【眠りの大帝】クトゥルフ神話のヒュプノスとは?美しき夢の支配者の正体

神話・歴史・伝承

夜、あなたが眠りにつくとき、意識が遠のいていくあの感覚を覚えていますか?

実はその瞬間、あなたはある神の領域を通過しているのかもしれません。

クトゥルフ神話に登場する「ヒュプノス」は、目覚めの世界と夢の世界の境界を支配する美しき神なんです。他のクトゥルフ神話の恐ろしい存在とは一線を画す、不思議な魅力を持った神格として知られています。

この記事では、眠りと夢を司る神「ヒュプノス」について、その起源や姿、恐るべき力を詳しくご紹介します。

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概要

ヒュプノスは、クトゥルフ神話に登場する眠りと夢を司る神格です。

元々はギリシャ神話の眠りの神で、クトゥルフ神話の創始者H・P・ラヴクラフトが自身の作品世界に取り入れました。

最も重要なのは、ヒュプノスが目覚めの世界とドリームランド(夢の国)の境界を結びつける存在だということなんです。

つまり、人間が夢を見るとき、誰もが必ずヒュプノスの領域を通過することになります。この点で、ヒュプノスは夢見る者すべてに関わる、極めて重要な神格と言えるでしょう。

北極の奥深くに住み、死すべき人間には基本的に無関心とされています。ただし、何らかの方法でこの神の注意を引いてしまったら……その結果は取り返しのつかないものになるんです。

系譜

ヒュプノスは、ギリシャ神話に由来を持つ神です。

ギリシャ神話では、死の神タナトスの兄弟とされる眠りの神でした。クトゥルフ神話の創始者ラヴクラフトは、このギリシャ神話の神を自身の神話体系に組み込んだんですね。

クトゥルフ神話での位置づけ

興味深いことに、ヒュプノスの分類は資料によって異なります

主な分類

  • TRPG『クトゥルフの呼び声』:旧神として分類
  • オーガスト・ダーレス『アルハザードのランプ』:旧支配者に挙げられる
  • フランシス・レイニーとリン・カーターの設定辞典:地球本来の神々とされる

このように資料によって扱いが違うのは珍しいケースです。ただし共通しているのは、目覚めの世界とドリームランドの通り道を守護する役割を持っているという点なんです。

姿・見た目

ヒュプノスの外見は、クトゥルフ神話に登場する他の神格とは大きく異なります。

美しい姿

通常、ヒュプノスは美しい青年の姿で描かれるんです。

外見的特徴

  • 時を知らぬ若さ
  • 美しい髭のある顔
  • カーブを描いて微笑んでいるような唇
  • 優雅で人間的な容姿

ギリシャ神話で語られる通りの美形であり、触手や不定形の怪物といった、クトゥルフ神話の典型的な恐怖の存在とは一線を画しています。

真の姿

しかし、この美しい外見には恐るべき秘密があります。

ヒュプノスの本当の姿は、最悪の悪夢のように歪んで恐ろしいとされているんです。人間が見ることのできる美しい姿は、あくまでも表面的なものに過ぎません。

普段は人間に無関心なヒュプノスですが、その真の本質は人間の理解を超えた恐怖そのものなのかもしれませんね。

特徴

ヒュプノスには、眠りと夢を司る神ならではの特別な力があります。

夢の支配者

夢とはヒュプノスの領域そのものなんです。

すべての夢見る者は、眠りにつく瞬間にヒュプノスの領有地を通過します。つまり、あなたが夜見る夢も、ヒュプノスの支配する世界での出来事というわけなんですね。

赤金色の光線

ヒュプノスの最も恐るべき能力が、この赤金色の光線です。

何らかの方法でヒュプノスの注意を引いてしまった者に対して、この光線が放たれます。光線は北極にあるヒュプノスの住処から、目的の場所まで一直線に降りてくるんです。

そして、この光線はヒュプノス自身を引っ張る導線のような役割を果たします。つまり、光線が届いた場所まで、ヒュプノス本体が訪れてしまうということなんです。

変容の力

ヒュプノスに目をつけられた者の運命は悲惨です。

ヒュプノスによる罰

  • 対象者を「最もふさわしい姿」に変えられる
  • 夢の世界に永遠に引き込まれる
  • 元の場所に二度と帰ることができない
  • 訪問の痕跡を残すこともある

「最もふさわしい姿」というのが何を意味するのか、正確には分かりません。ただ、それが人間にとって望ましいものでないことは確かでしょう。

対抗する方法

もしヒュプノスに対抗しようとするなら、自ら夢の中に入り込む必要があります

なぜなら、ヒュプノスの実体は夢の中にあるからなんです。ヒュプノスを攻撃できるのは、夢を見ている物体や個体だけ。覚醒した状態では、この神に触れることすらできません。

伝承

ヒュプノスにまつわる伝承は、主にラヴクラフトの作品に基づいています。

夢への神罰

ラヴクラフト作品では、夢の奥深くに入り込もうとする者に神罰を与える神として描かれます。

ドリームランドの秘密に近づきすぎた者、夢の世界を冒涜した者、あるいは単にヒュプノスの注意を引いてしまった愚かな夢想家。そうした者たちは、赤金色の光線によってヒュプノスの前に引きずり出されるんです。

境界の守護者

TRPG『クトゥルフの呼び声』では、ヒュプノスは目覚めの世界とドリームランドの間の通り道を守っているとされています。

この役割は極めて重要です。二つの世界の境界が保たれているのは、ヒュプノスがその門番として機能しているからなんですね。

夢のクリスタライザー

興味深いアイテムとして「夢のクリスタライザー」というものがあります。

これは旧神ヒュプノスの力を借りる道具なのですが、皮肉なことに、ヒュプノスは自分のクリスタライザーを使う者に腹を立てて罰しようとするんです。

神の力を勝手に使おうとする傲慢さが、ヒュプノスの怒りを買うというわけですね。

永遠の同居

ヒュプノスに捕まった犠牲者の多くは、その後永久的にヒュプノスと一緒に住まなければならなくなると言われています。

北極の奥深く、人間世界から遠く離れた場所で、変容させられた姿のまま、永遠に眠りの神に仕えることになるのかもしれません。それは死よりも恐ろしい運命と言えるでしょう。

まとめ

ヒュプノスは、美しき姿の裏に恐るべき本質を隠した、眠りと夢の支配者です。

重要なポイント

  • ギリシャ神話由来の眠りの神で、クトゥルフ神話に取り入れられた
  • 目覚めの世界とドリームランド(夢の国)の境界を守る神格
  • 美しい青年の姿だが、真の姿は最悪の悪夢のように恐ろしい
  • 注意を引いた者に赤金色の光線を放ち、変容させる力を持つ
  • 夢はヒュプノスの領域であり、すべての夢見る者がその領地を通過する
  • 資料によって旧神、旧支配者、地球本来の神々など分類が異なる
  • ラヴクラフト作品では夢への冒涜者に神罰を与える存在として描かれる

今夜あなたが眠りにつくとき、ヒュプノスの領域を静かに通過することになります。どうか、この眠りの大帝の注意を引かないように祈りましょう。美しき神の真の姿を見ることは、誰にとっても望ましくない運命なのですから。

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