クトゥルフ神話に登場する炎の神「クトゥグア」を知っていますか?
フォーマルハウト近くに住む巨大な生ける炎で、ナイアーラトテップの天敵として知られています。
実はこのクトゥグア、複数の子供と眷属を持っているんです。
「クトゥグアの子供って誰?」「炎の精って何者?」と気になっている方も多いでしょう。
この記事では、クトゥグアの子供と眷属について、それぞれの特徴や役割をわかりやすく解説していきます。
クトゥグアとは?基本情報をおさらい

クトゥグアについて簡単に振り返っておきましょう。
基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | クトゥグア(Cthugha) |
| 別名 | 生ける炎、炎の旧支配者 |
| 分類 | 旧支配者(Great Old One) |
| 属性 | 火 |
| 居住地 | フォーマルハウト近くの恒星コルヴァズ |
| 初出 | 『闇に棲みつくもの』(1944年) |
| 創造者 | オーガスト・ダーレス |
クトゥグアは、オーガスト・ダーレスがクトゥルフ神話に「四大元素」の概念を持ち込んだ際に創造されました。
当時、火の属性を持つ神格が存在しなかったため、フランシス・レイニーの提案を受けて作られたのです。
クトゥグアの外見
巨大な生ける炎の姿をしており、中心には光の小球の集合体が見えます。
触れるものすべてを瞬時に焼き尽くす灼熱の存在で、見るだけでも正気を失う危険性があります。
クトゥグアの子供たち

クトゥグアには少なくとも2体の子供(あるいは子供の可能性がある存在)がいます。
アフーム=ザー(Aphoom-Zhah)──冷たき炎
クトゥグアの子供として最も有名なのが、アフーム=ザーです。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | アフーム=ザー(Aphoom-Zhah) |
| 別名 | 冷たき炎、極地の主 |
| 分類 | 旧支配者(Great Old One) |
| 居住地 | 北極(かつてはハイパーボリア) |
| 初出 | 『炎の侍祭』(1985年) |
| 創造者 | リン・カーター |
誕生の経緯
アフーム=ザーは、クトゥグアがフォーマルハウトに封印された後に産み落とされました。
親であるクトゥグアとは異なり、灰色の冷たい炎として現れるのが特徴です。
触れたものを焼くのではなく、凍らせるという真逆の性質を持っています。
役割と使命
アフーム=ザーには重要な使命があります。
- 封印された旧支配者たちを解放すること
- クトゥグアを復活させること
この使命を果たすため、フォーマルハウトから地球へとやってきました。
地球での活動
アフーム=ザーは地球に到着後、以下のルートを辿りました。
- ヤクシュ(海王星)に一時滞在
- ハイパーボリア大陸に到来
- ヤラク山(北極の伝説の山)に居を構える
ハイパーボリアでは神として崇拝され、ラーン=テゴスやルリム・シャイコースといった他の極地の神々と信者を争いました。
北極誕生の伝説
旧神がアフーム=ザーを封印しようとした際、激しく抵抗したアフーム=ザーは周囲の大地を凍らせてしまいます。
この時の爆発的な冷気が、ハイパーボリア、ロマール、ゾブナといった古代の大陸を氷河で覆い尽くし、北極を作り出したとされています。
アフーム=ザーの眷属
アフーム=ザーにも配下の存在がいます。
- イーリディーム(Ylidheem):「冷たきもの」と呼ばれる霊的な存在
- ルリム・シャイコース:白蛆と呼ばれるレッサー・オールド・ワン(イーリディームの長)
- グノフ・ケー:野蛮な毛むくじゃらの怪物(アフーム=ザーの子供説あり)
- ヴーアミ族:ハイパーボリアの原住民(アフーム=ザーの子孫説あり)
フサッグア(Fthaggua)──炎の精の王
フサッグアは、クトゥグアの子供である可能性がある存在です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | フサッグア(Fthaggua) |
| 別名 | 炎の精の王、炎の吸血鬼の摂政 |
| 外見 | 揺らめく青い炎の球体 |
| 居住地 | 移動天体クティンガ |
| 初出 | 『炎の精』(1933年) |
| 創造者 | ドナルド・ワンドレイ |
クトゥグアとの関係
フサッグアとクトゥグアの関係には諸説あります。
- クトゥグアの子供である
- クトゥグアの従者である
- クトゥグアの化身である
- クトゥグアの大司祭である
リン・カーターは、フサッグアがクトゥグアの子供であるという設定を導入しました。
ただし、これは後から追加された設定であり、確定していません。
移動天体クティンガ
フサッグアは、クティンガと呼ばれる青い彗星に住んでいます。
この天体には驚くべき特徴があります。
- 表面温度が約1100℃
- 光速を超える速度で移動可能
- フサッグアの意志で操縦できる
クティンガは2321年と2327年に地球に接近したとされ、天文学者グスタフ・ノービーにちなんで「ノービー彗星」とも呼ばれています。
炎の精との関係
フサッグアは炎の精(Fire Vampires)のリーダーです。
実は、フサッグアと炎の精は集合意識でつながっており、フサッグアが倒されると全ての炎の精も消滅するという説もあります。
クトゥグアの眷属たち

