという指摘もあるため、原作小説の設定と区別したい場合は注意が必要です。

『図解 クトゥルフ神話』

著者: 森瀬繚
出版社: 新紀元社(F-Filesシリーズ)
価格: 約1,430円
発売: 2005年12月

この本の特徴:

  • 100を超えるキーワードを図解付きで解説
  • 神格、魔道書、地域、作家の4章構成
  • 視覚的に理解しやすい

マニアックなテーマを図解でわかりやすく紹介する「F-Files」シリーズの1冊です。

図解が充実しているため、文字だけでは把握しにくい神格間の関係や、舞台となる地域の位置関係などを視覚的に理解できます。

初心者だけでなく、ある程度知識のある方が復習用に使うのにも適しています。

『オールカラー 本当に恐ろしいクトゥルフ神話』

出版社: 笠倉出版社
価格: 約1,000円

この本の特徴:

  • オールカラーで見やすい
  • イラストが豊富
  • 価格が手頃

ビジュアル重視で、「雰囲気を掴みたい」という方に向いています。

価格も安いので、クトゥルフ神話に興味があるかどうかを判断するための入り口として購入するのもよいでしょう。

『クトゥルフ神話ガイドブック』

著者: 東雅夫ほか
出版社: 新紀元社
発売: 2004年

この本の特徴:

  • 小説だけでなく映画、コミック、ゲームまで網羅
  • メディアミックス作品の元ネタを知りたい人に最適
  • 東雅夫の分類体系を引用

クトゥルフ神話が小説以外のメディアでどのように展開されてきたかを知ることができます。

「あのゲームの元ネタはこれだったのか!」という発見があるはずです。


中級者向け事典・図鑑タイプ5選

基礎知識を身につけた方が、より深く学ぶための参考書をご紹介します。

『クトゥルー神話事典』

著者: 東雅夫
出版社: 学研プラス(学研M文庫)

この本の特徴:

  • 本邦初のクトゥルフ神話事典
  • 1995年の初版から増補改版を重ね、2013年に第4版
  • 神話大系と開祖ラヴクラフトの世界を総覧

日本におけるクトゥルフ神話研究の第一人者である東雅夫による事典です。

事典形式なので、気になる用語があればすぐに調べることができます。
創作活動をしている方にとっては、必携の一冊といえるでしょう。

『新・クトゥルフ神話完全ガイド』

出版社: 笠倉出版社

この本の特徴:

  • クトゥルフ神話の固有名詞を詳しく解説
  • ラヴクラフト年表を収録
  • 新解釈・暗黒ビジュアルが充実

神話の成り立ちから各神格の詳細まで、幅広い情報を収録しています。

ビジュアル面も充実しているため、読み物としても楽しめます。

『The Cthulhu Mythos Encyclopedia』

著者: Daniel Harms
出版社: Elder Signs Press
言語: 英語

この本の特徴:

  • 英語圏で最も権威ある神話事典
  • H.P.ラヴクラフトから現代作家までの作品を網羅
  • 各項目に出典を明記

英語文献ですが、クトゥルフ神話を本格的に研究したい方には必携の一冊です。

各項目に「どの作品に登場するか」という出典が明記されているため、原作小説を読む際のガイドとしても活用できます。

第3版まで出版されており、第4版の準備も進行中とのことです。

『クトゥルフ神話大事典』

著者: 東雅夫ほか

この本の特徴:

  • 延べ1300作以上を解説
  • 小説、漫画、映画、ゲームをカバー
  • 関連作品を幅広く知りたい人に最適

日本国内で発売されたクトゥルフ神話関連作品を網羅的にピックアップした資料集です。

「次に何を読めばいいか」「どの映画を観ればいいか」という疑問に答えてくれます。

『S. Petersen’s Field Guide to Lovecraftian Horrors』

著者: Sandy Petersen
出版社: Chaosium
言語: 英語

この本の特徴:

  • 神話生物を図鑑形式で紹介
  • 生態、分布、ライフサイクルなどのデータを収録
  • 各生物のイラストが充実

「フィールドガイド」という名前の通り、まるで実在する生物を観察するかのような体裁で神話生物を紹介しています。

ユーモアのセンスも光る一冊で、読み物としても楽しめます。


TRPG向けおすすめ本5選

クトゥルフ神話TRPGをプレイしたい方、シナリオを作成したい方向けの本をご紹介します。

『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』

著者: サンディ・ピーターセン、リン・ウィリス
出版社: KADOKAWA(ログインテーブルトークRPGシリーズ)
価格: 約6,000円

この本の特徴:

  • 7th Edition(第7版)ルールを収録
  • 探索者の作成からシナリオ進行まで完全対応
  • 神々やクリーチャーのデータも収録

クトゥルフ神話TRPGをプレイするなら、まずこれを購入しましょう。

15年ぶりに全面改訂され、よりわかりやすく、そしてより恐怖を増した内容になっています。
従来の資料(6版)との互換性も考慮されているため、過去のシナリオも活用できます。

