ハロウィンの夜、もし白いウサギの着ぐるみを着た人物を見かけたら、あなたはどうしますか?
普通なら「コスプレかな?」と思うかもしれません。でも、アメリカのバージニア州では、その姿を見たら一目散に逃げなければならない理由があるんです。
なぜなら、それは斧を振り回す殺人鬼「バニーマン」かもしれないから。
この記事では、アメリカで100年以上語り継がれる恐怖の都市伝説「バニーマン」について、その不気味な姿や恐ろしい伝承をご紹介します。
概要

バニーマンは、アメリカのバージニア州で語り継がれている都市伝説の怪人です。
1900年代初頭から噂され始め、特にハロウィンの時期に現れるとされています。白いウサギの着ぐるみをまとい、手には斧を持って、夜の闇に紛れて人々を襲う存在として恐れられてきました。
この伝説の中心地となっているのが、バージニア州フェアファックス郡にある橋。もともと「フェアファックス・ステーション・ブリッジ」という名前だったこの橋は、いつしか「バニーマン・ブリッジ」と呼ばれるようになりました。現在でもGoogleマップにこの通称で載っているほど、地元では有名な心霊スポットとなっているんです。
姿・見た目
バニーマンの見た目は、まさに「悪夢のコスプレ」といった感じなんです。
バニーマンの外見的特徴
- 全身白いウサギの着ぐるみ
- 手には斧やナイフなどの刃物
- 人間の男性の体格
- 顔は着ぐるみで隠れている
目撃証言によると、ウサギの着ぐるみは全身を覆うタイプで、まるでハロウィンのコスチュームのようだったとか。ただし、これは楽しいパーティー用の衣装ではありません。血に飢えた殺人鬼が身にまとう恐怖の象徴なんです。
一部の証言では、ウサギの着ぐるみではなく、とんがり帽子の「カピロテ」(スペインのカトリック教徒が使う宗教的な帽子)に見えたという話もあります。暗闇の中では、その白い姿がどんな風に見えるか分からないところが、余計に恐怖を増幅させているんですね。
特徴
バニーマンには、明確な行動パターンがあります。
バニーマンの恐ろしい特徴
- ハロウィンの時期に出没:特に10月31日の深夜に現れる
- 斧を振り回して襲撃:車や建物、そして人間を攻撃
- 橋の周辺に出現:バニーマン・ブリッジが主な活動場所
- 犠牲者を木や橋に吊るす:残酷な方法で見せしめにする
- ウサギの死体を残す:木に皮を剥いだウサギを吊るす
最も恐ろしいのは、バニーマンに遭遇した者は生きて帰れないという話です。
目撃者の証言によると、バニーマンは「ここは俺の土地だ!」と叫びながら襲いかかってくるそうです。理性的な会話は通じず、ただひたすら暴力的な行動を取るという、まさに悪夢のような存在なんです。
伝承

バニーマン伝説の起源として最も有名なのが、1904年の事件です。
刑務所からの脱走事件
物語はバージニア州クリフトンにあった刑務所(一説では精神病院)が閉鎖されることから始まります。
囚人たちを別の施設に移送中、護送車が事故を起こしてしまいました。その混乱の中で、10人の囚人が脱走。8人はすぐに捕まりましたが、マルコス・ウォルスターとダグラス・J・グリフォンという2人だけは逃げ続けたんです。
グリフォンは家族を殺害した凶悪犯でした。脱走後、街には不気味な出来事が起こり始めます。街路樹に、皮を剥がれたウサギの死体が次々と吊るされるようになったんです。
最初の犠牲者
しばらくして、逃走していたマルコス・ウォルスターの死体がフェアファックス・ステーション・ブリッジで発見されました。首を吊られた状態で、そこには「お前は絶対に俺を見つけられない。バニーマンより」というメッセージが残されていたという話もあります。
ハロウィンの悲劇
1905年のハロウィンの夜、最悪の事件が起きました。
橋の下でパーティーをしていた3人の若者が、翌朝、無残な姿で橋に吊るされているのが発見されたんです。その後も1913年、1949年、1976年と、ハロウィンの時期に同様の事件が繰り返されたとされています。
1970年代の実際の事件
ただし、上記の1904年の話は、実は証拠がないんです。登場人物の記録も、刑務所の存在も確認できません。
でも、1970年代に実際に起きた事件があります。
ロバート・ベネットという男性が彼女と車で休憩していたところ、突然ウサギの着ぐるみを着た男が現れて、斧で車の窓ガラスを割ったんです。男は「ここは俺の土地だ!今すぐ出ていけ!」と叫んだそうです。幸い2人は無事に逃げることができました。
その2週間後には、別の場所で同じようなウサギの着ぐるみの男が、新築の家を斧で破壊しているのが目撃されています。警察が駆けつけた時には、もう姿を消していました。
起源
バニーマン伝説がなぜ生まれたのか、その起源にはいくつかの説があります。
精神異常者説
1970年代の実際の事件は、精神に問題を抱えた人物の犯行とされています。「俺の土地だ」と叫んでいた場所は実際には公道で、誰の土地でもありませんでした。この事件がきっかけで、バニーマン伝説が広まったという説が有力です。
都市化への反発説
バージニア州が急速に都市化していく中で、開発に反対する者が恐怖を煽るために作り出した話という説もあります。実際、バニーマン・ブリッジ周辺は、かつては人里離れた場所でしたが、今では住宅地になっています。
ハロウィン文化との融合
アメリカのハロウィン文化と結びついて、より恐ろしい都市伝説として成長したとも考えられます。ウサギの着ぐるみという、本来なら可愛らしいものが凶器を持つというギャップが、人々の恐怖心を刺激したんですね。
興味深いことに、2016年にはバニーマンを題材にしたホラー映画も制作されました。現在では、ハロウィンの時期になると警察がバニーマン・ブリッジ周辺をパトロールしているという話もあります。
まとめ
バニーマンは、アメリカの都市伝説の中でも特に恐ろしい存在です。
重要なポイント
- ウサギの着ぐるみと斧という異様な組み合わせ
- ハロウィンの夜に現れる殺人鬼
- バニーマン・ブリッジという実在の場所が舞台
- 1970年代には実際に類似事件が発生
- 都市伝説と現実が混ざり合った恐怖の物語
「バニーマン」という可愛らしい響きとは裏腹に、その正体は血に飢えた殺人鬼。もしハロウィンの夜にバージニア州を訪れることがあったら、白いウサギの着ぐるみを見かけても決して近づかないようにしてくださいね。
それは、コスプレではなく、本物のバニーマンかもしれませんから。
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