美術館に飾られた石像が、夜になると動き出して人々を襲う…
そんな恐ろしい話を聞いたことはありますか?
クトゥルフ神話に登場する「チャウグナー・フォーン」は、まさにそんな悪夢のような存在なんです。昼間は何の変哲もない石像のように見えるのに、夜になると突然動き出し、鋭い牙と触手のような器官で獲物の血を吸う――地球と同じくらい古い、生きた岩石でできた神なんです。
この記事では、「山の恐怖」とも呼ばれる邪神チャウグナー・フォーンについて、その奇怪な姿や能力、そして恐ろしい伝承を詳しくご紹介します。
概要

チャウグナー・フォーンは、アメリカの作家フランク・ベルナップ・ロングが1931年に発表した小説『恐怖の山』に登場する邪神です。
クトゥルフ神話の中でも特に異質な存在として知られ、チャウグナル・ファウグンやクァウグナール・ファウグンとも呼ばれています。
この邪神には、恐ろしい別名がたくさんあるんです。
チャウグナー・フォーンの別名
- 山の恐怖
- 象神
- 喰らうもの
- 丘よりきたる恐怖
太古の昔、ヨーロッパのピレネー山脈に住んでいたとされ、現在はチベット高原のツァン台地にある洞窟で、チョー・チョー人という種族に崇拝されています。
人間の中にもこの神を崇める者たちがいて、特に18世紀にカナダのモントリオールへ移った「血の教団」という集団が有名なんです。
姿・見た目
チャウグナー・フォーンの姿は、とにかく不気味で独特なんです。
外見的特徴
- 大きさ:人間と同じくらい(意外と小さい)
- 体の素材:地球と同じくらい古い「生きた岩石」でできている
- 顔:象のような顔つき
- 耳:水かきのように広がった形状
- 牙:水晶のように透き通っている
- 体型:丸々と太っている
- 手:水晶のような透明な質感
特に恐ろしいのが、鼻状の吸血器官なんです。
この器官は細い部分で直径30センチもあり、朝顔の花のように広がっています。この器官を使って、獲物に張り付いて血を吸うんですね。まるで触手のように機能する、恐ろしい道具なんです。
目を閉じているときは、本当にただの石像にしか見えません。その岩のような肌のせいで、動かない限りは生き物だとは誰も気づかないでしょう。
特徴
チャウグナー・フォーンには、石像のような外見とは裏腹に、驚くべき能力があります。
昼と夜で変わる行動パターン
チャウグナー・フォーンの一日は、人間とは真逆なんです。
- 日中:洞窟の中で石像となって瞑想している
- 夜間:動き出して、機敏に獲物を求めて動き回る
太った体型からは想像もつかないほど素早く動けるそうです。まさか石像が、そんなに機敏に動くなんて思いませんよね。
精神を攻撃する能力
水晶のような透明な手から、精神波を発することができます。
この精神波を浴びた者は、精神に異常をきたしてしまうんです。物理的な攻撃だけでなく、心まで攻撃してくるなんて、本当に恐ろしい存在ですね。
生物を創造する力
チャウグナー・フォーンは、両生類を進化させてミリ・ニグリという種族を作り出しました。
この種族は自分に仕える奉仕種族として機能し、やがて人間と混血してチョー・チョー人という部族になったとされています。つまり、現在この邪神を崇拝しているチョー・チョー人は、もともとチャウグナー・フォーン自身が創造した種族の子孫というわけなんです。
不死身に近い性質
通常の武器では倒すことができません。
しかし、チャウグナー・フォーンには「兄弟」と呼ばれる分身のような存在がいて、これらは次元レベルで繋がっているんです。実体としては一つの存在なので、一体を倒せば全部を倒せるという特殊な性質があります。
ただし、過去に兄弟たちと仲違いを起こして以来、チャウグナー・フォーンは兄弟を自らの手で皆殺しにしようとしているという説もあります。
伝承

チャウグナー・フォーンにまつわる最も有名な伝承が、メトロポリタン美術館事件です。
ニューヨークでの惨劇
かつて、チャウグナー・フォーンの石像は美術品だと誤認されてしまいました。
そして、はるばるニューヨークまで運搬され、なんとあの有名なメトロポリタン美術館に展示されてしまったんです。
美術館の職員たちは、それが恐ろしい邪神だとは夢にも思いませんでした。しかし、夜になると石像は動き出し、何も知らない館の職員たちを生贄として復活を遂げたのです。
その後、チャウグナー・フォーンはニューヨークの街で殺戮の嵐を巻き起こしました。
最終的には、極めて特殊な手段――チャウグナー・フォーンだけの時間を極限まで遡らせるという方法で、時の彼方へと放逐されました。しかし、「時間の枠が溶かされる時」なる不吉な予言が残されているため、いつの日か再びこの世界に戻ってくる可能性があるんです。
忌まわしい儀式
チャウグナー・フォーンを崇拝する儀式は、非常に忌まわしいものだとされています。
具体的な内容は記録に残されていないほど恐ろしいものなのですが、確かに崇拝はされていました。面白いことに、伝承に登場する「白き運び手」という存在が現れると、信者たちは慌ててチャウグナー・フォーンを放棄したそうです。それほど厄介な存在だったということでしょう。
人間を異形化させる力
稀なケースとして、チャウグナー・フォーンは周囲の人間を、自分に似た姿に変えてしまうことがあります。
象のような顔、丸々とした体型に変化させられた人間たちは、やがて餌として食べられてしまうという、悲惨な運命をたどるんです。
まとめ
チャウグナー・フォーンは、クトゥルフ神話の中でも特に不気味な邪神です。
重要なポイント
- フランク・ベルナップ・ロング作『恐怖の山』に登場する邪神
- 「山の恐怖」「象神」「喰らうもの」などの別名を持つ
- 地球と同じくらい古い生きた岩石でできている
- 象のような顔と水晶のような牙、触手状の吸血器官を持つ
- 昼は石像のように瞑想し、夜になると動き出す
- 精神波で相手の心を攻撃できる
- ミリ・ニグリという奉仕種族を創造した
- メトロポリタン美術館で展示され、ニューヨークで惨劇を引き起こした
- 時の彼方に放逐されたが、再び戻ってくる予言がある
もし美術館で象のような顔をした奇妙な石像を見かけたら、それはもしかすると…いえ、考えすぎですよね。
でも、念のため夜には近づかないほうがいいかもしれません。


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