海から引き上げられた、全長4メートルを超える不気味な骨格。
鳥のようなクチバシ、長い背骨、そして奇妙な触角…。
1996年、アメリカの小さな島で発見されたこの謎の生物は、調査される前に何者かに盗まれてしまいました。
この記事では、幻となった未確認生物「ブロック・ネス・モンスター」の謎について詳しくご紹介します。
概要

ブロック・ネス・モンスターは、1996年9月にアメリカ・ロードアイランド州のブロック島付近で発見された、正体不明の生物の骨格につけられた名前です。
スコットランドの有名な未確認生物「ネッシー」(ネス湖の怪物)にちなんで、発見された島の名前と組み合わせて命名されました。
アンコウ漁をしていた漁船の網に偶然引っかかったこの骨格は、海洋生物学者によって回収されたものの、調査が始まる前に盗難に遭ってしまいます。そのため、正確な正体は今も謎のままなんです。
現在残されているのは、数枚の写真と目撃者の証言だけ。この事件は、未確認生物研究において「もし詳しい調査ができていたら…」という惜しまれるケースの代表例となっています。
姿・見た目
ブロック・ネス・モンスターの骨格には、通常の海洋生物とは異なる奇妙な特徴がいくつもありました。
全体的な構造
発見された骨格の特徴はこうです。
骨格の主な特徴
- 全長:約4.2メートル(尾の部分がない状態でこの長さ)
- 頭骨:鳥のクチバシのように細長くとがっている
- 触角:頭部から2本の触角のような突起物が生えている
- 背骨:長い背骨が頭骨から続いている
- 欠損部分:体の後半部分(尾)が見つかっていない
サイズの謎
注目すべきは、そのサイズなんです。体の後半部分が欠けた状態で4.2メートルもあったということは、完全な状態ならさらに大きかった可能性が高いんですね。
研究者の中には、完全な状態なら6メートル以上あったのではないかと推測する人もいます。
頭部の不思議な構造
特に印象的なのが頭部の形状でした。細長くとがった頭骨は、まるでワニや古代の海棲爬虫類を思わせる形をしていたそうです。
そして、頭骨から生えていた2本の触角のような突起物。これが後に正体を特定する重要な手がかりとなります。
特徴

ブロック・ネス・モンスターの骨格が持つ特徴は、海洋生物学者たちを大いに悩ませました。
既知の生物との比較
この骨格を見た専門家たちは、いくつかの可能性を指摘しています。
候補に挙げられた生物
- ウバザメ:頭部の触角のような突起が特徴と一致
- チョウザメ:細長い頭部の形状が似ている
- クジラ類の一種:細長い頭骨を持つ種類が存在する
サイズの矛盾
ただし、大きな問題がありました。それはサイズなんです。
もしウバザメだとすると、発見された骨格はウバザメの通常サイズの約2倍もあることになります。これほど大型の個体が実際に存在するのか、それとも別の生物なのか。写真だけでは判断が難しかったんですね。
保存状態
興味深いことに、骨格は海で長期間漂流していたと思われるものの、比較的良好な状態で発見されました。
砂浜に2日間放置された後、海洋生物学者リー・スコットによって回収され、別荘の冷蔵庫で保管されることになります。
伝承
ブロック・ネス・モンスターの物語は、発見そのものよりも、その後に起きた不可解な事件で有名になりました。
消えた骨格
1996年9月、リー・スコットは発見された骨格を詳しく調査するために別荘に持ち帰りました。
スコットは写真を何枚か撮影した後、骨格を冷蔵庫に保管し、翌日にナラガンセットの全米海洋漁業サービスへ送る予定でした。
しかし、釣りから戻ってきたスコットが冷蔵庫を開けると、骨格は跡形もなく消えていたんです。
鍵のない島
なぜこんなことが起きたのでしょうか?
実は、ブロック島には家に鍵をかける習慣がなかったそうなんです。平和な小さな島だったため、住民たちは互いに信頼し合っていました。
スコットも釣りに出かける際、別荘に鍵をかけずに出てしまったんですね。
必死の捜索
骨格が盗まれたことに気づいたスコットは、すぐに島民たちの協力を求めて島中を探しました。
しかし、結局骨格は見つかりませんでした。
一体誰が何のために持ち去ったのか。今も謎のままです。
残された写真
現在私たちが知ることができるのは、スコットが撮影した数枚の写真だけ。
この写真をもとに、サメ研究の専門家リサ・ナタンソンが分析を行い、「頭部の2本の触角のような突起はウバザメの器官の一部に似ている」と結論づけました。
島の変化
皮肉なことに、この謎めいた事件によってブロック島の知名度は大きく上がりました。
神秘的な魅力を帯びた島には、謎の生物の骨を一目見ようと多くの観光客が訪れるようになったんです。グッズ展開なども行われ、島の財政を立て直すきっかけにもなったといわれています。
起源
ブロック・ネス・モンスターの正体について、専門家たちはどう考えているのでしょうか。
ウバザメ説
最も有力とされているのがウバザメ説です。
ウバザメは、ジンベエザメに次いで世界で2番目に大きなサメで、体長は通常6〜8メートルほど。プランクトンを食べる穏やかな性格の魚です。
サメ研究の専門家リサ・ナタンソンが注目したのは、頭骨から生えていた2本の触角のような突起でした。これがウバザメの持つ特定の器官に似ているというんですね。
サイズの問題
ただし、ウバザメ説には大きな疑問が残ります。
発見された骨格は、体の後半部分が欠けた状態で4.2メートル。完全な状態なら、通常のウバザメをはるかに超えるサイズになってしまうんです。
そのため、「ウバザメにしては大きすぎる」として、この説を否定する専門家も少なくありません。
その他の可能性
他にも、いくつかの候補が挙げられています。
チョウザメ説
細長い頭部の形状がチョウザメに似ているという指摘もあります。チョウザメは古代から姿を変えずに生きてきた「生きた化石」とも呼ばれる魚です。
クジラ類説
クジラの仲間の中には、細長い頭骨を持つ種類が存在します。もし骨格が研究所に持ち込まれていれば、この可能性についても詳しく調べることができたでしょう。
未解決のまま
結局のところ、ブロック・ネス・モンスターの正体は謎のままです。
骨格が盗まれてしまったため、DNA分析や詳細な骨格の測定など、現代の科学技術を使った調査ができませんでした。
もし骨格が残っていれば、既知の生物なのか、それとも未発見の種なのか、はっきりと分かったかもしれません。その意味で、非常に惜しまれる事例なんですね。
まとめ
ブロック・ネス・モンスターは、謎の骨格が盗まれたことで、かえって伝説となった不思議な事件です。
重要なポイント
- 1996年9月、アメリカ・ブロック島付近で発見された正体不明の骨格
- 全長4.2メートル以上、鳥のようなクチバシと触角が特徴
- 調査前に何者かに盗まれ、写真だけが残された
- ウバザメ説が有力だが、サイズの問題で疑問も残る
- 骨格が失われたため、正体は永遠の謎に
未確認生物の研究において、実物の証拠がいかに重要かを教えてくれる事例といえるでしょう。もし骨格が盗まれていなければ、海洋生物学の新たな発見につながっていたかもしれませんね。
今もブロック島を訪れる観光客たちは、あの謎の骨格がどこに消えたのか、想像を巡らせているそうです。


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