クトゥグアに仕える眷属について解説します。
炎の精(Fire Vampires)
クトゥグアの最も有名な眷属が「炎の精」です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 炎の精(Fire Vampires) |
| 別名 | クトゥグアの配下、炎の吸血鬼 |
| 外見 | 紅い稲妻、光の小球 |
| 能力 | 接触した対象を発火させる |
| 特徴 | 集合意識を持つ |
外見と能力
炎の精は、赤い稲妻のような姿をしています。
光の小球や点として現れることもあり、大きさはクトゥグア本体と比べると非常に小さいです。
主な能力は以下の通り。
- 接触した対象を瞬時に発火させる
- 犠牲者からエネルギーを吸収する
- 犠牲者の記憶を吸い取る
- 吸収した知識は全個体で共有される
集合意識
炎の精は独立した生物ではなく、巨大な超有機体の一部です。
全ての個体が集合意識でつながっており、1体が得た情報は即座に全体で共有されます。
ある説では、クトゥグア自体が数千から数百万の炎の精が合体したゲシュタルト(集合体)であるとも言われています。
同様に、フサッグアも数百体の炎の精が合体した存在という解釈もあります。
召喚時の出現
クトゥグアを召喚すると、巨大なクトゥグア本体と共に無数の炎の精が出現します。
召喚者は周囲ごと焼き払われる危険があるため、クトゥグアの召喚は非常にリスクが高いとされています。
クトゥグアの炎の生物(Flame Creatures)
炎の精とは別に、「クトゥグアの炎の生物」という存在も登場します。
炎の精との関係
元々、炎の精とクトゥグアの炎の生物は別々の作家が創造した存在でした。
- 炎の精(Fire Vampires):ドナルド・ワンドレイが創造(1933年)
- クトゥグアの炎の生物(Flame Creatures):オーガスト・ダーレスが創造(1944年)
後にリン・カーターが両者を同一の存在として統合しました。
現在では、両方の名前が混在して使われています。
クトゥグア一族の系譜
クトゥグアの子供と眷属の関係を整理しましょう。
クトゥグア(Cthugha)
├── アフーム=ザー【子供】
│ ├── グノフ・ケー【孫?】
│ ├── ラーン=テゴス【孫?】
│ ├── ヴーアム(ヴーアミ族の祖)【孫?】
│ └── イーリディーム【眷属】
│ └── ルリム・シャイコース【長】
│
├── フサッグア【子供?】
│ └── 炎の精(Fire Vampires)【配下】
│
└── 炎の精 / 炎の生物【眷属】
火と氷の対比
興味深いのは、クトゥグアの系譜には火と氷の対比があることです。
| 存在 | 属性 | 特徴 |
|---|---|---|
| クトゥグア | 火 | 灼熱の炎 |
| アフーム=ザー | 氷 | 冷たき炎 |
| フサッグア | 火(青) | 青い炎 |
| 炎の精 | 火(赤) | 紅い稲妻 |
| イーリディーム | 氷 | 冷たきもの |
ダーレス神話における「火の旧支配者」の系譜には、冷気を操る存在も含まれているという特徴があります。
リン・カーターは、クトゥグアが熱そのものを操る力を持っており、灼熱も極寒も自在に扱えると解釈しています。
TRPGでのクトゥグアの子供・眷属
クトゥルフ神話TRPGでは、これらの存在がどう扱われているでしょうか。
炎の精のデータ
炎の精は、TRPGにおいて召喚可能な神話生物として登場します。
- 接触攻撃で対象を発火させる
- 非実体に近い性質を持つ
- 水や消火器で撃退可能
シナリオでの使用例
クトゥグアの眷属は、以下のようなシナリオで活用できます。
- ナイアーラトテップ関連のシナリオで対抗手段として登場
- 古代遺跡で封印された炎の精が解き放たれる
- フサッグアを崇拝するカルトとの対決
召喚の危険性
TRPGでも、クトゥグアの召喚は最終手段として扱われます。
ナイアーラトテップに追い詰められた探索者がクトゥグアを召喚し、辺り一帯を焦土に変えるという展開は定番です。
現代作品でのクトゥグアの子供・眷属
これらの存在は、様々な現代作品にも登場しています。
アニメ
- 『這いよれ!ニャル子さん』:クー子がアフーム=ザーを召喚してチーズケーキを冷やすシーンがある
漫画
- 『ダンダダン』:柏本がアフーム=ザーの力を使って敵を凍らせる
ゲーム
- デモンベイン:クトゥグアが銃の化身として登場
- メガテンシリーズ:クトゥグアが悪魔として登場
- 各種TRPGリプレイ:炎の精が頻繁に登場
まとめ
クトゥグアの子供と眷属について解説してきました。
クトゥグアの子供
| 名前 | 特徴 |
|---|---|
| アフーム=ザー | 冷たき炎。北極に封印。旧支配者解放の使命を持つ |
| フサッグア | 青い炎の王。炎の精を率いる。クティンガに住む |
クトゥグアの眷属
| 名前 | 特徴 |
|---|---|
| 炎の精 | 紅い稲妻。集合意識を持ち、記憶を吸収する |
| イーリディーム | アフーム=ザーに仕える冷たきもの |
クトゥグアの系譜には、火と氷の両方の性質が含まれているのが興味深いポイントです。
親であるクトゥグアは灼熱の炎ですが、その子供アフーム=ザーは冷気を操ります。
これは、クトゥグアが単なる「火の神」ではなく、熱エネルギーそのものを操る存在であることを示唆しているのかもしれません。
クトゥルフ神話TRPGや創作で、これらの存在を活用する際の参考になれば幸いです。


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