『新クトゥルフ神話TRPG スタートセット』

出版社: KADOKAWA
価格: 約3,500円

この本の特徴:

  • ソロシナリオを収録
  • クイックスタート・ルール付き
  • 入門用シナリオも収録

「ルールブックはちょっと高い…」という方は、まずこちらから始めるのがおすすめです。

キーパー・スクリーンも同梱されているため、購入後すぐにプレイを始められます。

『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』

出版社: KADOKAWA
価格: 約5,000円

この本の特徴:

  • 神話生物の能力値、技能、生息地を詳細に解説
  • オリジナルの怪物を創造する方法も収録
  • キーパー(ゲームマスター)必携

「マレウス・モンストロルム」とは「怪物の槌」という意味です。

クトゥルフ神話に登場する神話生物を詳細なデータとともに紹介しており、シナリオ作成の際に非常に役立ちます。

『クトゥルフ神話TRPG キーパーコンパニオン 改訂新版』

出版社: KADOKAWA

この本の特徴:

  • キーパー向けのノウハウを収録
  • 恐怖の演出法を解説
  • オンラインセッションの注意点も網羅

TRPGを進行する「キーパー」(ゲームマスター)向けのガイドブックです。

プレイ前の準備から、プレイスタイルの決め方、恐怖の演出法まで、キーパーに必要な知識を網羅しています。

『新クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2020』

出版社: KADOKAWA

この本の特徴:

  • 現代日本を舞台にしたルール・シナリオ
  • 日本のプレイヤー向けに最適化
  • 新職業も収録

海外が舞台の設定に馴染めない方や、現代日本でのシナリオを作りたい方におすすめです。

日本のキーパーやプレイヤーが直面しやすい疑問にも答えてくれます。


日本におけるクトゥルフ神話人気の特徴

日本では、クトゥルフ神話TRPGがD&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)を超える人気を獲得しています。

その背景には、独自の文化形成があります。

リプレイ文化

ゲームセッションを物語化した「リプレイ」という形式が人気を博しています。
これにより、TRPGをプレイしたことがない人でも神話の世界観に触れることができるようになりました。

萌え要素の導入

『這いよれ!ニャル子さん』などの作品で、神格が擬人化されています。
こうした作品をきっかけにクトゥルフ神話に興味を持つ人も多いでしょう。

日本神話との融合

クトゥルフ神話と日本の妖怪や神話を融合させた作品も生まれています。
『邪神伝説シリーズ』などがその代表例です。


解説本を読む順番のおすすめ

「どの順番で読めばいいの?」という疑問にお答えします。

パターンA:読み物から入りたい人

  1. クトゥルフ神話 超入門 – まず全体像を把握
  2. 「クトゥルフ神話」がよくわかる本 – 知識を補強
  3. クトゥルー神話事典 – 気になる用語を深掘り

パターンB:TRPGから入りたい人

  1. 新クトゥルフ神話TRPG スタートセット – 実際にプレイしてみる
  2. 新クトゥルフ神話TRPG ルールブック – 本格的にプレイ
  3. 図解 クトゥルフ神話 – 世界観の知識を補強

パターンC:原作小説も読みたい人

  1. 図解 クトゥルフ神話 – 基礎知識を入れる
  2. ラヴクラフト全集(創元推理文庫)– 原作を読む
  3. クトゥルー神話事典 – 読後に用語を確認

注意点:解説本を読む前に知っておきたいこと

設定の違いについて

クトゥルフ神話の設定は、作家やメディアによって異なることがあります。

例えば、オーガスト・ダーレスが導入した「元素体系」(神格を火・水・風・地に分類する)は、ラヴクラフトの本来の世界観とは相容れないとして、議論の的になっています。

解説本によって採用している設定が異なる場合があるため、複数の本を読み比べることをおすすめします。

「正しい」発音はない

「Cthulhu」の発音は、本来人間には発音不可能な音を表記したものとされています。

そのため、クトゥルフ、クトゥルー、ク・リトル・リトル、クルウルウなど、さまざまな表記が存在します。
どれが正しいということはないため、好みで使い分けて問題ありません。

TRPGオリジナル設定について

解説本の中には、TRPGで追加された設定を原作小説の設定と区別せずに紹介しているものもあります。

原作小説の設定にこだわりたい場合は、出典が明記されている事典タイプの本を参照するとよいでしょう。


まとめ

クトゥルフ神話の解説本は、目的やレベルによって最適な一冊が異なります。

初心者の方は:

TRPGをプレイしたい方は:

より深く学びたい方は:

クトゥルフ神話は、90年以上にわたって多くの作家やクリエイターによって拡張され続けてきた、世界的な共有神話です。

一度足を踏み入れると、その深淵から抜け出せなくなるかもしれません。

でも、それこそがクトゥルフ神話の魅力なのです。

知れば知るほど、宇宙の暗黒に引き込まれていく──その体験を、ぜひ楽しんでください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました